地域において担っている役割
当院は知多半島構想区域内において、医療従事者・医療設備ともに最も充実した病院の1つとなっており、これらの医療資源を最大限に有効活用し、へき地医療を除く5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)5事業(救急医療、災害時における医療、周産期医療、小児救急医療を含む小児医療)を担っています。また、知多半島医療圏北西部地域における救急医療の充実と地域連携の強化を大きな使命として、5疾病5事業の充実・発展を図っていくことが、当院の役割であり、がんの集学的治療が行えるよう放射線線治療の体制も整い、平成31年4月から実施しています。
経営の健全性・効率性について
平成30年度は、地域医療支援病院の承認等新規施設基準の取得等に伴い入院診療単価が向上したものの、平成29年度末に神経内科常勤医の退職及び消化器内科常勤医が年度途中から順次退職し、2月からは不在となったことから、それぞれ入院受入が困難となり、入院患者数が減少したため「②医業収支比率」、「④病床利用率」及び「⑦職員給与費対医業収益比率」の数値が悪化しました。また、「⑤入院患者1人1日当たり収益」及び「⑥外来患者1人1日当たり収益」の数値については、診療実績及び医療の質の向上等に努めた結果により、上昇してきているものの、類似病院との比較では、低い数値となっているため、放射線治療の開始及び今後の分娩開始など、更なる診療単価の向上に努めていきます。なお、類似病院の平均値を下回っている「④病床利用率」は、医師不足による影響が大きく、継続して医師確保に努め、改善を図る必要があり、「③累積欠損金比率」については、入院収益などの増収等経営改善に努め、早期に赤字経営から脱却・黒字計上により、平均値を超過している「③累積欠損金比率」の累積欠損金の減少が必要と考えています。
老朽化の状況について
当院は、平成27年5月に新病院として開院しているため、「①有形固定資産減価償却率」及び「②器械備品減価償却率」は、類似病院よりも低い値となっていますが、開院時に整備した医療機器等が法定耐用年数に近づいていくため、年々値が上昇傾向にあります。なお、今後は、開院時に整備した医療機器等の更新に係る財源確保と、電子カルテ等高額な備品の中長期的な更新計画の検討・作成していく必要があります。
全体総括
開院4年目で、診療体制等一部過渡期でありますが、経営的には大変厳しい状況下であります。平成28年度末に策定した改革プランで掲げている経営改善に向けた具体的な取組等の目標を確実に達成できるよう職員一丸となって取り組み、収益面では、新規施設基準の取得等による診療単価の増及び地域連携の強化による患者確保等により収益を向上させ、また、費用面においては、医薬品費及び診療材料の価格交渉をはじめとする経費削減に向けた取り組みを継続実施するとともに、当院の給与費比率が、同規模の公立病院と比較して上位に位置していることから、令和2年度から導入の会計年度任用制度にも適正に対応しつつ、更なる業務の効率化・生産性の向上等を図り、給与費の削減に努めていき、早期の経営の健全化を目指します。なお、断らない救急及び放射線治療等安心で安全な質の高い医療を継続的に提供し、現在実施できていない分娩の取扱い等地域の医療ニーズに応えられるよう、病院運営の根幹である医師確保についても、最大限努力していきます。