熱海市：公共下水道

経営の健全性・効率性について

熱海市公共下水道事業は、早期経営健全化を図るために事業規模の縮小や経費の節減、人員削減による人件費の抑制、借入金の早期返済等に取り組んできた結果、①経常収支比率は平成27年度を除き類似団体の平均値を上回っており、過去5年100％以上を維持しています。③流動比率は45％まで改善したものの依然として類似団体・全国平均値を下回っていることから、自主財源である使用料収入を安定して確保し、支払能力を向上させることが課題となります。④企業債残高対事業規模比率は減少傾向にあり、今後も単年度中の企業債借入額が償還額を下回るため減少していく見込みです。算出の基礎となる汚水処理費が大幅に減額したため⑤経費回収率が上昇し、⑥汚水処理原価が低下しました。これは総務省通知に基づき汚水処理費より控除する公費負担分である一般会計繰出金「分流式下水道に要する経費」を算出した結果、前年度に比べ大幅に増額したためです。しかしながら、類似団体と比べて経費回収率は高く、汚水処理原価は1㎥あたりの処理費用は低く抑えていると言えます。⑦施設利用率は類似団体を大幅に下回っていることから施設更新の際には施設の効率化を図るように計画しています。⑧水洗化率は類似団体の平均値を下回っていることから、公共下水道への接続を促し、引き続き使用人口の増加を目指していきます。

老朽化の状況について

昭和27年度より整備を始めた管渠は、老朽化により順次更新を進めていますが、現在本事業会計は経営健全化を優先し事業規模を縮小しているため、更新整備が進んでいない状況となっています。①有形固定資産減価償却率は平成26年度から新会計制度移行に伴い増加しており、類似団体と比べ上回っていることからも老朽化が進んでいます。②管渠老朽化率は年々増加傾向にあり、これは昭和40年代以降大量に布設した管渠が法定耐用年数を迎えることから今後も増加していくことが考えられます。③管渠改善率は平成27年度より類似団体を上回っていますが、ストックマネジメント基本計画に基づき、計画的かつ効率的に管渠の改築事業及び適切な維持管理を進めていきます。

全体総括

①経常収支比率、④企業債残高対事業規模比率、⑤経費回収率、⑥汚水処理原価を類似団体と比較すると健全な経営が出来ていると考えられますが、短期的な支払能力を示す③流動比率からは依然として厳しい財政状況であると言えます。また、処理区域内人口の減少や節水志向による有収汚水量の減少が懸念され、経営環境は厳しさが続くものと予測されます。今後も、計画的かつ効率的に管渠の改築事業や適切な維持管理を進めるとともに、一層の事務の効率化による経費の節減や普及促進を図ることにより収益を上げ、経営の健全化に努めていきます。