経営の状況について
①経常収支比率、②営業収支比率継続して100%を超えており、経営の健全性は確保されている。なお、H25年度は3発電所がFITに移行したことによる料金収入の増により上昇したが、うち1発電所がH26年12月からFIT対象外となったことなどにより、H26、H27年度は低下傾向となった。H28年度は、FIT対象外の売電単価が市場価格を踏まえた単価に移行した結果、大きく改善している。③流動比率継続して100%以上を確保しており、短期的な債務の支払い能力は確保されている。なお、電気事業収益の増加を反映し、現金預金は増加を続けている。④供給原価継続して全国平均値を下回っている。建設から40年以上経過した発電所が多く、減価償却費が少ないことや、発電量当たりの職員数が他県に比べて少ないことなどが要因と考えられる。⑤EBITDA全国平均値並みか上回る数値で推移している。H28年度は、FIT対象外の売電単価が市場価格を踏まえた単価に移行した結果、大きく上昇した。※各指標のH25年度以前の数値は、旧会計基準によるもの。
経営のリスクについて
①設備利用率:40%以上を維持し、全国平均を上回っている。②修繕費比率:H25年度までは民間への事業譲渡を前提として修繕費を抑えていたこと等から全国平均を下回っていた。H26年度以降は、抑制していた部分を含めて計画的に修繕を実施しており、全国平均並みか、やや上回っている。③企業債残高対料金収入比率:H14年度からH25年度まで、民間への事業譲渡の検討等により企業債を発行しておらず、漸減してきた。事業の継続を受けてH26年度からは設備改良等の財源として新たに企業債を発行しており、料金収入の増と比例して横ばいで推移している。④有形固定資産減価償却率:計画的な更新や新規発電所の建設により、全国平均を下回って推移している。発電所の平均的な償却年数とされる、建設から40年を経過する発電所8箇所については、H28年2月に策定した「経営戦略」に基づき、計画的に大規模改修等を実施していく。⑤FIT収入割合:H25年1月から3発電所(奥木曽、大鹿第2、小渋第3)がFITに移行したために増加したが、H26年12月から奥木曽発電所がFIT対象外となったため、漸減している。なお、H28年度はFIT対象外の売電単価が市場価格を踏まえた単価に移行し、料金収入が増加したため、FIT収入割合は更に低下した。※②及び④のH25年度以前の数値は、旧会計基準によるもの。
全体総括
長野県の電気事業は、供給原価が低く設備利用率が高いことなどから、高い収益性と経営の健全性を確保している。H28年度はFIT対象外の売電単価を市場価格を踏まえた単価に改定した結果、さらに収益が改善した。今後はH28年度から37年度までを期間とする「長野県公営企業経営戦略」に基づき、計画的な改修を着実に実施していくほか、既設発電所の出力増強や新規発電所の建設等により、更なる経営の安定化を図る。