群馬県:電気事業

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経営比較分析表(2016年度)

経営の状況について

本県の電気事業は、事業を運営するに当たって必要と見込まれる原価に適正な利潤を加えた金額を売電価格とする「総括原価方式」により、卸供給による売電を行ってきたため、安定した利益をあげることが可能で、継続して経常利益を計上している。固定価格買取制度の適用による増収や電力会社との契約見直しによる売電単価引き上げなどもあり、平成26年度以降では10億円以上の経常利益となっている。経常収支比率は、過去5年間100%以上(黒字)であり、経常利益を安定的に計上している。営業収支比率は、過去5年間100%以上(黒字)であり、営業利益を安定的に計上している。平成28年度の供給電力量は、主力の水力で前年度冬期の山間部の積雪量が少なかったことや、初夏の少雨により、河川流量が減少したため、平成27年度と比べて下回り、経常収支比率及び営業収支比率も低下した。流動比率は、過去5年間100%以上であり、現預金を中心とした流動資産を多く有している。平成28年度は、企業債の償還が進んだほか、未払金が減少したことから、流動負債が減少し、平成27年度と比べ流動比率が増加した。供給原価は、公営平均よりも低く抑えられている。EBITDAは、経年比較して上昇傾向のため、問題ないと考える。

経営のリスクについて

本県の電気事業は、昭和33年から発電を開始しており、施設・設備の老朽化が進んでいるため、計画的な設備更新を行っていく必要がある。また、耐震化も推進しており、耐震化補強工事についても計画的に行っていく必要がある。設備利用率は、ごみの焼却量が少なく平成27年度と比べ供給電力量が減少したごみ発電を除き、概ね横ばいで推移している。ごみ発電において、修繕費比率が全国の公営電気事業の平均と比べて高くなっているのは、ガス高騰により平成24年10月からガスタービンを休止し、蒸気タービンの単独運転を行っているため、ガス購入費用が皆減し、分母である営業費用が大幅に減少したためである。企業債残高対料金収入比率は、著しく低い水準であり、経営の健全性は良好である。有形固定資産減価償却率は、上昇傾向にあり、全国の公営電気事業の平均と比べても高く、施設・設備の老朽化が進んでいる。FIT収入割合は、風力発電・太陽光発電では100%であるが、主力の水力発電では10%未満であるため、固定価格買取制度の調達期間終了後も電気事業全体では大きな影響はないと思われる。

全体総括

本県の電気事業は、安定的に収益を確保している上、流動比率が高く、企業債残高対料金収入比率も著しく低い水準であるなど経営の健全性は良好である。施設の老朽化対策については、FIT制度の改正で、運転開始後20年を経過した水力発電所も全設備更新をすれば固定価格買取制度の対象となり増収が期待できることとなったため、この制度の活用も含め、設備更新の進め方を検討する必要がある。電力システム改革への対応については、電力取引の市場動向を注視しつつ、現在締結済みの長期の電力受給基本契約の解約も含め、売買先や売電方法の変更を検討する必要がある。風力発電は、単独での事業継続が困難な状態にある。電気事業に占める割合が小さいため、事業全体では特に懸念がないが、事業継続の可否については今後検討していく必要がある。このほか、群馬県企業局経営基本計画に基づき、電力の安定供給や経営基盤の強化、経営の健全性の維持に努めることにより、事業を安定的に継続していく必要がある。

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