経営の状況について
1)経常収支比率目標値は達成しており、その収入のうち料金収入以外は5%未満であることから、安定した運営を行えている。2)流動比率H25からH26にかけては会計制度の変更により企業債が資本から負債に移行したことにより流動負債が増加し、比率は低下した。しかし、流動資産の値は安定的に推移し、流動比率もH27・H28と上昇し全国平均を上回っている。3)供給原価料金の契約単価には大きな変動はないが、H26の豊水時やH28の渇水時など、降水量等の状況によって大きく発電量に影響を与え、供給原価が変動した。4)EBITDA安定的に推移してきたが、H27及びH28においては、渇水の影響で純利益が減少し、それによりEBITDAの値も2年連続で減少となった。以上のことから、経常収支比率、営業収支比率においては、全国平均をやや下回るものの累積欠損金もなく、安定した経営を維持していると言える。しかし、今後も適切な経営状況を継続するために、安定的な電力供給を図る必要がある。
経営のリスクについて
1)設備利用率降水量等の影響により変動はあるものの、全国平均並みを維持して概ね堅実に推移している。2)修繕費比率効率的に設備の修繕と計画的に老朽化した設備の更新を実施していることで、全国平均よりも低い値で推移している。3)企業債残高対料金収入比率及び有形固定資産減価償却率有形固定資産減価償却率は増加傾向にあり、H26以降は6割を超えている。一方で企業債残高対料金収入比率は、予定通り企業債を償還し、低下傾向にある。老朽化施設について、機器の状況を的確に把握し、経営状況を考慮しながら設備更新等を行っているところである。4)FIT収入割合現時点のFIT収入割合は1.4%と、全国平均を大幅に下回っているが、新たにFIT認定を受けた発電所の改修工事や新規発電所が竣工されることから、数年後には当該割合は上昇する見込みである。既存の発電所の発電能力の向上にも合わせて取り組み、安定した収入を確保していく必要がある。以上のことから、堅実な事業運営を行っているが、電力をより安定的に供給していくためには、今後も施設の適切な維持管理を行う必要がある。
全体総括
経営の健全性・効率性については安定的に推移しており、経営状況はおおむね良好といえるが、特に平成28年度においては異常渇水により、例年よりも発電量が大きく落ち込むこととなった。既設の発電所のうち4か所が運転開始後40年以上経過するなど、設備の老朽化が進んでいるため、平成27年度に策定した経営戦略(平成28~37年度)に基づき、経済性や機能性を考慮しながら、最適な時期や手法による改修等を行っていく必要がある。また、今後、固定価格買取制度を適用できる発電所の全面改修工事や、新たな水力発電所の建設を前述の経営戦略に基づき計画的に推進するとともに、既設発電所の発電能力向上に取り組んでいく必要がある。