地域において担っている役割
東日本大震災により南三陸地域の医療機関全てが流失した。震災後再建された診療所、歯科診療所はそれぞれ2か所であったが、歯科診療所は現在1か所に減っている。また、入院施設は当院のみとなっており地域の基幹医療施設として輪番制及び二次救急指定医療機関となっている。併設された「総合ケアセンター南三陸」及び「りあす訪問看護ステーション」とともに地域の医療・保健・福祉の拠点として地域包括ケアの構築に努めている。
経営の健全性・効率性について
新病院の開院に伴う費用の増加が引き続きみられるものの、医療体制の支援を受けていること等により徐々に費用対効果が現れている。累積欠損金比率は平均値を大きく上回るものの、医業収益の改善により徐々に改善している。病床利用率は平均値以上で推移しており、入院患者の1人1日当たりの収益も上昇している。外来患者の収益も同様に平均値を超える水準となっている。医業収益が向上したことにより職員給与比率は平均値より低い数値で推移している。材料費比率は患者数の増加に伴い増加が見込まれることから、さらに材料の見直しを図ったことから数値の低下が実現し、平均値より低い水準を維持している。今後は入院患者数の維持に努めながら収益の確保に努めるとともに、引き続き効果的効率的な費用の在り方を検討し収支比率の向上に努めていくこととする。
老朽化の状況について
平成27年12月に東日本大震災で全壊・流失した公立志津川病院を南三陸病院として再建、開院した。ほとんどの医療機器が、平成23年以降に寄付や補助金等により調達されたものとなっている。計画的な保守に努めるとともに、令和2年度からの医療機器等の更新を進めていくこととしている。建物に関しても長寿命化をはかるため計画的な保守管理に努めていくものである。
全体総括
平成27年12月再建・開院したことにより住民に対して安定した医療の提供と持続的運営を図るため、患者数の増等収支改善に努めるとともに医療の根幹である医師や高齢化している医療従事者の確保に努めていく。医療機器及び各種固定資産等については経営状況等を勘案しながら計画的更新を図っていく。また、地域ニーズと周辺地域の医療環境を勘案しながら診療内容や病院事業の在り方等について関係機関と協議・検討していくこととする。