経営の健全性・効率性について
経常収支比率は平成26年以降100%を超え黒字となっている。平成28年度は岩手医科大学の移転に伴う新規接続も多く使用料収入は増加したが、これまで投資してきた資産の減価償却費や不明水対策のための調査委託料等で支出が増加し収益は減少した。平成29年2月に料金改定を行い使用料収入の増加に努めてはいるが、長期的には公共下水道使用者数は減少するとの見込みであり、また支出の多くの割合を占める減価償却費が今後も経営を圧迫すると考えられることから、更なる経営改善策が必要である。これまで企業債を普及率・水洗化率向上のための投資の財源の一部としていたために、事業規模に比べての企業債残高が類似団体より膨大なものとなっているが、水洗化率は類似団体の平均を上回り95.81%となっている。汚水処理原価は流域下水道に接続しているため、類似団体より抑えられ、経費回収率もそれに比例して基準を超え、類似団体と比べても高い水準となっている。
老朽化の状況について
平成28年度において耐用年数を経過した管渠はなく、管渠の更新を平成27年度から行っていない状況である。現在の経営状況では計画的な更新を行わなければ費用を捻出することは難しい。そのため、今後の更新計画を策定し計画的な更新を行う必要がある。
全体総括
今後、これまで投資してきた多大な企業債が経営を圧迫することは明白である。また、投資により取得した資産の減価償却費も経営収支を悪化させる一因となっている。平成29年の料金改定により収入の増加を図ったが、今後の公共下水道使用者数は減少する見込みであり、長期では減少に傾くと考えている。現在、一般会計からの負担金で黒字とはなっているが、今後、管渠の更新時期を迎えるにあたり経営戦略の策定を急ぎ、業務の改善を図っていかなければならない。