地域において担っている役割
当院は、浪岡地区で唯一、地域医療のための病床と救急機能を有する病院であり、地域住民の健康管理、疾病の治療や予防の基幹となる病院としての役割を担っている。また、在宅療養支援病院として、訪問診療・訪問看護に注力するなど地域包括ケアシステムの中核としての役割も果たしている。なお、新型コロナウイルス感染症への対応として、「発熱外来」「ワクチン接種」「疑い患者を優先的に受け入れる協力医療機関」としての役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
当院の診療状況は、新病院への移転に伴う入院調整などの影響から、患者数が減少し、表④病床利用率は前年度をやや下回った。表⑥患者1人1日当たり入院収益は、肺炎などの感染症患者の減などにより前年度を下回り、表⑦患者1人1日当たり外来収益は、新型コロナワクチン接種者により患者数は増えたものの、接種料が外来収益に含まれないことから、前年度を下回っている。経営状況は、入院調整の影響等による医業収益の減に伴い、表②医業収支比率は下回り、一般会計繰入金の増に伴う医業外収益の増などにより、表①経常収支比率は、類似団体平均値並みの水準まで回復している。特別損失に旧本館解体に伴う除却費を計上したことから、表③累積欠損金比率は、前年度を上回る271.5%となっている。なお、医業収益の減少に伴い表⑦職員給与費対医業収益比率は前年度を上回ったものの、材料費は市民病院で一括契約していることもあり、表⑧材料費対医業収益比率は前年度を下回った。
老朽化の状況について
新病院の開院に伴う旧本館の解体、医療機器等の廃棄に係る除却により、有形固定資産減価償却率は、前年度より大幅に低下した。また、令和2年度~令和3年度は、新病院の開院に伴う医療機器の更新により、器械備品減価償却率は類似病院平均を下回っている。1床当たり有形固定資産は新病院への建替え及び医療機器の導入により増加しており、類似病院平均を上回っている。
全体総括
経営状況については、新病院が開院したものの、病床利用率は、依然として低い水準にあり、医業収支比率も、入院、外来収益の減に加え、固定費である職員給与費の増加により前年度を下回り、累積欠損金も増加傾向にある。老朽化の状況については、令和3年5月に新病院が開院し、その後、旧本館を解体していることから、有形固定資産の減価償却率は大幅に改善された。今後も、新型コロナウイルス感染症への対応を継続するとともに、新病院の経営改善に向け、健康診断の受診勧奨等の集患対策、在宅医療やオンライン診療等といった収入増加・確保対策、経費削減・抑制対策などの取組を着実に進め、地域住民の健康管理、疾病の治療や予防の基幹となる病院として、また、地域包括ケアシステムの中核としての役割を果たしていく。