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地方財政ダッシュボード

福岡県水巻町の財政状況(2017年度)

🏠水巻町

地方公営企業の一覧

末端給水事業 公共下水道


収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2017年度)

財政力指数の分析欄

旧産炭地域で公営住宅が多いことから、所得水準が他の類似団体と比べて低く、また町内に主要産業がないことから財政基盤が弱い。近年は財政力指数が0.50前半台で推移しており、類似団体平均を依然として大きく下回っている。税収確保のため税等の徴収強化に努めているが、担税力のある中高~若年層の人口減少が続いていることから、今後の確実な歳入を確保するためにも定住促進施策を推進し、安定的な税収確保に努め、また歳出面における経費削減に一層努めていく。

経常収支比率の分析欄

歳出においては、扶助費、物件費、補助費等、普通建設事業費、出資金及び貸出金等が増加した。なかでも、普通建設事業費が小中学校のエアコン設置事業やトイレ改修事業等で422百万円増加し、総額としても642百万円と大幅な増であった。対して歳入では、地方税や財産収入が減となったものの、普通交付税、各種交付金、国県支出金等が軒並み増額となり、総額で708百万円と大幅な増額となったことが経常収支比率の改善の主な要因と考えられる。増え続ける経常経費をいかに削減できるかが、今後も課題となる。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

類似団体と比較して人件費・物件費が低い要因として、ごみ・し尿処理事業や消防事業などを遠賀郡・中間市で構成する一部事務組合である遠賀・中間地域広域行政事務組合で行っていることがあげられる。人件費が職員数の増加や期末勤勉手当の支給率変更等により増、物件費が各種委託料や備品購入費等の増といった原因により、人口1人当たり人件費・物件費等決算額は4104円増加している。また、一部事務組合への負担金、繰出金には人件費・物件費に充てられる経費も含まれており、一概には類似団体平均との比較はできないため、今後とも事務事業の効率化及び職員の給与水準及び職員数の適正化を図る。

ラスパイレス指数の分析欄

平成23年度から給与抑制のため給料の2.5%削減を実施し、ラスパイレス指数は99.5%と国を下回った。しかし、平成24年4月から2年間国家公務員が東日本大震災の復興財源を確保するため、給料を平均7.8%引き下げたことにより指数の上昇を招いた。水巻町においても平成25年7月より国に準じた引き下げを実施し、給料削減措置を行った。今後、給与構造の検討や職員構成の変動を注視しながら、引き続き適正な給与体系を維持することで、能力や実績に応じた給与制度の確立を目指す。平成29年度は平成28年度数値を引用。なお、平成29年度類似団体関係数値(平均値、最大値及び最小値、順位)は、平成29年度の選定団体によるもの。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

人口千人当たりの職員数は類似団体と比較して大きく下回っている。要因としては、過去の組織機構の見直しによる課・係の統合、小学校給食調理業務や保育業務などの民間委託などによるものである。今後、権限移譲等に伴う業務追加により職員の負担増が懸念されるが、平成25年度に策定された定員適正化計画に基づき、真に必要な職員数の配置を行い、さらなる住民サービスの向上に努める。平成29年度は平成28年度数値を引用。(職員数:平成28年度数値、人口:平成30年1月1日現在の人口)なお、平成29年度類似団体関係数値(平均値、最大値及び最小値、順位)は、平成29年度の選定団体によるもの。

実質公債費比率の分析欄

一般会計における起債の抑制を行っているため、着実に実質公債費比率は改善している。普通会計における過去の既発債の償還終了に伴い元利償還金は減となっているが、公共下水道事業の進捗により公営企業債償還に伴う繰入金等は増加しているため、今後実質公債費比率が悪化する恐れがある。また、一般会計においても、公共施設等の大規模改修事業が増加する見込みのため、実質公債費比率が急激に上昇するおそれがある。今後の償還額を平準化し、事業計画や実施速度、適債性を十分考慮した起債管理に一層努めていく必要がある。

将来負担比率の分析欄

将来負担比率については、類似団体平均と比較して良好な状態を維持できている。しかし、小中学校のエアコン設置工事やトイレ改修事業に係る学校教育施設等整備事業債の発行により地方債現在高が増加したこと、下水道整備に係る公営企業債の新規発行により繰入見込額が増加したこと、退職手当負担見込額が増加したことで将来負担比率が14.0と大幅に悪化した。今後、公共施設等の大規模改修事業や公共下水道事業の進捗に伴い繰出金の増加が見込まれるため、財政運営の健全化に努め、将来負担の緩和に努める。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2017年度)

人件費の分析欄

平成18年度~23年度において実施した行財政改革緊急行動計画において、職員数削減や特殊勤務手当を全廃したほか職員給与2.5%カットを実施したため、類似団体や全国平均と比較しても低い水準を維持できている。平成29年度は、前年度と比較して、職員数や期末勤勉手当等の増により人件費そのものは増額となったものの、歳入経常一般財源が708百万円増加したことで経常収支比率は改善することとなった。

物件費の分析欄

小中学校のICT化事業や定期予防接種等の増額で、物件費総額は93百万円と大幅な増額となったため、歳入経常一般財源が増加したにもかかわらず、経常収支比率は1.0ポイント悪化することとなった。類似団体平均とは、ほぼ同水準を維持しているが、削減しがたい経費の増加が見込まれるため、引き続き経常経費の削減が必要である。

扶助費の分析欄

扶助費に係る経常収支比率は10.8%と減少し、平成29年度を除き、過去5年間徐々に悪化傾向にある。主な要因としては、年々増加傾向である更生医療費、障害福祉サービス費の増加があげられる。扶助費は容易に圧縮することができないことから、福祉施策全体の見直し、健康増進事業の充実を図ることで増え続ける扶助費を抑える必要があると考える。

その他の分析欄

その他経費の経常収支比率は、前年度に比べ4.3ポイント改善し、類似団体と比較しても低い水準で推移している。主な要因としては、公共下水道が公営企業化したことから、繰出金を負担金等へ組み替えたことによるものである。また、公共下水道事業特別会計への繰出金は事業課との交渉により一定の金額での繰出を行っているが、今後使用料の増等は見込めないため増加する建設事業費と公債費を賄うため、一般会計からの繰出の大幅な増加が考えられる。そのため、将来負担を見据えた計画的な事業実施が求められる。

補助費等の分析欄

補助費等にかかる経常収支比率は、類似団体平均を大きく上回っているが、要因としては、ごみ・し尿処理事業や消防事業などを、遠賀郡・中間市で構成する一部事務組合である遠賀・中間地域広域行政事務組合で行っていることによるものである。そのうち、補助費の一部事務組合分は15百万円減少したが、公共下水道が公営企業化したことから、繰出金を負担金等へ組み替えたこと等により補助費全体で280百万円増額となり、経常収支比率は悪化することととなった。

公債費の分析欄

地方債残高は、今後大幅な減少を見込めない状況となったが、公債費については類似団体よりも低い水準を維持している。昨年度に比べ、起債の償還終了に伴い公債費自体は減少し、また、歳入経常一般財源の増加により0.6ポイント改善することとなった。今後、学校等の公共施設の老朽化対策等、新発債借入の大幅な増加が見込まれることなどから、投資的事業の採択は財政計画、予算編成の段階で十分に精査し、国・県補助金を活用することで新発債発行を圧縮し、将来世代への負担を極力抑える財政運営に努める必要がある。

公債費以外の分析欄

公債費を除く経常収支比率については、前年度から4.5ポイント改善した。主な要因として、歳出よりも歳入の増加額が大きく、経常一般財源である普通交付税が105百万円、国庫支出金が33百万円、県支出金が33百万円と大幅な増額となったことが挙げられる。今後は、自主財源確保に努め、経常支出の抑制を行っていく必要がある。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2017年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

類似団体平均と比較して、総務費・衛生費・農林水産業費・商工費・土木費・消防費・公債費が下回っているが、議会費・民生費・教育費は上回っている。消防費・衛生費は一部事務組合で運営しているため町運営より効率的に運営できていると思われる。農林水産業費・商工費に関しては、主要産業のないベットタウンであるため大幅に下回っているが、今後もこの状況が続くと思われる。民生費に関しては、公営住宅が多いため低所得者層が多く、また、高齢化率の上昇に伴って増加が続くものと思われる。また、教育費に関しては、小中学校へのエアコン設置やトイレ改修、認定こども園施設型給付費の増額が起因している。快適なベットタウンとしての地位を確立し、生産年齢層の定住者を増やす施策を実施し続けるため、今後も教育費・土木費の施策を重点的に推進していく必要がある。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2017年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

類似団体平均値と比較して人件費・物件費・公債費・積立金が下回っていて、扶助費・補助費等・普通建設事業費が上回っている。維持補修費・繰出金に関しては類似団体平均と同様に横ばいで推移している。旧産炭地域ということで公営住宅が多く、主要な産業もないベッドタウンであり、かつ、高齢化が進んでいることで自主財源に乏しい状況にある。扶助費は毎年増加の一途を辿っているが、自主財源が増加するわけでもなく、自ずと人件費・物件費・普通建設事業費が抑制されている。しかしながら、生産年齢層の定住化を図り、長いスパンでの自主財源の確保に努める必要がある。今まで以上に事業の取捨選択を行いつつ、教育環境整備や住環境整備など将来への有効な投資を行う必要がある。

実質収支比率等に係る経年分析(2017年度)

分析欄

平成18年度から平成23年度までの行財政改革緊急行動計画に基づき、総人件費・定員適正化、補助金の見直しなどにより経常経費を削減し、財政調整基金へ計画的に積立してきたところである。また、実質収支についても国・県補助金を活用することで一般財源負担を減らすように努めている。平成29年度は普通建設事業費や扶助費の増額はあったものの、交付税や国県支出金の増加により歳入総額が大幅に増加したことで、実質単年度収支は改善することとなった。今後も、定住促進対策など魅力ある町づくりを重点的に行って、自主財源の確保に一層努めるとともに、経常経費の削減による安定的な行財政運営を行う必要がある。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2017年度)

分析欄

平成29年度においても普通会計及び公営企業会計等、すべての会計において財源不足等による赤字は発生していないため、連結赤字比率は引き続き発生していない。各会計とも赤字は発生していないが、国民健康保険事業特別会計においては保健事業費、後期高齢者医療特別会計においては後期高齢者医療広域連合納付金が増加しており、今後、一般会計に影響を与える可能性がある。各会計とも歳出は削減しがたいものと思われるが、料金、保険税など歳入面での見直しを行ないつつ、町全体の黒字額の確保に努める必要がある。

実質公債費比率(分子)の構造(2017年度)

分析欄

普通会計ベースでの元利償還金は既発債の償還終了に伴い着実に償還額を減らしてきていたが、これ以上の減少は見込めない状況である。また、公共下水道事業の進捗に伴い公営企業債の元利償還金に対する繰入金が増加傾向であるため、公共下水道事業については事業規模のさらなる精査、実施年数についてさらなる調整を行っていく必要がある。

将来負担比率(分子)の構造(2017年度)

分析欄

将来負担額のうち、一般会計等に係る地方債の現在高は既発債の償還終了に伴い現在高が着実に減少していたが、平成27年度より増加傾向にあり、これ以上の減少は見込めない状況である。また、公共下水道事業の進捗に伴う公営企業債等繰入見込額も増加傾向にある。さらに、退職手当負担見込額は職員の年齢構造の関係で数年は増え続ける予定である。地方債現在高、公営企業債等繰入見込額、退職手当負担見込額等の将来負担額の増加に対し、充当可能財源等が微増となっているため、平成29年度も将来負担比率はプラスとなった。とはいえ、未だ将来負担額に関しては良好な状態で推移しているため、早急な改善が必要というわけではない。しかし、今後の財政運営を考慮するならば、この水準を維持し続ける努力は必要だと思われる。

基金残高に係る経年分析(2017年度)

基金全体

(増減理由)平成29年度は、財政調整基金150百万円、退職手当準備基金40百万円、公共施設等整備基金30百万円などの積み立てを行ったが、一方、財政調整基金200百万円、公共施設等整備基金70百万円などの基金取り崩しを行ったため、基金全体で積立額が32百万円減少している。(今後の方針)平成18年度から平成23年度までの行財政改革緊急行動計画に基づき、総人件費・定員適正化、補助金の見直しなどにより経常経費を削減し、財政調整基金へ計画的に積立してきたところである。実質収支についても国・県補助金を活用することで一般財源負担を減らすように努めている。今後、学校・町営住宅等の公共施設の老朽化対策、職員退職者数等の増加が見込まれることなどから、各種基金の取り崩しが見込まれる。このため、定住促進対策など魅力ある町づくりを重点的に行って、自主財源の確保に一層努めるとともに、経常経費の削減による安定的な行財政運営を行う必要がある。また、各基金を使用した投資的事業の採択は、財政計画、予算編成の段階で十分に精査し、国・県補助金を活用することで基金取り崩し額を圧縮し、将来世代への負担を極力抑えていくことが必要である。

財政調整基金

(増減理由)平成28年度歳計剰余金の処分として、150百万円を積み立て、ほかに利子分を積み立てている。一方、道路・橋梁改修や小中学校施設改修といった大規模な工事等の財源不足を補うための経費の財源に充てたため、基金から200百万円を取り崩している。(今後の方針)平成18年度から平成23年度までの行財政改革緊急行動計画に基づき、総人件費・定員適正化、補助金の見直しなどにより経常経費を削減し、財政調整基金へ計画的に積立してきたところである。実質収支についても、国・県補助金を活用することで一般財源負担を減らすように努めている。今後、経済情勢の著しい変動等や災害により生じた経費の財源に充てるほか、緊急に実施することが必要となった大規模な工事等の財源不足を補うため、計画的に基金を積み立て、各種経費を削減して基金取り崩し額を圧縮するなど、将来世代への負担を極力抑えていくことが必要である。

減債基金

(増減理由)現在、借り入れている町債は、おおむね利率が低く、繰り上げ償還を行ったとしても、償還額の大幅な削減が見込めないと考えている。そのため、現在のところ、積極的に減債基金への積み立てを行っておらず、積立額は、ほぼ横ばいとなっている。(今後の方針)上記の増減理由により、現在のところ、積極的に減債基金に積み立てを行っていない。ただし、今後の経済状況や国の動向等を注視し、状況が変われば柔軟に基金に積み立てを行うことが必要である。

その他特定目的基金

(基金の使途)水巻町職員退職手当準備基金は、職員の退職手当の支払いに備えるため準備された基金である。水巻町公共施設等整備基金は、今後、町の公共施設等が大量更新時期を迎えるにあたり多額の改修・更新費用が発生するため、財源の補てんを行うために設置された基金である。水巻快適環境づくり基金は、自然や歴史的資産の保全、又、やすらぎとうるおい或いは美しく、魅力のある町並みや景観の創出その他の快適な環境づくりに自主的、先駆的に取り組む人材や団体等を安定的、長期的に支援し、又は奨励するため設置された基金である。水巻町小中学校給食事業基金は、小中学校給食事業の健全な管理運営を図るため、特定防衛施設周辺整備調整交付金を毎年度積立し、小中学校給食事業や給食費補助金の財源とする基金である。水巻町片山排水ポンプ管理基金は、片山排水ポンプ施設の維持管理費にあてるため設置された基金である。(増減理由)水巻町職員退職手当準備基金の増減理由は、今後、職員の退職予定者数が増加するため、その支払いに備え、増となっている。水巻町公共施設等整備基金は、公共施設の改修費用にあてたため、減となっている。(平成29年度は、庁舎設備や議会放送設備など)水巻町小中学校給食事業基金は、前年度に比べ、基金取り崩し額を減額したため、増となっている。上記以外の2基金は、基金取り崩しの予定がなかったため、ほぼ横ばいとなっている。(今後の方針)今後、学校・町営住宅等の公共施設の老朽化対策、職員退職者数等の増加が見込まれることなどから、各種基金の取り崩しが見込まれる。このため、各基金を使用した投資的事業の採択は、財政計画、予算編成の段階で十分に精査し、国・県補助金を活用することで基金取り崩し額を圧縮し、将来世代への負担を極力抑える財政運営に努める必要がある。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2017年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

今年度の調査対象から土地をはずしたため、大幅に減価償却率が上昇する要因となった。また、有形固定資産の約1/3を占めている町営住宅関連施設では、計画的に行ってきた修繕が功を奏し、耐用年数以上に使用できており資産を有効に活用しているといえるが、有形固定資産減価償却率が高止まりしている要因の一つとなっている。今後も計画的に修繕し有効活用していくため、今のところ有形固定資産減価償却率が下がる見込みがないと思われる。

債務償還可能年数の分析欄

今年度は、6.3年と類似団体内平均から+0.4年となった。この債務償還可能年数が短いほど債務償還可能能力が高いといえるため、今後も、定住促進対策など魅力ある町づくりを重点的に行って、自主財源の確保を目指し、また、事業計画や実施速度、適債性を十分考慮した起債管理に一層努めるなど、将来負担の緩和を推進する必要がある。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

今年度は、将来負担比率及び有形固定資産減価償却率とも、下記の表のとおり上昇したため、全国平均に比べ、将来負担比率は低いが、有形固定資産減価償却率が高い結果となった。また、今年度の有形固定資産減価償却率の上昇は、土地対象外による影響が大きかったため、将来負担比率の上昇と関連していない。今後は、起債額の増加に注意しながら、長寿命化計画に基づき、計画的に修繕を行っていくなど、資産を有効活用していく必要がある。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

今年度は実質公債費比率が減少しているが、これは過去の既発債の償還終了に伴い元利償還金が減となったことが大きな要因の一つである。また、全国平均に比べ、将来負担比率及び実質公債費比率はともに低い状況にあるが、今後も、公共施設等の大規模改修事業や公共下水道事業の進捗に伴い繰出金の増加が見込まれるため、財政運営の健全化に努め、適切な起債管理を行う必要がある。

施設類型別ストック情報分析表①(2017年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

保育所は、整備から多くの時間が経過しているため、類似団体内平均値に比べ、減価償却率が28.3%高い水準にある。まだ個別計画を作成していないため、整備方針が決定しておらず、施設の特性や将来の人口展望、利用者数等を客観的に分析し、整備方針を早期に決定する必要がある。橋りょう・トンネルや公営住宅については、長寿命化計画に基づき、計画的に改修等を行っているが、施設数が多いため、なかなか進んでいない状況にある。しかしながら、一時期に財政負担が集中することが懸念されるため、今後も、適切に事業計画や実施速度、適債性を十分考慮した起債管理を行ったうえで、計画的に事業を実施し、財政負担の軽減や平準化に努める。また、道路の改良工事、学校施設の空調設備やトイレ等の改修工事を計画的に行っているため、それぞれ減価償却率が低下している。

施設類型別ストック情報分析表②(2017年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

一般廃棄物処理施設、体育館・プール、福祉施設は、建設から時間が経過している施設が多いため、類似団体内平均値に比べ、高い水準にある。まだ個別計画を作成していない施設もあるが、今後、整備方針が決定した施設については、計画的に修繕を行うことで、長寿命化を進めていきたい。また、整備方針が決定していない施設についても、施設の特性や将来の人口展望、利用者数等を客観的に分析し、整備方針を早期に決定する必要がある。また、庁舎については、計画的に空調設備や照明設備等の改修工事を行ったため、減価償却率が7.7%低下している。

財務書類に関する情報①(2016年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が前年度末から53百万円(△0.14%)の減少となった。金額の変動が大きいものは固定資産における事業用資産であり、学校施設等の整備を行ったものの、資産形成費より減価償却費が大きくなり減少することとなった。また、流動資産においても、財政調整基金から2億円の繰入を行ったことなどから、36百万円の減少となり、資産合計が減少することとなった。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用は8,839百万円となり、前年度から380百万円(+4.5%)の増加となった。そのうち、人件費等の業務費用は3,885百万円、補助金や社会保障給付等の移転費用は4,954百万円であり、移転費用の方が業務費用よりも多い。最も金額が大きいのは補助金等(1,866百万円、前年度比+16%)、次いで他会計への繰出金(1,621百万円、前年度比+0.7%)、社会保障給付(1,461百万円、前年度比+3.7%)となっており、純行政コストの60.0%を占めている。今後も高齢化の進展などにより、社会保障関連経費や介護保険広域連合への繰出金の増加が見込まれるため、事業の見直しや介護予防の推進等により、経費の抑制に努める。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源(5,737百万円)が純行政コスト(8,261百万円)を下回っており、本年度差額は△306百万円となり、純資産残高は295百万円の減少となった。固定資産税などは増収となったが、法人町民税の大幅な減収が要因であり、純行政コストの抑制が今後の課題である。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は7,697百万円であったが、投資活動収支については、小中学校のエアコン設置工事やトイレ改修工事を行ったことから、△412百万円となっている。財務活動収支については、地方債の発行額が地方債償還支出を上回ったことから、150百万円となっており、本年度末資金残高は前年度から9百万円増加し、389百万円となった。しかし、行政活動に必要な資金を基金の取崩しと地方債の発行収入によって確保している状況であり、より健全な財政運営を行っていく必要がある。

財務書類に関する情報②(2016年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額が類似団体平均を大きく下回っているが、当団体では、道路や河川の敷地のうち、取得価額が不明であるため、備忘価額1円で評価しているものが多くあるためである。歳入額対資産比率については、類似団体平均を少し下回る結果となった。減価償却による資産の減少が著しく、昨年度を下回る結果となった。有形固定資産減価償却率については、公営住宅など、整備から30年以上経過し、更新時期を迎えているなどから、類似団体より高い水準にある。また、これらの公共施設等の老朽化に伴い、前年度より0.6%上昇しており、公共施設の適正な管理に努める必要がある。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、類似団体を上回っているが、純行政コストが税収等の財源を上回ったことから純資産が減少し、昨年度から0.7%減少している。純資産の減少は、将来世代が利用可能な資源を過去及び現世代が費消して便益を享受したことを意味するため、行政コストの抑制に努めていく必要がある。将来世代負担比率は、類似団体平均を大幅に下回っており、現役世代の負担が大きいことを表している。しかし、今後は施設整備等により新規に発行する地方債等が増える見込みのため、現役世代と将来世代のバランスがとれるような財政運営を行う必要がある。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均を下回っているが、昨年度に比べて増加している。人口は減少しているにも関わらず、純行政コストが増加しているためである。人口の増加と行政コストの抑制が今後の課題である。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額は類似団体平均を下回っているが、前年度からは増加している。人口は減少しているものの、小中学校の施設整備のため、地方債の発行を増やしたためである。今後も施設整備等で地方債の増加が懸念される。基礎的財政収支は、基金の取崩収入及び基金積立支出を除いた投資活動収支の赤字分が業務活動収支の黒字分を上回ったため、△75百万円となっている。類似団体平均を下回っているが、投資活動収支が赤字となっているのは、地方債を発行し、公共施設等の必要な整備を行ったためである。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、類似団体平均を上回っている状況にあるが、昨年度からは減少している。特に、経常費用が昨年度から380百万円増加しており、中でも維持補修費の増加が顕著であることから、老朽化した施設の集約化・複合化や長寿命化を行うことにより、経常費用の削減に努める必要がある。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,