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地方財政ダッシュボード

島根県美郷町の財政状況

🏠美郷町

地方公営企業の一覧

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2023年度)

財政力指数の分析欄

人口減少や少子高齢化率が顕著な中山間地域の典型的な過疎の町であり、町内に中心となる産業がないこと等により、財政基盤が弱く、全国・県平均をかなり下回っている。全国的な賃上げの波はあるものの、大幅な税収増は見込めないため、事業の見直しやDX化による歳出の削減と長期総合計画・戦略にそった施策の重点化を徹底し、活気ある町づくりを展開しつつ、行政の効率化に努めることにより、財政の健全化を図る。

経常収支比率の分析欄

過疎地域であるが故に自主財源に乏しく、財政基盤が弱いため投資的経費への地方債活用は欠かせず、公債費に係るものが26.7%と最も高い。令和5年度は会計年度任用職員の期末手当の支給などの人件費の増が大きい。数年後には近年発行額の大きい地方債の償還の増、ハード事業によって整備した大型施設の維持管理経費といった物件費の増も想定され、近い将来に100%を超えないために経費削減を心掛ける必要が有る。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

類似団体平均に比べ低くなっていたが、令和5年度は人件費・物件費ともに上昇し、類似団体平均に近づいてきている。会計年度任用職員への期末・勤勉手当支給や賃上げによって人件費は上昇し、物件費も新たに整備した施設や導入したシステムの保守管理経費が増加していることが要因となっている。人件費は今後も賃上げの波によって上昇する見込みであるため、物件費の抑制に努めて歳出を削減する必要がある。

ラスパイレス指数の分析欄

国人勧と同水準の給与表を維持しているため、近年の変化は特にない。国、類似団体及び地域民間企業の平均給与の状況を踏まえ、給与の適正化に努める。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

第2次定員適正化計画を策定し、平成27.4.1で88名にするという目標を掲げて努力した結果、達成することができた。それ以降は職員数は減少傾向にある。しかし人口減少によって職員比率は増加する傾向にある。事業量と町の全体的な規模を鑑みながら、適正な人員配置に務める。

実質公債費比率の分析欄

国・県平均を大きく上回っており、単年だとすでに13%を超えている。近年地方債を財源とした大型の整備事業が相次いだため、令和6年からはそれらの償還が始まり公債費は徐々に増大していく。また、今後も地方債を財源として控えている大規模な事業計画があるため、これから5~7年間は公債費の上昇は免れない。他の財源を確保し起債依存型の事業実施を見直し、地方債発行額の上限枠設定や利率見直しのタイミングでの繰り上げ償還も視野に入れながら、単年で16%を超えないことを目標とする。

将来負担比率の分析欄

令和4年度は地方債の発行額が低く抑えられたが、令和5年度は再び増加し地方債の現在高が増えたため、将来負担比率も増加した。地方債を活用した事業は主に国民スポーツ大会カヌー競技場建設事業である。令和6年度もカヌー競技場の繰越による借り入れが大きいため、次年度はさらに上昇する見込み。交付税措置の高い地方債を活用しているものの、全国平均よりかなり高い数値にあり、自主財源に乏しく財源を地方債に頼っている状態にある。充当可能基金は取り崩しての財政運営にあるため、今後は充当可能財源を増やすためにも、適切な使用料といった受益者負担も検討していく必要がある。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2023年度)

人件費の分析欄

類似団体平均と比較すると、人件費に係る経常収支比率は低くなっている。主な理由としては戸籍・税・ゴミ処理業務等を一部事務組合で行っていることが要因である。しかし会計年度任用職員への期末・勤勉手当の支給や賃上げにより令和5年度は上昇しており、今後も上昇傾向は続く見込み。また一部事務組合の人件費分に充てる負担金や公営企業会計の人件費に充てる繰出金といった人件費に準ずる費用を合計した場合の人口1人当たりの歳出決算額は決して低くないため人件費全体について適正な管理を行う。

物件費の分析欄

類似団体と比べてほぼ平均的な水準にある。しかし、システム更新や施設の保守管理委託費といったランニングコストに係る経費が年々増加しており、物価上昇に伴う需用費の増や委託料に含まれる人件費の伸びも反映されるため、物件費は今後上昇する見込み。

扶助費の分析欄

扶助費に係る経常収支比率が、類似団体平均を上回っている要因として、権限移譲により、平成21.4.1から福祉事務所を設置していることが挙げられる。近年は人口減少に伴い、生活保護受給者の数や子どもに係る扶助費は減少傾向にあるが、高齢化に伴い医療費が増えてきているため、資格審査等の適正化や各種手当への特別加算等の見直しを進めていくことで、財政の圧迫傾向に歯止めをかけるよう努める。

その他の分析欄

経常収支比率に占める割合は3.8%減少したが、これは下水道事業会計が令和5年度より公営企業化し、繰出金を補助金と改めたためである。維持管理に係る経常的経費が増加しており、特に人口が少なく居住区域が点在している中山間地域であるが故に町道の管理に係る経常的経費が増加傾向にある。また老朽化している施設の維持管理経費は今後も増える見込みであり、公共施設総合管理計画に基づいた適切な施設管理が求められる。

補助費等の分析欄

補助費等に係る経常収支比率は類似団体平均を下回っていたが、令和4年度より簡易水道事業、令和5年度より下水道事業が公営企業化したことを受けて、繰出金を補助金としたため、公営企業会計への経常的な繰出金が経常経費として挙がっている。江津邑智消防組合や一部事務組合負担金の経常的なものに係る負担金も増加しており、今後も人件費の増やシステム改修に係る負担金の増額が見込まれ、他団体であるため抑制しがたい状況ではあるが、関係機関と連携を図り改善に向けて協議していく。

公債費の分析欄

過疎という条件不利地域内であり、大きな企業もなく自主財源に乏しいため、地方債を財源とする事業が多く、地方債残高が大きく元利償還金が膨らんでおり類似団体中高い数値となっている。加えて近年大型の整備事業が続いており、償還のピークは令和10年~11年と見込まれ、公債費が財政を圧迫することが懸念される。非常に厳しい財政運営の中ではあるが、事業の緊急性及び有効性を確実に見極め、安易に地方債に頼ることのないよう努める。

公債費以外の分析欄

前年度と比べ0.2%の減であり、類似団体平均は1.5%の増加のため、増減の仕方は逆であった。今後も物価上昇に伴う需用費の増や賃上げによる人件費の増は確実に見込まれるため、それ以外の経費において改めて支出内容の精査を行い、経常的な経費を押さえていく必要がある。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

消防費は令和2~3年度に防災拠点整備事業という大きな事業があったため、住民一人当たり300千円のコストがかかっていたが、令和4年度には一人当たり83千円と-73%の減である。しかし、防災集団移転事業が令和4~5年度はあったため、類似団体よりも高い水準となっている。教育費は類似団体を下回っていたが、令和5年度から国体カヌー競技場整備事業が始まったため一人当たりのコストは前年比88千円増となった。令和6年度も繰越があるため上昇する見込み。災害復旧費は大きな災害がなかったため、前年比27,082千円と大きく減となり、全国平均を下回った。衛生費は令和2~3年度にごみ処理施設建設負担金が大きな事業としてあったが、令和4年度からは類似団体を下回っている。土木費は令和3年度までは類似団体平均を下回っていたが、令和4年度以降は類似団体平均を上回っている。これはファミリー向け移住住宅の建設に係る経費が大きい。しかし、道路維持に係る経費は年々増加しているため、維持補修費と併せて今後増加していく見込み。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2023年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

歳出決算総額は、7,277,471千円であり、住民一人当たり1,760千円となっている。令和4年度は住民一人当たり1,569千円であったため、191千円の増額となっている。災害復旧費、維持補修費、公債費以外の項目について全て増加しており、特に普通建設事業費(新規整備)で国体カヌー競技場整備事業、ファミリー向け移住住宅整備事業等の大型整備事業があったため、住民一人当たりでは令和4年度に59千円だったものが208千円になっている。令和6年度もカヌー競技場整備の繰越や住宅整備も継続して行うため、住民一人当たりのコストは更に高くなる見込み。また、補助費の増加は下水道事業特別会計が公営企業となり、下水道事業会計となったため繰出金が補助費へと性質は変更となったため一人当たりのコストが前年比で55千円上昇している。同様に繰出金は下水道事業会計への繰出金が補助費となったため、前年比-51千円となり、類似団体を大きく下回った。扶助費が類似団体と比べて多いのは権限移譲により福祉事務所を設置しているためである。扶助費の決算額は501,191千円であり、前年比8,510千円の減であるが、住民一人当たりのコストは類似団体が前年比6千円の増のところ本町は22千円の増であり、人口減が影響していると考えられる。

実質収支比率等に係る経年分析(2023年度)

分析欄

令和5年度は単年度収支は赤字幅が広がっているが、財政調整基金に決算剰余金を積み立てたため実質単年度収支は黒字になっている。財政調整基金については、令和2年から取崩しをしない財政運営を行えており、令和5年度は積み増しも行うことができた。しかし、令和6年は財政調整基金を取り崩す決算になる見込みであり、今後も大型の普通建設事業費が続くことによる公債費の増、賃上げによる人件費の増、一部事務組合への負担金の増などにより、財政調整基金は取り崩さざるを得ない状況にあるため、財源確保や歳出削減を徹底する必要がある。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2023年度)

分析欄

連結実質赤字比率は全て黒字となった。普通会計である君谷診療所特別会計は、一般会計からの繰出金額を歳出決算額に合わせて調整しているため毎年ゼロ円決算となる。上記以外の特別会計についても、一般会計からのいわゆる赤字補填的な繰出金により黒字決算となっている。特別会計はその性格上、独立採算性を求められるものであるため、経費節減やサービスの対価の適正化を図り普通会計の負担額軽減に努める。簡易水道事業については、令和4年度より公営企業会計に移行し、簡易水道事業特別会計から簡易水道事業会計となっている。令和5年は下水道事業特別会計が公営企業化し、下水道事業会計となっている。

実質公債費比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

令和5年度については充当事業交付税措置率が高かった起債の償還終了に伴い算入公債費が119百万円の減となり、元利償還金も110百万円の減であったが、実質公債費比率の分子は増加した。公債費については、近年の大型整備事業の償還のピークが令和10~11年となっており、算入公債費も増えるものの、公債費の分子は増加していく。交付税算入率の高い地方債(辺地・過疎)の活用や充当可能な特定財源を確保した上での普通建設事業実施を基本とし、今後も地方債の発行については平準化を図り、比率の低下に努める。

将来負担比率(分子)の構造(2023年度)

分析欄

地方債については、原則として交付税措置されないものについては可能な限り発行しないこととしている。令和4年度に残高が一時的に減少したが、令和5年度は国体カヌー競技場整備事業などの大型事業があったため地方債現在高は再び100憶円を越した。充当可能基金は財調への決算剰余金の積立、減債へ国体カヌー競技場整備に係る償還に対する県補助金の積立及びがんばれ美郷町寄付基金に寄付の積立が取り崩し分より多かったため増加している。国体カヌー競技場以外にも令和6年度以降に大きな普通建設事業による地方債発行が控えており、基金を取り崩しての財政運営が見込まれるため充当可能基金も減少することにより、将来負担比率の上昇が想定される。今後も引き続き100%以下を保てるよう努力する。

基金残高に係る経年分析(2023年度)

基金全体

(増減理由)減債基金には国体カヌー競技場整備に係る償還に対する県補助金を積立て、財政調整基金には決算剰余金を積み立てることができた。しかし特定目的金については、当初予算で想定した事業について一定の取り崩しを行い、110百万円の減となった。(今後の方針)剰余金が出た場合には、従来は財調・減債・特定目的基金の取り崩しをできる限り少なくするという財政運営を行ってきたが、施設の保守管理経費や一部事務組合への負担金といった特定目的基金では対応できない歳出が増加しているため、今後は特定目的基金は基金の目的に沿った使途に取崩しを行い、財政調整基金の取り崩しを少なくしていく。また、公債費の利率が上昇しているため、今後は利率見直しでの繰り上げ償還も見据えて、決算剰余金が出た場合には財調・減債への積立を行う。

財政調整基金

(増減理由)取崩しは行わず、決算剰余金を80百万円積み立てた。(今後の方針)特定目的基金では対応できない一部事務組合への負担金やシステムに係る経費などに対応するため、剰余金が出た場合は一定割合を積み立てる。また、金利上昇の情勢を見ながら積極的に債券運用をし、利子収入を得ていく。

減債基金

(増減理由)国体カヌー競技場整備事業に対する県補助金の内、後年の起債償還に備える基金積立分75百万円を積み立て、取崩しも53百万円行ったため、差し引き22百万円増加した。(今後の方針)一定の金額を毎年取り崩す見込み。また。今後は繰り上げ償還を行う際の財源とするため、決算剰余金を財調と共に積み立てていく。

その他特定目的基金

(基金の使途)地域振興基金:町民の連帯強化及び地域振興に資する事業公共施設維持管理基金:公共施設の維持管理費がんばれ美郷町寄付基金:美郷町への寄付金を財源として寄付者の社会的投資を具体化するための事業地域福祉振興基金:地域福祉の振興及び高齢者保健福祉の振興のための事業電算機器管理基金:電算機気の維持、管理、更新(増減理由)がんばれ美郷町寄基金:寄付金の積立の増その他の基金:当初予算時に想定した事業のために取崩しを行った。(今後の方針)町の施策としての事業需要の増と令和6年度以降もほぼすべての特定目的基金の継続した取り崩しを行う見込み。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2023年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

町が所有する学校施設や公民館といった合併前からの有形固定資産の老朽化が進んでおり、令和4年度から令和5年度にかけて6%上昇している。過去数年の上昇率よりは高く、類似団体平均を超えたため、老朽化がかなり進んでいると言える。全国平均、島根県平均を超えており、公共施設総合管理計画に基づき適切な建物の更新及び統廃合を行っていく必要がある。

債務償還比率の分析欄

令和4年度から令和5年度は5.4%上昇した。これは地方債の発行額の増による将来負担額の増及び充当可能財源の減による、分子の増のため。類似団体も同様に上昇しているものの、町の規模からしても地方債残高がかなり高いため、危機感を持って財政運営を行う必要がある。今後は起債発行の平準化、繰り上げ償還の対策を取る必要がある。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が低かったが、初めて平均値を超えたため老朽化が進んでいるといえる。将来負担比率は新規の地方債の発行額が増加に転じたため地方債現在高が増加し、充当可能財源も減少したことにより増加している。今後も地方債を財源とした大型事業が予定されており、将来負担比率は増加する見込みではあるが、充当可能財源が令和6年度に増加する見込みがあるため、一時的には減少する。施設の老朽化が進む一方で、新規の施設整備も並行して行われるため、減価償却率は一時的には減少するが、将来的には上昇する見込み。公共施設の維持管理について整理が必要である。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率は新規の地方債の発行が増加したため地方債の現在高が増加し、それに伴い増加している。実質公債費比率は類似団体に比べてかなり高く、令和2年から行っている大規模事業の借り入れについて次々と据置期間を終了し、償還が始まるため今後も減る見込みはない。大型の地方債発行事業が続くため、数年後には実質公債費比率が単年で15%を超える可能性が高く、地方債発行の平準化が必須となっている。一方で将来負担比率は、地方債現在高が増加するため将来負担額は増えるが、充当可能財源等が増加する予定であり、交付税算入公債費も起債の借入と同時に増加していくため、将来負担額は来年度減少し、しばらく低い水準を保つ想定である。

施設類型別ストック情報分析表①(2023年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

美郷町は一級河川江の川が通っており、それにつながる支流が多いことから橋梁が比較的多く、一人当たりの有形固定資産額が類似団体と比べて多いと思われる。道路の一人当たり延長が多い理由としては、年々人口が減少していることによって人口密度が低いことが考えられる。その他の施設においても、人口減少に伴い一人当たりの保有量は増加している。減価償却率が類似団体から乖離しているものとしては、学校施設・公民館である。公民館は廃校になった小学校を利用しているところが大半であり、多くの施設の建設年度が古く、耐用年数が過ぎている建物も少なくない。美郷町は居住地域が点在しており公民館の集約は難しいため、今後も必要な維持修繕を行いながら管理していく。学校施設については町内に小中学校は2校ずつであり、統合しない限りは現在の施設を維持補修し活用していくため、年数経過に伴い類似団体との乖離幅が広がっている。全ての施設において老朽化は進むものの人口減少により利用者の減が見込まれ、維持管理をどこまで行うか、除却・譲渡など町の規模に見合った公共施設の管理をしていく必要がある。

施設類型別ストック情報分析表②(2023年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

図書館・市民会館については平成27年度に建て替えを行っているため減価償却率は類似団体に比べて低い状態が続いている。一般廃棄物処理施設は邑智郡3町で使用しているごみ処理施設の更新を令和2~3年に行ったため、減価償却率が大きく下がり、しばらくは類似団体平均よりも低い状態が続く見込みである。体育館・プールの減価償却率が86.5%と類似団体と比較しても高く、老朽化が進んでいる。合併以前からの施設であり、維持修繕費が毎年のようにかかるため、今後は人口減に伴い施設の集約化、除却を行っていく必要がある。消防施設は各地域分団の消防車車庫であり、大半が耐用年数を過ぎた状態である。消防分団は人口の割に多いため、その観点から考えると集約すべきであるが、美郷町は江の川流域であり災害時に消防団の活動は欠かせないため、施設の集約化によって影響がないか慎重に見極める必要がある。施設全般について、人口が減少しても統廃合を簡単に進められない施設が多いため、老朽化の状況を見つつ維持修繕を行い長寿命化を図っていく必要がある。

財務書類に関する情報①(2023年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

R4年度からR5年度に一般会計等において資産総額は4,067百万円減少、負債総額は104百万円増加した。資産の大幅な減は林道の異動によるものである。負債のうち金額の変動が大きいものは地方債であり、地方債の新規発行額の増加によるものである。特別会計を加えた全体会計では、資産総額は1,359百万円の減であり、建物・工作物等の有形固定資産の減価償却累計額の上昇によるものである。負債総額は2,635百万円の増であり、固定負債・流動負債とも増加しており、その他の固定負債や流動負債である未払い費用の増が要因である。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては経営経費が6,150百万円となり、前年度比30百万円の増となっている。そのうち経常経費は人件費物件費は減であったが、補助金等の増による移転経費の増が37,522百万円あり、結果的に30百万円の増であった。経常収益は94,970百万円の増であり、純経常行政コストは202百万円の減となった。臨時的損失は大きな災害がなかったことにより災害復旧事業費の減が大きく、161百万円の減となっており、純行政コストは164百万円の減となった。次年度以降人件費は上がる見込みであり、物価高の影響もあり経常的な経費は上昇する見込み。連結会計については、純行政コストが前年比213百万円の増となっており、一般会計等・連結会計等と異なり経常費用が223百万円増加している。これは人件費・物件費・移転費用の増によるものである。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、税収等の財源5,707百万円が純行政コスト5,892百万円を下回っており、本年度差額は▲184百万円となり、純資産残高は3,994百万円の減少となった。純行政コストは臨時損失である災害復旧事業費が大幅に減額となったことから、R4年度より減少しているため、本年度差額もR4年度よりは減少幅は小さい。しかし、無償所管替等(町の林道を県道に)によって本年度純資産の変動額が大きくなり、本年度末純資産残高は4,172百万円となった。全体会計、連結会計も同様の動きをしている。地方債の中には交付税措置のある地方債も含まれているため、その部分を加味するとこの指標の数値は高くなる。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支が804百万円であり、前年比218百万円の減であった。災害復旧費の減により臨時支出が減少し、業務収入・臨時収入も減少している。投資活動収支について前年比359百万円の減であり、これは国スポ施設整備、ファミリー向け移住住宅の整備などの公共施設等整備費支出の増、財調・減債基金への基金積立支出の増により投資的活動支出は760百万円増えたが、投資活動収入は400百万円の増に留まり、差額が大きくなったため。財務活動収支は地方債発行収入が539百万円の増となり、前年度比480百万円となっており、本年度末資金残高は14百万円増加し、211百万円となった。次年度以降も地方債の発行収入が大きくなるため、財務活動収支は増える見込みである。行政活動に必要な資金を地方債の発行収入によって確保している状況であり、行財政改革を更に推進する必要がある。

財務書類に関する情報②(2023年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たりの資産額は類似団体を初めて下回った。これは林道の異動があり、資産が大幅に減少したことが要因である。また、分母である人口の減少も影響している。R4年度からR5年度は国庫補助金等の増に伴い歳入総額が増加しているが、林道の異動による資産の減が大きく、歳入額に対する資産比率が類似団体よりも下回る結果となった。有形固定資産の減価償却率も初めて類似団体を上回り、老朽化が進んでいると言えるため、適正な資産規模を把握していく必要がある。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率はR4と比べて4.3%減少しており、将来世代の負担が増加している。社会資本等の形成の世代間負担比率も地方債の発行額の増及び林道の異動による資産の減によりR4より5.1%増加している。類似団体平均と比べて高い値が続いており、将来世代への負担は大きい。新規に発行する地方債の抑制を行うとともに、地方債残高を圧縮し、将来世代の負担の減少に努める。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

R4年度と比べて142万円減少しているが、この要因は分子である純行政コストにおける災害復旧事業費の減少であり、類似団体平均を若干下回った。純行政コストは人件費物件費の増加に伴い増加する見込みであり、人口減少も更に進むため、住民一人当たりの行政コストは増加する傾向にある。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

R4年度と比較すると一人当たりの負債額は8.3万円増加した。これは、地方債の償還額を発行額が上回ったことにより負債合計が増加したことによる。依然として類似団体との差は大きい。税収等の自主財源に乏しく公共施設等の整備に財源として地方債が欠かせず、今後も大きな施設の改修を予定しているが、新規に発行する地方債の抑制を行い、地方債残高を圧縮し、将来世代の負担の減少に努める。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

R4年度と比較すると0.6上昇しているが、受益者負担比率は類似団体平均を下回っており、行政サービス提供に対する直接的な負担の割合は低くなっている。経常費用の増額は今後も見込まれるところであり、サービスに対する対価についての検討が必要であると考える。公共施設等の使用料の見直しや施設の利用頻度を上げるための取り組みを行うなどし、受益者負担の適正化に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,