地域において担っている役割
地域中核病院の機能として、専門的症例や救急患者等受入れ、地域の医療機関との連携による総合的な医療の提供を行っている。二次医療圏においては、主にがん診療、小児・周産期医療、救急医療を担っており、救急医療においては、365日24時間体制で救急患者の受入を行っている。なかでも小児救急は当院小児科医に加え、市医師会および大学医学部等の応援をうけ小児科医が常駐する救急医療を提供している。
経営の健全性・効率性について
病床稼働率の向上および入院診療単価、外来診療単価の向上を目指し目標設定を行い、診療報酬制度への適切な対応に努めている。また、重症度の高い患者と幅広い症例の受け入れ、精緻で適切なDPCコーディングや効率的な入院医療を実践し、DPC制度の機能評価係数を高める対策を講じている。診療報酬の請求もれや減点を防止するとともに、未収金の未然防止対策と早期回収に努めている。経常収支比率と医業収支比率についても数値目標を設定し達成できるよう努めている。
老朽化の状況について
開設後39年が経過し、施設設備は老朽化している。加えて建物の一部が新耐震基準を満たしておらず早急な病院建替が必要であり、令和2年度には実施設計、令和3年度より本体建設の着工を予定している。一方で旺盛な建築需要の影響で特殊施設である病院建築費は著しく高騰している。今後、診療費の伸びが期待できない状況から、設備投資や建築費償還等が課題となる。そのため一層の経営努力が求められる。
全体総括
当院は平成20年度の地方独立行政法人移行後、収益を伸ばしてきた。一方で平成23年度から費用の伸び率が収益の伸び率を上回り、平成26年度は収益と費用が均衡、平成27年度は赤字決算となった。平成28年度より、病院運営及び経営の改善を行うべく当院のこれまでの収支構造を分析し、各部門において収益改善策を示し実践する収益改善実施計画を策定し実行に移した。病院全体で経営改善に取り組み平成29年度の決算は総収益(前年比4.6%増)、総費用(前年比3.1%増)、純利益1.8億円、平成30年度の決算は総収益(前年比7.6%増)、総費用(前年比4.6%増)、純利益6.2億円となり平成29年度に引き続き2期連続黒字となった。今後は、働き方改革等、変化に対応した病院経営が課題となる。