経営の状況について
駒発電所は水力発電所として昭和30年12月に完成し、翌31年1月10日に操業開始以来60年間稼動してきました。水力発電施設であることから天候に左右され、特に河川水量に大きな影響を受けますが、経営の健全性を図る「収益的収支比率」については、近年100パーセント以上を維持しています。同様に収益性を見る指標のひとつである「営業収支比率」も、操業開始以来、大規模な機器の故障や自然災害などもなく、水量も安定していることから、一定の電力収入を確保できており、100パーセント以上を維持しています。特に平成27年度は大きな風水害もなく、水量等条件に恵まれたため、大変良好な結果となりました。
経営のリスクについて
施設の供用開始から60年が経過し、施設・設備の劣化も進む中、計画的な修繕及び必要最低限の維持補修により、施設の延命化ならびに「修繕費比率」の低減を図ってきました。しかしながら、経年劣化は着実に進行し、施設および設備の更新が経営上の課題となっていました。平成24年7月に経済産業省による再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)が始まり、この制度を活用して売電収入ならびに経営の安定化を図りつつ、施設の大規模改修工事を実施することができないか検討を行いました。検討の結果、平成26年に改修計画を策定し、平成29年7月までの期間に設備、施設の改修作業を行いました。「FIT収入割合」が示すとおり、全国的に制度活用による売電収入が増加傾向にあります。今後、本市においてもFIT収入により経営状況が更に安定化し、事業の継続に資することが期待されています。また監視システムの導入も行い、天候に左右されやすい発電方式であることによるデメリットの解消にも努めており、一日平均発電能力に対する実際の一日平均発電量の割合を示す「設備利用率」も安定して推移しています。こうした経営努力の結果、企業債(借金)が収入規模に見合ったものであるかを測る「企業債残高対料金収入比率」も年々低減して推移している状況です。
全体総括
地域の電力供給施設として生活・文化の向上に資する一方、余剰電力の売電による財源確保を目的に駒発電所が建設されて以来、現在まで経営上健全な数値を保持し、適正な状況を継続してきました。これまで施設の修繕も計画的に実施しており、今回新たに大規模改修を実施したことによって、施設更新等に関する当面の課題は解消することができました。しかしながら水力発電は自然エネルギーを活用した事業であり、天候に大きく左右され、特に河川水量の変化による影響を受けることは避けることができません。そこで更なる経営基盤強化と財政マネジメントの向上を図ることを目的として、平成30年度までに「経営戦略」を策定する予定です。今後も本市電気事業の健全経営、適正管理に努めてまいります。