経営の健全性・効率性について
平成10年に事業着手、平成18年10月に一部供用を開始し、下水道普及率は現在31.56%と未だ整備途上の段階にある。このため、接続率も低く、使用料収入も脆弱で、起債や一般会計繰入金等の他の財源への依存が高い状況にあり、収益的収支比率や経費回収率も低く、単年度収支は赤字である。一方、料金収入に対する企業債残高の比率は類似団体平均を下回り、減少傾向で推移しており、建設投資の規模は概ね適切と思われる。また、汚水処理原価は、接続率が低く、有収水量がまだ少ない状況にあり、全国平均、類似団体平均を大きく上回り、汚水処理のコストは非常に高額となっている。以上の状況から、本市の事業は整備過程にあって、健全性、効率性は低いと言わざるをえない。
老朽化の状況について
平成10年から事業開始し、管渠の耐震化、更新については、現段階では構造的に問題はなく、今後10年は実施しない予定である。
全体総括
整備途上にあって、建設投資に多額の費用を要するものの、その財源となる使用料収入は脆弱で、使用料収入以外の収入に多くを依存する、経営としては厳しい状況にあると言わざるを得ない。今後も整備事業を進めていく上では、整備効率の高い地区を検証しながら計画実施していく必要がある。これに加え、整備後の接続促進への取り組みにより、有収水量を増やし、使用料収入の増加させることが、経営の健全化、効率化を図るうえでは欠かせない。多額の費用を伴う下水道への接続は敬遠され、使用料収入が伸び悩んでいる状況が課題としてあり、これを解消するためには、供用開始区域への地元説明会、下水道展の開催や各種イベントへの参加による下水道事業の周知、未接続世帯への接続推進活動、排水設備設置補助金の制度周知等、下水道事業への住民の方々の理解を広め、接続率向上への取り組みが必要である。