経営の健全性・効率性について
令和2年度より地方公営企業法を適用したため、令和元年度以前の数値は全て0となっている。①経常収支比率は、100%を超えており2年連続黒字決算とすることができた。また⑤経費回収率も100%であり、下水道使用料で回収すべき経費を全て賄えている状態であり、経営状況は概ね良好であると言える。②累積欠損金比率は、4.53%となっている。当市の場合は開始貸借対照表の時点で負債・資本剰余金の合計が資産の合計を上回り繰越欠損金からのスタートとなっている。これは企業債元金と減価償却費の差額により生じたものだが、2年連続で純利益となったことから改善されている。③流動比率は流動負債に占める企業債元金償還の割合が高いため低率となる傾向にあるが、令和3年度は100%を超えることができた。また一時借入も行うことなく支払能力の改善が見えた。④企業債残高体事業規模比率は、類似団体及び全国平均と比べても高い値となっている。これは建設事業を進めているためで今後の区域拡大後の使用料収入の伸びにより改善されるよう接続率促進に努める必要がある。⑥汚水処理原価は類似団体や全国平均と比較して高い値を示しているが若干の減少が図れた。今後も維持管理費の削減や接続率の向上に努める必要がある。⑦施設利用率は中央浄化センターが区域拡大中であることから低い率となっている。⑧水洗化率は大規模な住宅団地が公共下水道に認可されてから高い率となっている。
老朽化の状況について
当市の公共下水道は、供用開始が平成18年で比較的新しく、新設管渠については、古いものでも十数年程度の経過であったが、民間から市に移管された大規模住宅地施設が公共下水道となったことから令和3年度老朽化率12.71%となった。③管渠改善率は令和3年度も0%である。現在「名張市公共下水道ストックマネジメント計画」を策定し、管路のみならず、汚水処理場やマンホールポンプ施設も含め老朽化対策に取り組んでいる。
全体総括
平成10年に事業着手し、平成18年3月から一部供用開始をした当市の公共下水道は、「名張市下水道整備マスタープラン」、「名張市公共下水道全体計画」に基づき計画的に未普及解消、住宅団地の移管接続等の事業に取り組んでいる。令和2年度には住宅地の大型汚水処理施設の区域が公共下水道の認可をうけることとなり、公共下水道事業の処理水量、維持管理対象施設(管路含む)が増え、それに伴う汚水処理費も増大している状態である。接続率の向上による使用料の増収はもちろんのこと、補助事業の活用、大規模修繕への起債充当など、使用料以外の収入も確保を工夫しながら、一般会計繰入金に依存しない経営となるよう努力していく必要がある。また地方公営企業法としての決算数値を踏まえた経営状況の分析を行うとともに、公共下水道事業全体計画、ストックマネジメント計画で算出された事業費の情報を盛り込んだ経営戦略を令和4年度に改定する予定となっており、今後は経営戦略を活用し経営改善に取り組んでいく。