経営の健全性・効率性について
収益的収支比率については、現在100%未満ではあるが、経年で比較すると徐々に100%に近づいているため、今後も維持管理費の削減や定期的な使用料単価の見直しを継続していく。企業債残高対事業規模比率については、使用料単価の定期的な見直しを行っていること、供用開始から15年程度であるため老朽化した管渠もないため、更新を行っていないことから類似団体と比較しても低い数値を示しており、今後も適切な投資を行っていく。経費回収率は、平成26年度において100%以上になっており、現状においては適切な使用料単価の設定となっているが、今後も定期的な見直しを行うことにより適正な使用料単価を維持する必要がある。汚水処理原価については、ポンプ場施設を設置する必要がなく、維持管理費を抑えることができているため、類似団体と比較しても低い数値となっており、今後も効率的な汚水処理を継続していく必要がある。施設利用率については、類似団体と同様な数値であるが、今後面整備が進むと処理水量も増加していくため、向上してくと考える。水洗化率については、90%を超える数値となっており、類似団体と比較しても高い値となっているが、今後も未接続者への啓発を行い、100%に近づける努力を継続する。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は最も古い管渠でも供用開始後15年程度と、比較的年数が経過していないため、現状では老朽化に伴う管渠の更新は行われていない。今後、年数が経過するに従い、管渠の老朽化が進行していくため、計画的な更新が必要となる。また、処理施設に関しては耐用年数(概ね20年)に対し、使用年数(15年程度)が近づいているため、突発的な故障による機能不全に陥らないよう、今後も計画的な予防修繕を行っていく必要がある。今後は企業会計化等による資産状況の把握を行うことにより、限られた予算の中で管渠・施設の効率的な維持管理を行う予定である。
全体総括
本市の下水道事業の経営状況は類似団体と比較しても、健全な経営となっている。しかし、今後、歳出では管渠の更新や、処理施設の維持修繕等にかかる費用の増加が想定され、歳入においては使用者の節水等による使用料収入の減少等、様々な課題が予測される。それらに対応していくため、今後は企業会計化により保有資産の状況や経営状況を正確に把握し、計画的かつ効率的な維持管理を行うこと、また使用料単価の定期的な見直し等による歳入の確保が求められる。