地域において担っている役割
当院がある安芸灘島しょ部地域は,呉市で最も高齢化が進んでおり,また,市街地の総合病院に行くには有料道路を通って十数キロ行く必要があるなど,交通も不便で,民間の医療機関も少ない地域である。当院は,発熱患者の診療・検査機関として,新型コロナウイルス感染症疑いの患者を受け入れているほか,急性期後の在宅復帰に向けた医療や救急医療を提供している。地域のかかりつけ医としての役割を担い,他の医療機関等と連携し,適切な医療につなげるなど,住民の生活を支えている。
経営の健全性・効率性について
医業収支比率,累積欠損金比率及び病床利用率は,まだ類似病院平均値よりもよい数値だが,経常収支比率は,平均を下回っている。新型コロナウイルス感染症の蔓延もあり,入院患者数が増えないことなどが,医業収益が伸び悩んでいる要因と考える。会計年度任用職員制度の開始により,職員給与費対医業収益比率が悪化している。材料費対医業収益比率は,平均を下回っており,医薬品等は適切に管理できていると考える。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率及び器械備品減価償却率が,類似病院平均値を上回っており,老朽化した機器等の計画的な更新が求められている。1床当たり有形固定資産は,平均を下回っているので,資産の有効活用はできていると考える。
全体総括
新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中,収益の根幹である医業収益の増加を図るには,病床転換を図るなど,入院患者数の増加以外での収益の増大を目指すことが重要と考える。収益の減少が続いている状況で,人材確保や老朽機器等の更新等の費用の増が考えられ,経営状況は厳しいが,安芸灘島しょ部地域の医療を支えていくため経営改善に努めていく。