地域において担っている役割
山間へき地において、医療、介護、福祉の中核を担っており、開業個人医院、診療所、町内福祉施設などと連携し、健康教育、予防医療、健康診査、リハビリテーション、在宅支援などを含めた、地域包括ケアの中心であるとともに、そのけん引役である。また、救急告示病院として指定されており、医師が常駐し、いつでも必要な医療を受けることの出来る、医療機関として、地域住民の健康を維持し、質の高い生活を送るための大きな支えとなっている。
経営の健全性・効率性について
収益の中心となる入院収益については、病床利用率70%を堅持することを目標として設定している。現在は70%付近で推移しているが、そこが経常損益の分岐点にもなっている。経費については、医業費用のうち固定経費である人件費、委託料(機器保守等)、材料費、減価償却費などが大きなウエイトを占めている。この経費を抑えることで、利益の増加を図ることは可能ではあるが、一定水準の医療を継続していくためには必要な経費であるため、安易な削減は行わず、運営状況を勘案し、スタッフとともに検討を行いながら、効率的な事業運営、経費節減の実施に努めていく。電子カルテシステムやCT装置などの医療機器については病院運営に欠かせないものとなっているが、病床数の少ない小規模病院では、規模に比べその負担が大きい。
老朽化の状況について
現在の病院は、平成12年5月に新築し、18年余りが経過している。付帯する空調施設などの設備については、経年劣化や耐用年数の経過に伴い順次更新を行っており、改修費用が必要となってきている状況である。医療機器については、耐用年数や使用状況により、順次更新を行っているところである。何れも計画的な更新を行い、負担の平準化に努めている。
全体総括
身近な地域のかかりつけ医療機関であるとともに、救急、入院を担っており、同様の機能を有する近隣の医療機関までは車で30分以上を要するため、当地域において必要不可欠な医療機関である。地域での役割を果たすためには、現在の規模、機能を維持していくことが必要であるが、人口減少などにより、運営状況は厳しさを増していくことが予想され、さらに効率的な運営が求められる。地域連携機能の強化による入院増加や検診事業の拡大などによる収益増加に努めるとともに、委託費用の節減など、経費の見直しを進めていく必要がある。