経営の状況について
【ごみ発電】ごみ質の変化や故障等による売電量の減少や、バイオマス比率や燃料費調整額の変動による売電収入の減少があるが、経営状態は安定している。主たる事業がごみ処理事業であることから、人件費や発電費等の営業費用の大部分はごみ処理事業で負担している。供給原価は燃焼時の助燃材(灯油)の経費負担や、設備の改造や老朽化等で自家消費が増えて売電量が減少したことで、年々上昇傾向にあるが電気事業全体の全国平均と比較しても大差はなく、また、地方債償還が平成30年度で終了するため、その後は改善されると思われる。また、ごみ発電量は、将来的にごみ量の大きな変動は考えにくいことから今後も安定的に推移していくと思われる。また、剰余金の一部を主たる事業のごみ処理事業に繰出しているため、繰出金の額により、減価償却前営業利益が減少することもあるが、収益自体は安定している。【風力発電】近年、設備の老朽化による機器の不具合、故障等が頻発し、修繕費が増加している。また、それにより運転停止期間が長期化する傾向にあり、売電量の減少により経営状態不安定化の要因となっている。発電開始時から直近までの平均風速はほぼ変化がないため、売電量が減少しているのは機器不具合による運転停止によるところが大きい。経営の安定化のためには、定期保守点検時に不具合箇所を早期に発見し、大規模修繕に繋がらないよう、未然防止策を講じていく必要があると考える。ただし、地方債償還が平成29年度で終了するため、その後の経営は比較的安定していくものと思われる。
経営のリスクについて
【ごみ発電】設備利用率は60%程度であるが、全国平均よりも高く、また年間発電量はほぼ当初計画を満足しており稼働状況も安定している。発電設備のメンテナンス経費はごみ処理事業で負担しており、廃棄物発電事業では特定供給のための配電線路や計量器の更新の経費のみとなっている。これまで大きな修繕はなく、経営に大きな影響を与えていない。料金収入に対する企業債残高の比率は全国平均よりも高く推移しているが、FIT(固定価格買取制度)移行後は料金収入が増加し、また償還は平成30年度で終わることから、将来的な経営リスクにはならないと考えている。FIT移行後、料金収入が増加し経営が安定している。現行施設稼働期間中は、FITが適用される見込みであることから、今後も安定して料金収入が得られると考えている。【風力発電】設備利用率は全国平均を下回っており、年間の発電量も当初計画を満たしていない状況となっている。老朽化による各機器の故障頻度が高まっていることから、修繕費比率は高めに推移しており、平成23~26年度は全国平均も上回っている状況である。修繕費の増加が経営に与える影響は大きく、今後の経営安定化のためには保守点検の徹底による不具合箇所未然防止策を講じるなど、修繕費比率の低減に向けた取組が必要と考えている。企業債残高対料金収入比率は、ほぼ全国平均並みに推移している。また、平成29年度で償還が終了することから、将来的な経営リスクにはならないと考えている。売電収入に関して、100%FIT収入となっているため、当該適用期間中は安定した売電収入が見込まれるが、固定価格買取制度の調達期間終了後には収入減少リスクが高まるため、それを見越した対策の検討が必要と考える。
全体総括
風力発電は設備修繕費の増加、運転停止期間の長期化に伴う売電収入の減少などにより経営状態が不安定化の傾向にあるものの、ごみ発電の安定稼動により総合的に見ると安定した経営ができていると考える。地方債については、風力発電は平成29年度、ごみ発電は平成30年度で償還が終了することから、それ以降は経営は安定化していくものと考えられる。ただし、いずれもFIT収入割合が高いため、固定価格買取制度の調達期間終了後の収入減少リスクが高く、当該リスクへの対応策を早期に検討していくことが必要と考える。なお、キララトゥーリマキ風力発電所は、平成15年2月24日の発電開始以降運転を継続しているが、財務省が定める固定資産の法定耐用年数が平成31年度までとなっているため、当該年度の設備や発電状況等を踏まえ、その後の経営判断を行う。また、出雲エネルギーセンターは平成33年度末で閉鎖予定であり、次期施設の発電事業の詳細な方針等が決定した後、経営戦略の策定の必要性について検討する予定である。