経営の状況について
○平成27年度における「収益的収支比率」(料金収入や一般会計からの繰入金等の総収益で、総費用と地方債償還金がどれくらい賄えているかを示す)及び「営業収支比率」(料金収入等の営業活動から生じる収益で、発電費等の営業費用がどれくらい賄えているかを示す)は、それぞれ683.1%、615.6%で、いずれも100%以上となっており、26年度に引き続き27年度においても当該電気事業全体の収支及び営業収益は黒字となっています。なお27年度は発電装置の不具合により約3ヶ月間の稼動停止期間があったため、26年度と比較して各収支比率は下がっています。○販売電力料1MWhあたりにどれだけの費用がかかっているかを示す「供給原価」については、26年度に引き続き27年度においても平均値を大きく下回り、他団体に比べると費用は安価となっています。なお27年度は発電装置の不具合により約3ヶ月間の稼動停止期間があったため、26年度と比較して供給原価は高くなっています。○経年の推移をみて収益が継続して成長しているかを判断する指標である「EBITDA」(減価償却前営業利益)については、収益性を経年比較して上昇していることが必要です。本指標では26年度は中途からの稼動であり、27年度は稼動停止期間の影響があるため単純に比較はできませんが、前年に比べて数字は上がっています。
経営のリスクについて
○本来備えている発電能力と実際の発電電力量との割合で、設備の利用状況や適正規模判断する指標である「設備利用率」は、一般的には高い数値であることが望まれ、経年比較により施設の効率的な運用について確認できます。26年度は稼働開始年度であり、稼働期間が4ヶ月であったことにより設備利用率は、25.4%と低い比率となりました。27年度は、約3ヶ月の稼働停止期間があったものの、対前年に対しては、設備利用率が向上し42.3%となりました。設備利用率が100%を大きく下回る原因については、本施設が河川からの取水による発電施設であり、その取水にあっては、季節毎で取水制限があり、年間を通じて最大出力での稼働ができないためです。今後、通年の適正な設備利用率を把握し、施設の効率的な運用に生かしていくことが必要です。○費用のうち、施設修繕、管理やメンテナンスにかかっている割合を表す「修繕費比率」は、経費が発生しなかったためゼロとなっています。○料金収入に対する企業債残高の割合を表す「企業債残高対料金収入比率」は、企業債の起債が無かっためゼロとなっています。○料金収入のうち、再生可能エネルギー固定価格買取制度により売電した収入の割合を表す指標「FIT収入割合」については100%となっており、固定価格買取制度の期間終了後、収入が減少するリスクについて今後検討が必要です。
全体総括
○電気事業全体の経営状況については、稼動して間もないことや不測の発電装置の不具合により十分指標に反映されていない部分もあるものの、現段階では大きな改善事項はありません。今後も適切な経営を行い、各種指標による分析を継続していく必要があります。○安定経営のためには、設備利用率を高く維持することが重要であり、適切な維持管理を行うためには将来必要となる修繕、維持管理費用の積立等を適切に行っておく必要があります。○H31年度を目処に策定を予定している経営戦略のなかで、将来にわたって安定的に事業を継続していくための中長期的な事業計画、効率化、経営健全化のための取組み方針等を盛り込む予定としています。