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歳出面では、人件費の増があったものの、繰出金が減となったため全体ではほぼ同額となっている。一方で歳入面では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、市税などの大幅な減があり、経常収支比率は昨年度と比べ、6.3ポイントの上昇となっている。経常収支比率の構成費では、類似団体内平均値と比較して公債費が著しく高い水準となっている。令和元年12月に策定した中期財政運営方針(令和2~6年度)に基づき、地方債の繰上償還や遊休土地の積極的な売却など、今後も健全な財政運営に努め、財政構造の弾力性について改善を図る。
これまで行ってきた職員定員の削減等の効果により人件費の減に取り組んできたが、令和2年度は会計年度任用職員制度の開始に伴い、実質職員給全体では増となったものの、委託料等の物件費が減少しているため、全体としては昨年度と比べ減少している。類似団体内平均値より高い水準となっているため、今後も中期財政運営方針等に基づき人件費の適正化に努めるが、これと並行して事務の委託化の推進に伴う物件費の増加が見込まれる。今後は、人件費と物件費の合算額に注意した行財政運営を行うよう努める。
行財政改革推進計画に基づき、平成13年1月から24ヶ月昇給延伸を行ったこと及び平成23年度より給与カット等を行ってきた。平成27年4月1日から段階的に削減率を緩和したことで上昇したものの、令和2年度は前年度と比べ微減。依然として類似団体内平均値を大きく下回る低水準にある。
空港関連の都市基盤整備等の事業推進や空港を管轄する消防業務のために必要な人員を確保したことにより、類似団体内平均値と比較して高い水準となっていたが、消防事務を一部事務組合(泉州南消防組合)へ移管した平成24年度から同平均値と比較して低い水準となった。令和2年度は、概ね前年度並みで推移しており、今後も中期財政運営方針及び定員適正化計画等に基づき、より適正な定員管理に努める。
空港関連の都市基盤整備等を進め、その財源に地方債を活用した影響で、類似団体と比べて公債費の負担が重くなっている。令和2年度は、新型コロナウイルス感染症拡大による減収に対応するため減収補てん債やりんくう総合医療センターへの貸付のため特別減収対策企業債を新規発行したものの、10億円の繰上償還などにより実質公債費比率は1.5ポイント改善した。今後も中期財政運営方針に基づき、計画的な地方債の発行を行うことで、公債費の抑制に努める。
空港関連の都市基盤整備等を進め、その財源に地方債を活用した影響で、一般会計等の地方債現在高が標準財政規模の約2.92倍の688億円となっている。また、空港対岸の「りんくうタウン」の造成に関して、公費負担となる雨水整備を最優先で進めたため、公営企業債等繰出見込額が146億円となっていることが将来負担比率を押し上げている要因である。令和2年度は、標準財政規模の増などで将来負担比率の分母は2億円増加したが、基金残高の減などで分子が9億円増加したことにより将来負担比率は前年度より3.7ポイント増加した。地方債残高は依然として高水準であるため、今後も中期財政運営方針に基づき、計画的な地方債の発行に努める。
会計年度任用職員制度の開始に伴い実質職員給全体では増加となったため、昨年度と比べて2.8ポイント増加したものの、人員適正化等の取組により類似団体内平均値は下回っており、職員の給与水準を示すラスパイレス指数も類似団体内平均値を下回っている。今後も中期財政運営方針及び定員適正化計画等に基づき、人件費の適正化に努める。
令和2年度は前年度並みで推移しているが、類似団体内平均値より高い水準であり、主な要因は各種業務の委託料である。今後も職員の定員削減に伴う事務委託の増加が見込まれるため、新たに発生する委託料について、特に注意を払いながら物件費全体の精査に努める。
障害者福祉に係る扶助費が増加したことなどにより、前年度比0.6ポイント増加。類似団体内平均値を若干下回る水準であるが、各種扶助費の支給については、今後も増加すると見込まれるため、適正化に努めていく。
類似団体内平均値と比較して高い水準となっているものの、繰出金の減により昨年度と比べて3.6ポイント改善している。これは、空港対岸の「りんくうタウン」の造成に関して進めた雨水整備に対する下水道事業への繰出金が減少したことによるものである。下水道事業は令和2年度より法適化となることから、繰出金が減少し、補助費等が増加したものである。
令和2年度は昨年度と比べて5.9ポイントの増加となっており、下水道事業の法適化による繰出金から補助費等への組みかえが増加の主な要因である。また、類似団体内平均値を大きく上回っており、これは泉州南消防組合、泉佐野市田尻町清掃施設組合及び地方独立行政法人りんくう総合医療センターへの負担金が主な要因である。それぞれ自立的・効率的な経営に努めるが、引き続き、これらを含めた補助費等全体の精査に努める。
公債費は経常収支比率(合計分)が類似団体内平均値と比較して高い水準となっている主な要因であり、費目別の経常収支比率において類似団体内で高い水準である。これは、空港関連の都市基盤整備等を積極的に進め、その財源に地方債を活用した影響で公債費負担が重くなっているためである。今後も中期財政運営方針に基づき、計画的な地方債の発行を行うことで、公債費の抑制に努める。
公債費以外に係る経常収支比率は、令和2年度は人件費が増加したことなどにより5.7ポイント増加した。構成比は高い方から順に人件費、補助費等、物件費、扶助費、その他となっており、構成比において高い割合を占める各費目について、人件費、扶助費以外は類似団体内平均値より高くなっているため、注意して比率の改善に努める。
(増減理由)ふるさと応援寄附金の積立による増があった反面、ふるさと応援寄附金の目的に応じた事業に取り崩したことで、基金全体の令和2年度末残高は減少して、131億94百万円となった。(今後の方針)中期財政運営方針に基づき、財政調整機能を有する基金の残高を可能な限り保持していくことで、安定的な財政運営を目指す。
(増減理由)・令和元年度黒字の1/2にあたる67百万円を積立てた。・一般財源として取り崩したことで令和2年度末残高は令和元年度末残高と比べて231百万円減少した。(今後の方針)安定した財政運営を行っていくために、基金残高を保持していく。
(増減理由)減債基金を活用して計画的に繰上償還を実施していることから、令和2年度末残高も減少している。(今後の方針)中期財政運営方針に基づき、地方債残高を令和6年度には標準財政規模の約2.5倍の580億円以下とするため、減債基金を活用し計画的に繰上償還を実施していく。
(基金の使途)【広報公聴基金】広報及び公聴業務の円滑な運営と充実を図る経費に充当。【国際交流振興基金】国際化の進展に伴い、国際交流の振興に図る経費に充当。【職員福利厚生基金】職員の福利厚生に要する経費に充当。【公共施設整備等基金】公共施設の整備を図るため並びにふるさと応援寄附金事業に要する経費及びふるさと応援寄附者が指定した事業に要する経費に充当。【福祉基金】社会福祉活動の推進に要する経費に充当。【環境衛生事業基金】環境衛生事業の推進に係る経費に充当。【公園等整備基金】公園、広場及び緑地の整備に要する経費に充当。【芸術文化振興基金】芸術及び文化の振興に要する経費に充当。【ふるさと文化資料基金】歴史民俗資料等の文化資料を取得し、保存し、又は活用する経費に充当。【市営住宅整備基金】市営住宅の整備を図る経費に充当。【地域経済振興基金】地域経済の発展と産業振興を図る経費に充当。【自治振興基金】地域における自治活動の振興と住民自治の促進を図る経費に充当。【教育振興基金】スポーツの振興、図書の充実その他教育の振興に要する経費に充当。【森林環境譲与税基金】森林の整備及びその促進に関する施策に要する経費に充当。【退職手当基金】職員の退職手当の支払に要する経費に充当。【災害セーフティ基金】自然災害をはじめ感染症等の危機から市民の生命及び財産を守るとともに、支援活動、復旧対策等に要する経費に充当。【公益活動応援基金】地域の各種団体が自主的に実施する地域の活性化や課題の解決に向けた公益活動への助成に要する経費に充当。(増減理由)ふるさと応援寄附金の目的に応じた事業に取崩したことで減少した。(今後の方針)ふるさと応援寄附金を目的に応じた事業に取崩す。
それぞれの公共施設等について個別施設計画を策定済みであり、当該計画に基づいた施設の維持管理を適切に進めている。個別施設計画策定に際して各施設の老朽化状況の調査を行い、施設ごとの使用可能年数を見積もっているが、使用可能年数を基にした平成29年度の有形固定資産減価償却率は56.9%であり、類似団体内平均値を下回っている。なお、平成30年度から令和2年度決算に係る固定資産台帳については、令和3年3月31日時点で未整備であるため、本市の数値は表示していない。
債務償還比率は、地方債残高や土地開発公社を含む設立法人の負債額が大きいため、類似団体内平均値と比べると高くなっている。将来負担額については、中期財政運営方針において、計画的な基金活用により基金残高を確保しつつ、地方債残高の減少に努めることとしており、令和6年度の将来負担率130%以下をめざしている。今後も事業費の精査等を行うとともに、地方債の新規発行の抑制や、地方債の繰上償還の実施などにより、地方債残高の減少に努めていく。また、土地開発公社については、今後も経営の健全化を進めることで、負債の解消に努めていく。
平成29年度において将来負担比率は類似団体内平均値と比べて高い水準にある一方、有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値よりもやや低い水準となっている。これは、公共施設等の集約化・複合化を積極的に進めてきたことにより、新たな施設の建設に係る起債額が増加する一方、老朽化した施設の除却が進んだためであると考えられる。公共施設等総合管理計画において、公共施設等の保有量を40年間(令和4~43年)で25%削減という目標を設定しており、長寿命化の取り組みを効果的に実施し、更新等費用の縮減及び財政負担の平準化を図り、保有量削減と同様の効果をもたらすように努めていく。なお、平成30年度から令和2年度決算に係る固定資産台帳については、令和3年3月31日時点で未整備であるため数値は表示していない。
将来負担比率、実質公債費比率ともに類似団体内平均値を上回っており、高水準な地方債残高が大きな負担となっている。このため、中期財政運営方針に基づき、将来負担率については、一時的に改善しているものの計画的な基金活用により基金残高を確保しつつ、地方債残高の減少に努めることで将来負担額の改善を図り、令和6年度時点で130%以下となることを目標としている。また、実質公債費比率については、地方債の繰上償還などを実施しながら令和6年度時点で10%以下となることを目標としている。
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