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景気の回復等による個人市民税所得割の増や大規模商業施設の完成等による固定資産税の増等に伴う地方税収の増加により、基準財政収入額が増加した一方で、基準財政需要額についても社会保障関連経費の伸びにより増加し、財政力指数は横ばいとなった。松原市は住民一人あたりの市税収入が類似団体内平均値と比べて低く、財政基盤が脆弱なことから、引き続き企業誘致や、土地区画整理事業によるまちづくりを進めるとともに定住人口の獲得に取り組み、市税収入の確保に努めることで、財政基盤の強化を図る。
歳出においては退職者の増により、退職手当等で人件費が増加したほか、新型コロナウイルス感染症の影響の減少に伴い、生活保護費における医療扶助や障害者自立支援費等で増加となった。歳入では、市税において大型商業施設の完成等により、固定資産税が増加したほか、国の補正予算に伴い、普通交付税で臨時経済対策費等の追加交付があったものの、臨時財政対策債が減少したことから、経常収支比率は前年度より2.2ポイント増となった。類似団体内平均値よりも高い数値で推移していることから、企業誘致やまちづくりによる税収等の自主財源確保に加え、デジタル化の推進による事務の効率化や既存事業の見直し等、行財政改革に努める。
類似団体内平均値に比べ低くなっているのは、主に物件費を要因としており、一部事務組合による可燃ごみの共同処理や処理区分の見直し等の行財政改革を実施してきたことによるものである。公共施設の維持管理に多額の経費を要することから、公共施設等総合管理計画に基づき、施設のあり方の検討や効果的な維持修繕に努めていく。
本市のラスパイレス指数については、過去の事業の整理に伴う職員の任用が影響し、これまで100を超える水準となっていたが、採用と退職による職員の構成の変動より、ラスパイレス指数は減少傾向にある。
前年度に比べて、元利償還額が203百万円の減となったため、実質公債費比率は0.8ポイントの減となった。近年発行した地方債の元金償還や、公共施設の改修等が今後見込まれるため、事業の精査と計画的な地方債の発行により、引き続き財政の健全化に努める。
将来負担比率については、地方債発行額の減少に加え、財政調整基金等の充当可能基金残高も増加したことで、前年度に比べて13.6ポイント改善した。類似団体内平均値と比較すると10.4ポイント上回っているが、これは市民病院閉鎖に伴う第三セクター等改革推進債や、下水道事業の地方債残高が高いことによるものである。今後償還が進むことにより、将来負担比率の減少が見込まれるが、公共施設の改修等が見込まれるため、事業の精査と計画的な地方債の発行により、引き続き財政の健全化に努める。
退職者の増に伴う退職手当の増により、前年度より1.4ポイント増加しており、類似団体平均値を0.9ポイント上回っている。今後も時間外勤務の抑制や、人員の適切な配置に努め、人件費の抑制を図っていく。
物件費が類似団体平均値を下回っているのは、清掃事業における収集業務の技能職員や学校技能員等について直接雇用しており、業務委託等を導入していないことによるものと考えられる。今後も、施設の維持管理や運営に指定管理者を導入する等、運営の効率化を含めた行財政改革に努める。
高齢化の進展に加え、低所得者層が多いことから、扶助費は類似団体平均値を2.0ポイント上回っている。令和4年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響が減少したことに伴い、生活保護費における医療扶助の増、障害者自立支援費等の増により、前年度から1.2ポイント増加した。
その他としては繰出金が主なものであり、高齢化に伴う、介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計、国民健康保険特別会計への繰出金が多いため、類似団体内平均値を1.7ポイント上回っている。今後も高齢化の進展に伴い、繰出金の増加が見込まれることから、各種予防施策の実施による医療費抑制の取組みや介護予防事業等の取組みを進め給付費の抑制に努める。
補助費については、下水道に伴う下水道事業会計への補助金負担が大きいことに加え、小中学校の給食無償化の実施や大規模商業施設開業に伴う企業立地促進補助金の増加により、類似団体内平均値を1.4ポイント上回っている。下水道事業会計については、企業誘致や土地区画整理事業などに伴う大口需要者よる使用料増加に加え、水洗化率の向上等に取り組むことで経営体制の改善に努め、補助金支出の抑制を図る。
退職手当債の償還が進んだことや猶予特例債の償還終了により、公債費が減となったため、前年度から0.6ポイントの減となったが、病院閉院に伴う第三セクター等改革推進債の残高が残っていることから、類似団体内平均値を0.2ポイント上回っている。償還のピークは過ぎたが、依然として公債費負担が大きいことから、施設のあり方等の検討を進め、起債発行額の抑制を図る。
公債費以外については、人件費における退職手当の増や扶助費の増により、前年度より2.8ポイント増加している。低所得者層が多いことや高齢化の進展に伴う扶助費や繰出金については今後も増加が見込まれることから、公共施設のあり方の検討等、歳出削減に取り組むとともに、企業立地促進制度や、土地区画整理事業による税収の増加、使用料の見直しの検討等による歳入確保に取組み、経常経費の収支改善を図る。
(増減理由)令和4年度末の基金残高は、普通会計で6,401百万円となっており、公有財産の跡地利用等により売払収入、貸付料、寄附金等を2,201百万円積立てたが、財源調整や事業への充当により52百万円の取崩しを行い、2,149百万円の増となった。(今後の方針)公有財産の利活用のほか、企業誘致や土地区画整理事業等で、市税収入の増加に取組み、基金現在高の増加に努める。
(増減理由)令和4年度末の基金残高は、4,443百万円となっており、公有財産の売払収入、寄附金等を1,960百万円積立てたが、大堀環境監視局の維持管理経費により7百万円取り崩したため、1,954百万円の増となった。(今後の方針)さらなる財政健全化に取組み基金からの取崩しを抑えるとともに、企業誘致や土地区画整理事業による税収の拡大、公有財産の有効活用により積立額を増加させることで、基金現在高の増加に努める。
(増減理由)令和4年度末の基金残高は、483百万円となっており、基金運用収入を積立てたが、少額のため横ばいとなった。(今後の方針)臨時財政対策債償還基金費として積立ている部分については、令和3年発行分の元金償還開始に合わせ、計画的に取り崩しを行う。
(基金の使途)・商業活性化事業等基金…商店街及び商業集積づくり等の商業活性化事業、歴史ある道等特色ある道路整備のための資金・公共施設整備事業基金…公共施設整備、市債償還のための資金・新型コロナウイルス感染症等対策推進基金…新型コロナウイルス感染症等に関する感染拡大防止等の対策費用のための資金・文化振興基金…文化振興事業の充実を図るための資金・子ども未来基金…子育て支援の充実を図るための資金(増減理由)・商業活性化事業等基金…令和4年度末の基金残高は、335百万円となっており、駅前商業施設の貸付収入等を67百万円積立てたが、商店街活性化事業や特色ある道路整備に17百万円取崩したため、50百万円の増となった。・公共施設整備事業基金…令和4年度末の基金残高は、188百万円となっており、用地処分に伴う財産区からの繰入金や寄附金等を41百万円積立てたが、府営土地改良事業による負担金として7百万円取り崩したため、35百万円の増となった。・新型コロナウイルス感染症等対策推進基金…令和4年度末の基金残高は、186百万円となっており、寄附金を82百万円積立て、取り崩しを行わなかったため、82百万円の増となった。・文化振興基金…令和4年度末の基金残高は、169百万円となっており、寄附金を2百万円積立て、取り崩しを行わなかったため、2百万円の増となった。・子ども未来基金…令和4年度末の基金残高は、150百万円となっており、旧保育所跡地貸付料や寄附金等を23百万円積立てたが、取り崩しを行わなかったため、23百万円の増となった。(今後の方針)公有財産の有効活用を促進し、基金現在高の増加に努める。
当市では、令和元年度に旧松原図書館を除却し、令和2年度には老朽化した保育所1園と幼稚園3園を統合し、新たに認定こども園を建設するなど、老朽化した施設の集約化や除却を進めている。さらに、令和3年度には老人センターの移転に伴う建替を実施したこと等により、資産全体での有形固定資産減価償却率は、類似団体内平均値と比較するとやや低くなっている。一方でその他既存施設については、老朽化の進展に伴い、同比率が上昇傾向にあるため、引き続き計画的な施設の改修や除却等、適正な維持管理に努める。
平成21年度から22年度にかけて発行した三セク債や平成19年度から25年度にかけて発行した退職手当債の償還が進んでいること等により、将来負担額は減少傾向にあるものの、類似団体と比較して、充当可能基金残高が少ないことや、人口1人当りの市税収入が低く、経常一般財源等が少ないため、債務償還比率も類似団体内平均値と比べると高くなっている。そのため、過度な将来負担とならないよう、施設の更新等を計画的に行うとともに、企業誘致や雇用環境の拡充による、自主財源確保等に取り組む。
将来負担比率は減少傾向にあるものの、類似団体内平均値と比べて高い水準にある。その一方、有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値と比べて低い水準にあるものの、増加傾向にある。これは、令和3年度に老人センターの移転に伴う建替を行ったたものの、その他既存施設の老朽化が進んでいるためと考えられる。今後、施設の更新等による地方債の発行が見込まれることから、過度な将来負担とならないよう、公共施設等総合管理計画に基づき、施設の長寿命化等、適正な維持管理に努める。
将来負担比率、実質公債費比率ともに近年減少傾向にある。主な要因としては、平成19年度から平成25年度にかけて発行した合計約71億円の退職手当債や平成21年度と平成22年度に発行した合計約31億円の三セク債の償還が進み、残高が減少してきたことが考えられる。これらの地方債の償還は令和7年度には償還が終了するものの、将来負担比率については、依然として類似団体内平均値と比較して高い水準となっており、今後、施設の更新等による地方債の発行が見込まれることから、過度な将来負担とならないよう、引き続き適切な地方債の発行管理に努める。
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