経営の状況について
・経常収支比率及び営業収支比率は、主に修繕費の減等により費用が減少したことで、前年度と比較して増加し、ともに100%を超えて推移しており、他団体と比較しても同水準であることから、健全な経営状況である。・流動比率については、西山・天科発電所の大規模改修のため、流動負債の特別修繕引当金が増加したこと等により、前年度と比較して減少しているが、100%を大きく上回り、また、他団体と比較しても上回っていることから経営の安全性と信用性は確保されている。なお、平成26年度から数値が大幅に低下しているが、これは新会計基準を適用したことにより、従来、資本に計上していた企業債について、1年以内に返済期限が到来するものを流動負債に計上したほか、引当金の計上要件の見直しにより、流動負債が増加したものによる。・供給原価については、年間降雨量の前年比10%減に加え、天科発電所などの改修による発電所の停止により年間発電電力量が減少したこと等により、前年度と比較して増加しているが、前年度と同様に他団体の平均を下回った数値で推移しており、発電所の改良や修繕を計画的に行い、維持管理費を削減するなど効率的な経営によるものである。・EBITDA(減価償却前営業利益)は、主に修繕費の減等により、純利益が増加したため、前年度と比較して増加している。これは他団体と同水準であり、経年での上昇傾向にあることから、健全な経営状態である。
経営のリスクについて
・設備利用率については、水力発電として前年度と比較して減少しているが、他団体の平均を上回る数値で推移していることから、適切な発電施設の維持管理が行われ、効率的な運用を図ることができている状況である。・修繕費比率及び有形固定資産減価償却率は水力発電として前年度と比較し、修繕費比率では減少、有形固定資産減価償却率は増加となっており全国平均を上回っている。これは企業局における主要な発電施設が昭和30年代に設置され、定期点検及び健全な状態に保つための改修工事に努めているが、法定耐用年数に近づいており、修繕費がかさんできていることを示しているため、計画的な施設の更新及び修繕を引き続き行う必要がある。・企業債残高対料金収入比率は前年度と比較して減少しており、全国平均に比べ低い水準であり、また、企業債残高と同額の減債積立金が確保されているため問題は無い。・FIT収入割合は、前年度と比較して減少しているが、現状、料金収入における割合は低いため、FIT調達期間期間終了後の料金収入減少のリスクは少ない。
全体総括
・昭和32年4月に早川水系西山発電所の運転を開始して以来、堅実な経営を続け、平成28年度末現在では早川水系6発電所、笛吹川水系11発電所、塩川発電所及び小水力5発電所の合計23発電所(最大出力121,003kW)を運営している。・平成28年4月の電力システム改革の第2段階の施行による電力の小売全面自由化が開始され電気事業を取り巻く環境が大きく変化した。さらには、平成32年の電力システム改革の仕上げとなる第3段階の発送電分離に向けて、更なる競争の活性化等のための市場及びルールの整備が行われている。このような状況の中で長期契約が継続している間は一定の売電収入の確保が見込まれるが、長期契約が終了したのちも安定経営が行えるよう国の施策や市場の動向などを注視するとともに、平成27年度策定の経営戦略に基づき、経営の健全化に努める。