上里町

目的別歳出の分析欄

令和元年度の大きな特徴としては、強い農業づくり交付金の皆増により、農林水産業費が前年度に対し、約１６４．３％の増額。道路新設改良舗装等工事や児玉工業団地アクセス道路工事などの増により、土木費が前年度に対し、約４０．８％の増額。公共施設等用地取得及び施設整備基金の積立てを強化したことなどにより、総務費が前年度に対し、約１５．１％の増額。公立保育所新築工事費の皆増などにより、民生費が前年度に対し、約８．４％の増額となった。減額となった主なものは、商工費が指定企業施設奨励金の減額などの結果、前年度に対し、約３７．９％の減額。教育費が教育施設整備基金積立金などの減により、前年度に対し約４．６％の減額となった。目的別歳出においては、臨時的支出の大小が主な増減要因であり、それぞれ財源を伴うものが多く、義務的経費の確保に大きな支障とならず、また事業終了後は平準化すると考えられる。そのような中、注視しなければならないのは、民生費、公債費の額である。民生費は、平成２９・３０には法人立保育所の整備が町内３法人において実施され、令和１には公立保育所の新築により大幅な上昇となり、高齢化に伴う医療・介護に対する繰出金の増や、障害者福祉制度の充実や普及により、経常的支出についても増加傾向となっている。公債費は今後も上昇し、９億円を超える償還ピークが令和５年度まで続くと見込んでいる。建設事業に関しては国県補助はもとより、交付税措置ある地方債を活用していることからも、減債基金の適切な運用など、公債費の上昇への備えが必要である。また、すべての項目について、類似団体の平均値を下回る結果は、上里町の人口に対する財政規模がコンパクトであり、効率の良い行財政運営を示すものとなっている。

性質別歳出の分析欄

本町の特徴として、ごみ処理、消防、学校給食業務を一部事務組合で行っていることや、人口に対する職員数が少ないことにより、人件費や物件費は同級他団体平均を大きく下回っている。他の性質別歳出においても概ね平均を下回るものとなっており、人口に対するコストが低いとことを示している。補助費等の増減は、経営体育成条件整備事業補助金（雪害）が平成２６・平成２７に実施されたことや、平成２９・平成３０には民間保育所の建替えや新設に伴う交付金による増など、臨時的要因によるものであり、令和１以降は安定する見込みとなっている。扶助費は、施設型給付事業負担金の増などの影響で増額となった。障害福祉サービス費なども増加傾向にあり、経常的支出は増加している。普通建設事業費は、公立保育所新築工事や北中学校校舎棟改修工事などの増により増額となった。今後、アセットマネジメントに基づく公共施設の更新や、コンパクトシティ計画など新たなまちづくりに向けた都市整備への備えが必要となっている。公債費は臨時財政対策債の利率見直しによる減などにより、全体として９，０２０千円程度の減となっている。令和５年度まではこの償還ピークが継続する見込み。繰出金は一部事務組合は減となったが、公営企業である水道事業会計・下水道事業会計への補助や、高齢化の進行などに伴う介護保険特別会計への繰出金が増となったことにより、全体としては増額となった。積立金は、財政調整基金積立金２００，７４２千円、小中学校校舎や公共施設の老朽化対策などを見込み、教育施設整備基金積立金２５５，３５７千円、公共施設等用地取得及び施設整備基金３０２，０４４千円、防災行政無線デジタル改修や公立保育所建築事業による公債費の増額を見込み減債基金積立金１００，３７８千円を中心に積立を行った。

施設情報の分析欄

保育所においては保育所仮園舎が除却されたことにより８９．９％と上昇したが、令和２年度以降、新園舎の整備及び旧園舎の除却により大きく減少することが見込まれる。そのほか、学校施設の有形固定資産減価償却率が７１．７％、公民館も６９．７％と比較的高い数値となっている。町内の小中学校や地区公民館は昭和４８～５９年にかけて建築されたものが多く、更新時期を迎えている。公共施設総合管理計画や劣化状況調査などを経て、先行的に、老朽化や劣化の著しい神保原小学校と上里北中学校については令和元年度の改修を行った。これらを含め、上里町においても公共施設の老朽化対策が大きな課題となっている。今後、公共施設等個別施設計画（令和元年度策定）や、公共施設立地適正化計画（令和３年度策定見込）に基づき、計画的な更新を行っていく必要がある。また、認定こども園等の一人当たり面積が低くなっているが、これは、公立保育所が２園、民間保育所等が５園と、民間の比率が高いことによるもの。また、児童館の一人当たり面積が多くなっているのは、町内五つの小学校区すべてに公立の児童館が配置されていることによるもの。

施設情報の分析欄

消防施設の減価償却率が２２．０％と低い数値となっているのは、平成２７年度、平成２８年度と消防庁舎の更新を行ったことが影響している。また、一般廃棄物処理施設の一人当たり有形固定資産額が他の団体と比較し高い数値となっている。これは小山川クリーンセンター（ごみ）と利根グリーンセンター（し尿）の固定資産額に対し、分母となる人口が少ないことが要因となっている。消防施設や一般廃棄物処理施設は一部事務組合「児玉郡市広域市町村圏組合」で事業を行っており、構成市町で按分により事業費等の負担を行っている。その他、保健センター６９．２％や、福祉施設（老人センター）６６．０％など、医療・福祉関連の施設について比較的償却率が高くなっており、これらの施設については公共施設等個別施設計画（令和元年度策定）において、機能を統合し、集約・複合化建替が予定されている。また、体育館・プールの償却率が７６．２％と高い数値となっている。昭和６２年度建築の町民体育館の老朽化が主な要因となるが、これは平成３０年度において更新工事（１０９百万円）が実施されている。