経営の健全性・効率性について
・「単年度の収支」「債務残高」において、いずれも平成24年度に変動が見られるがこれについては、震災の影響による経常収益である給水収益の減が要因であり、それ以降については概ね順調な推移を図っている。・「料金水準の適切性」では、各年度とも経費回収率がほぼ100%で推移しているが、維持管理費と併せ設備の耐用年数や損耗等の増高も今後想定されることから適切な施設管理とともに機能診断・修繕等を実施し、汚水処理費の軽減を図る必要がある。・「費用の効率性」では類似団体平均値に対し、原価率約50%となっており現時点での負担は低いと思われるが、長寿命化対策を図るとともに不明水を解消し負担軽減を図る必要がある。・「施設の効率性」では、類似団体平均値に比べ若干低い数値となっているが、供用開始が浅く、普及率22.03%と低いことから現下水道計画を踏まえた施設使用率に対する処理水量を得られていない状況にある。よって引き続き事業区域の整備拡大を推進し、供用開始となった区域の接続率向上を推進することが必要。・「使用料対象の捕捉」では類似団体平均を上回っており、上昇推移しているものの、市街部を離れた地域などでは水洗化率が低調な区域もあり、これについては前述の「料金水準の適切性」「施設の効率性」の重要な要件となる使用水量(水道使用料)に密接に関連していくことから、これらを充分に踏まえ、事業整備を行うとともに接続率の向上を図る必要がある。
老朽化の状況について
・「管渠の更新投資・老朽化対策の実施状況」における③管渠改善率については類似団体と比較し、平成24年度のみ顕著となっているがこれについては東日本大震災の影響により破損した管渠の復旧事業によるものである。・それ以外の年度及び①「有形固定資産原価償却率」②「管渠老朽化率」に対する考察として、該当数値での状況が当町の下水道事業は平成16年度に供用が開始され以後11年が経過しているが、管渠及び施設躯体における耐用年数は50年を目途としているため、管渠の更新・改良の時期に至っていないことが考えられる。但しマンホールポンプ施設や終末処理場施設の各種設備は損耗や耐用年数を迎えているものもあり、維持管理に伴う修繕・改修等は汚水処理費などに著しく影響を受けることから、管渠も含め適切な機能診断を行っていくとともに長寿命化計画を策定していく必要がある。
全体総括
類似団体と比較し、「施設の効率性」において施設利用率が若干低いことから、現在区域拡大を実施中ではあるものの、より効率的な状況へ改善すべく、接続率等について対策を講じる必要がある。「債務残高」、「料金水準の適切性」、「費用の効率性」においては概ね良好な水準を推移しているが、これらについては引き続き汚水処理費にかかる各種処理場費の軽減を図るとともに、安定的な使用水量(下水道使用料)の確保が必要である。また老朽化の状況についても事業開始からの経年が浅いことから、現時点での更新投資やその対策の必要性は無いが、当町の地勢や人口分布等を踏まえ、かつ長期的な見地に立ち投資的経費となる管渠整備について効果的な整備を行い、併せて適切な施設・設備への維持管理計画を策定し、持続性の高い経営を構築・推進していくことが肝要となる。