地域において担っている役割
地域医療構想における回復期病床の必要性から、地域医療連携体制の確立のため以下の4つの役割を担っている。(1)入院設備の無い施設等の在宅医療を支援する後方支援病院、(2)回復期患者に対する入院加療の実施、(3)関係機関との連携による、保健予防・介護予防活動の推進、(4)平日夜間や日曜日など通常時間外の初期救急診療の実施。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率が大きく下がったのは、新病院建設時の移転経費等の支出を伴なったためである。②医業収支比率から⑦職員給与費対医業収益比率において、すべての指標が概ね類似病院と比較して高く、健全で効率性の高い経営である。前年度と比較し、⑧材料費対医業収益比率は、類似病院と比較して同程度となった。院内薬局での処方において後発医薬品の導入などにより改善している。⑥外来患者1人1日当たり収益は高い傾向を維持していることから、効率的に経営されている。現状、良好な経営ではあるものの、医業収益に市からの補助金等が含まれていること、今年度は新病院建設など施設の大規模な更新等が完了し、医業費用のうち減価償却費等の経費は次年度以降増加するため、一層の収益確保に努める必要がある。
老朽化の状況について
①有形資産減価償却率は、平成26年度の会計基準見直しで大きく増加したが、その後も増加傾向であり、類似病院と比較しても高い傾向であったが、今年度は新病院の建設により数値は大きく下がっている。②器械備品減価償却率は、類似病院と比較して高い傾向であったが新病院建設に合わせて、機器類の更新等も進んだことで数値は大きく下がっている。③1床当たり有形固定資産は、平成28年度には類似団体の約半額であり、資産の更新が十分進んでいなかったが、大規模な施設や器械備品等の更新により大きく上昇している。今後は、適宜機器の更新を行うなど、更新された資産管理を適切に行っていく。
全体総括
当院は、公立病院として政策医療を担っている。地域医療提供体制の確保の観点から、高齢者医療を担う機能をあわせもつ病院として、地域との連携を強化していく必要がある。新病院は、保健センターや包括支援センターなどを併設しており、地域医療において当院の役割は一層重要になっている。現状、経営の健全性や効率性は、類似病院と比較して概ね良好であるものの、市からの補助金等を受けている状況であることから、一層の健全化・効率化に努める必要がある。政策医療については、経営に伴う収入をもって賄うことが困難であるため、事業の実施には一定の市の負担が必要となるが、今後、市への負担に対する考え方を明確化し、適切な連携を図っていくこととする。