地域において担っている役割
町立大鰐病院は、過疎地域に指定される当町における唯一の病院であり、一般病床30床を有する医療機関として、救急医療、在宅医療、災害時医療、感染症対策など地域の拠点医療施設としての役割を担っている。また、隣接する弘前市の弘前大学医学部附属病院をはじめとする圏域の医療機関と連携し、地域医療の確保に努めている。
経営の健全性・効率性について
人口減少による患者数の減少の影響もあり、医業収支比率は近年減少傾向にある。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による患者の受診控え等の影響もあり、経営状況は非常に厳しい状況にある。経常収支比率は、一般会計繰入金により類似団体平均値並みの水準となっているが、累積欠損金は増加の一途をたどる状況である。これまでも患者数に見合った施設規模とするため、病床数を削減してきたが、療養費の加算や栄養指導管理加算など、平均値を下回っている患者単価の増額となるような診療行為の実施、退職者不補充による人件費の抑制、仕入れ材料単価の見直し等による経営改善が必要であると共に、患者サービスの向上を図りながら経営の健全化及び効率性を高める取り組みが必要である。
老朽化の状況について
病院建屋については、建築後50年以上を経過し、現在の耐震基準を満たしていない施設であることから、早期の建替えが必要である。現在、地域医療構想に基づく圏域医療体制の見直しにより、当院についても医療需要に見合った施設として有床診療所への建替えを実施することとし、令和4年度中の開所を目指し整備事業を進捗させている。こうしたことから、現施設への設備投資を控えていることが要因となり、有形固定資産及び器械備品の減価償却率が高くなっている。
全体総括
人口減少及び新型コロナウイルス感染症等の影響により医業収益の落ち込みが見られ、一般会計繰入金に頼った経営状況となった。一方で入院、外来患者の診療単価については増加の傾向となっており、各種加算等による経営改善に向けた取組状況がうかがえるものと考える。今後は、継続した経営改善への取組みを続けると共に、健康診断や人間ドック等を積極的に受け入れ、これまで収益を見込めなかった分野での収益を確保する取組みを深化させ医業収益の増加に繋げたいと考える。費用面については、退職者不補充による人件費の抑制と、診療材料の徹底的な価格見直し等の努力を重ね費用削減に努め経営健全化を図る必要がある。老朽化施設については、現在進める有床診療所の整備により解消されるが、過剰投資等がないかなどコスト意識を持ち、整備事業段階より経営意識を持って事業を進捗させる必要がある。