地域において担っている役割
平成15年3月に当時の国立療養所稚内病院の移譲を受け、当該地域において不足していた療養型病院としてスタートした。入院医療では宗谷二次医療圏域において、急性期病院の役割を担う市立稚内病院(本院)と、慢性期医療を必要とする患者を受け入れる市立稚内こまどり病院(分院)として機能分化を行っている。また、在宅・介護関連事業所との連携体制し、患者の症状や病態にあった医療サービスの提供を行う。外来医療においては、当医療圏域で不足しているかかりつけ医としての機能を担っている。
経営の健全性・効率性について
平成18年度の診療報酬改定において、特に、療養病棟の削減計画と新たな医療区分の導入に伴う再評価によって診療単価が大幅に引き下げられた。さらに、平成28年度の診療報酬改定では新たに入院基本料の算定要件として重症度割合が追加され、算定要件を満たすことが出来ず、入院基本料は、平成28年度から5%,平成30年度から10%、令和2年度から15%減額され、1人1日の入院単価は大幅な減少となった。令和2年度は入院患者数の増加により、医業収支比率は改善する一方、繰入金の精査により経常収支比率は100%を割り込み93.7%にとどまっている。
老朽化の状況について
国立病院再編成計画に基づく廃止に伴う譲渡を受け、療養型病院として療養病棟の基準を満たすための改修及び付帯設備等について改修を行ったが、国立時代の全面改修も昭和53年頃で、こまどり病院も開設して17年経過し、毎年度、部分的な修繕で対応しているが、附帯設備等は全面的な改修を必要とする。
全体総括
今後においては、国の医療施策の動向に注視しつつ、本院及び市内在宅介護関連事業所との連携を図り、患者の受け入れ、地域にとって必要な医療の提供行います。また、医療資源、収支状況、施設老朽化等の状況を考慮し、地域全体の慢性期医療を維持することを念頭に、市立稚内こまどり病院の事業継続について検討を行う。