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地方財政ダッシュボード

茨城県龍ケ崎市の財政状況(2019年度)

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収録データの年度

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総括表

人口の推移

財政比較分析表(2019年度)

財政力指数の分析欄

財政力指数は,平成27年度より一貫して改善しており,類似団体平均より若干良好な状態を維持している。これは,市税の増に加え,地方消費税交付金の増などにより,分子となる基準財政収入額が増加した一方で,分母となる基準財政需要額がこの伸び率を下回ったことから,単年度での指数が上昇し,3か年平均も上昇したものである。今後も本指数の向上・安定化のため,企業誘致や定住促進による市税増収等,自主財源の創出をはじめとした財政基盤の強化に取り組む。

経常収支比率の分析欄

平成29年度までは,類似団体平均よりも若干良好な水準であったが,平成30年度に悪化に転じ,類似団体平均を上回る水準となった。分母である経常一般財源は,固定資産税償却資産分や地方特例交付金の増により若干改善し,分子である経常経費充当一般財源においても,物件費を除いた人件費,扶助費,補助費等,公債費で減少したことにより,令和元年度は0.8ポイント改善した。今後も少子高齢化の進展により,社会保障関係費の伸びが想定されるが,物件費や公債費等の経常経費の圧縮,自主財源の確保に努め,条例での目標値である90.0%に近づけるよう,財政の健全化を推進していく。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

ごみ・し尿処理や消防業務を一部事務組合で実施していることから,過去の実績同様,類似団体平均より少なくなった。令和元年度決算額は,普通会計職員10名減による人件費の減があったものの,総合管理計画に基づいた公共施設適正管理のための除却工事による一時的な物件費の増などがこれを上回り,差し引きでは,前年度より増加した。今後も,人件費の肥大を抑制するとともに,物件費は公共施設等総合管理計画に基づき,施設管理運営費のコスト削減を図っていく。

ラスパイレス指数の分析欄

平成21年度までの給与構造改革,平成27年度からの給与制度の総合的見直しや人事院勧告などに伴う給与施策の実施および退職補充の抑制を引き続き実施していることから,類似団体平均よりも低い水準が続いている。今後も,さらなる給与水準の適正化を図っていく。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

令和元年度の一般職員等は,前年度より7人増の,404人となった。人口1,000人当たりの職員数は,依然として類似団体平均より少ない傾向にある。しかしながら,今後も退職に伴うの再任用職員が増える見込みであるので,引き続き「第6次龍ケ崎市人員管理計画」に基づき,正職員のみならず,専門的・期限付職員および会計年度任用職員を含めた,適正な定員管理を進めていく。

実質公債費比率の分析欄

令和元年度は,前年度より0.5ポイント上昇しており,2カ年連続の上昇であるものの,依然として類似団体平均より良好な水準を維持している。平成28年度以降に地方債借入における据置期間の見直しを図ったことによる元金償還金の増に加え,事業費補正による基準財政需要額に算入された公債費が大幅に減少したことが実質公債費比率の増加要因となっている。今後の公共施設等の再編・更新需要の拡大に備え,起債の償還方法の検討を重ねていくとともに,既往債の着実な償還と新規発行の適正管理に努め,元利償還額の抑制に努めていく。

将来負担比率の分析欄

基準財政需要額算入見込額をはじめとした充当可能財源等の減少もあるものの,起債償還の進捗による地方債残高の減や債務負担行為に基づく支出予定額などの減で将来負担額が減っていることから,平成27年度以降将来負担比率は算出されていない。今後,新学校給食センターや新保健福祉施設の建設をはじめとした公共施設再編・老朽化施設更新などを予定していることから,引き続き起債や基金の適正管理に努めていく。

経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)

人件費の分析欄

平成27年度以降逓増基調であったが,令和元年度は0.7ポイント改善し,類似団体と同等の水準となった。人員配置による普通会計職員10名減の影響に加え,「第6次龍ケ崎市人員管理計画」に基づく人員管理により,給与階層の上層偏重が改善したことが要因である。今後も退職者の再任用を含めた適正な人員管理により正職員及び会計年度任用職員の網羅的な定員管理に努め,人件費の肥大化を抑制する。

物件費の分析欄

類似団体平均より良好な水準ではあるが,平成26年度以降,逓増基調にあり,類似団体平均との差も縮まりつつある。令和元年度は,物価上昇に伴う学校給食費や利用者減少に伴う農業公園湯ったり館の経常経費充当一般財源の増により,上昇した。今後もアウトソーシングによる業務効率化を推進していく予定であり,物件費の上昇が想定されるため,委託事業の内容精査等を行い,効率的な財政運営に努めていく。

扶助費の分析欄

平成27年度以降一進一退を繰り返しており,令和元年度は,子どものための教育・保育給付費の特定財源が伸長したことや,生活保護費の減少により,前年度より0.3ポイント減少し,また類似団体平均よりも低い比率であった。扶助費については,社会保障の拡大により今後も肥大化が見込まれるが,単独事業については,国や県の制度との整合を図るなど,事業の適正な認定や執行に努める。

その他の分析欄

平成30年度以降,類似団体平均を上回る水準となっており,前年度と比較して0.9ポイント上昇している。令和元年度は,高齢化に伴う被保険者の増や特養施設新設による給付費の増により介護保険事業特別会計への繰出金が増加したことが要因である。現在,介護予防・運動機会の提供により,将来的な保険給付費の縮減に向けた取り組みを実施しており,今後もさらなる振興を図る。また,より一層の保険料徴収率の向上を図り,財政健全化に努めていく。

補助費等の分析欄

ごみ処理施設に係る償還負担金の減少に伴い類似団体平均との差を縮めてきた補助費等は,前年度と比較して0.7ポイント改善し,類似団体平均を下回った。これは,一部事務組合である龍ケ崎地方塵芥処理組合の基金を活用したことで,負担金が減となったことが主な要因である。今後も補助金等の適正化に努めるとともに,一部事務組合の基金活用等の経営内容精査も行い,負担金の軽減を図り,類似団体平均と同等の水準を維持していく。

公債費の分析欄

類似団体平均より高い水準にあるが,前年度より0.2ポイント改善した。令和元年度は,平成28年度以降に地方債借入における据置期間を見直したことによる元金償還開始時期の重複のピークが過ぎたことで,改めて減少に転じた。今後も臨時財政対策債や公共施設等再編・更新需要による起債が予定されてはいるが,既往債の借換のほか,新規投資事業の総量・年度間調整を行い,新規借入額が起債償還額を超過しないよう,適正な管理に努めていく。

公債費以外の分析欄

平成30年度は,類似団体平均を上回ったが,令和元年度は再び下回り,前年度より0.6ポイント改善した。経常一般財源である固定資産税償却資産分の伸長の他,一部事務組合である龍ケ崎地方塵芥処理組合の基金を活用したことで,補助費等が減少したことが主な原因である。今後も,社会保障関係費の増が見込まれることから,市税の徴収率向上に向けた取組などを継続し,第2次中期財政計画に掲げる,単年度で1億円の歳入確保を目指していく。

目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

議会費

労働費

消防費

諸支出金

総務費

農林水産業費

教育費

前年度繰上充用金

民生費

商工費

災害復旧費

衛生費

土木費

公債費

目的別歳出の分析欄

令和元年度の歳出決算総額は,市民一人当たり323,954円であり,総務費・農林水産業費を除き類似団体平均より各歳出とも下回っている。増加の寄与額が最も大きい総務費は,JR常磐線佐貫駅駅名改称事業に係る負担金や本庁舎外壁塗装による庁舎管理費の一時的な伸長が大きく影響しているものの,令和元年9月からルート再編・増便したコミュニティバス運行に係る補償金などの増も一因となっている。次いで増加の寄与額が大きい教育費は,冷房設備対応臨時特例交付金を伴う公立小中学校空調機設置事業に牽引された小・中学校施設整備事業の増,民生費は幼児教育・保育無償化に伴う子どものための教育・保育給付費や,新制度移行に伴う一時的な児童扶養手当支給事業の増によりそれぞれ伸長している。また,類似団体平均を上回った農林水産業費は,6次産業化ネットワーク活動事業に伴う龍ケ崎ブランド育成事業の増に起因している。今後,増加基調の民生費をはじめ,公共施設等総合管理計画に基づく公共施設改修・再編等による総務費や教育費の財政需要の増大が見込まれるため,各費目において経費削減に努めるとともに,財源の調達方法を精査することで,歳入・歳出両面から財政健全化に取り組む。

性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)

人件費

補助費等

災害復旧事業費

投資及び出資金

物件費

普通建設事業費

失業対策事業費

貸付金

維持補修費

普通建設事業費(うち新規整備)

公債費

繰出金

普通建設事業費(うち更新整備)

積立金

前年度繰上充用金

性質別歳出の分析欄

令和元年度の歳出決算総額は,市民一人当たり323,954円であり,前年度と比較して11,795円増加しているものの,いずれの経費も類似団体平均より少額である。主な構成項目である扶助費は幼児教育・保育無償化に伴う子どものための教育・保育給付費や,新制度移行に伴う一時的な児童扶養手当支給事業の増により伸長している。一方で次に大きな割合を占める人件費は,普通会計職員数10名減による給料の減などにより減少している。増加の寄与額が最も大きい普通建設事業費(うち更新整備)は,冷房設備対応臨時特例交付金を伴う公立小中学校空調機設置事業に牽引された小・中学校施設整備事業の増や,本庁舎外壁塗装による庁舎管理費の増により大きく伸長している。今後も,公共施設等の再編・更新需要の拡大が見込まれる中,普通建設事業費全体で肥大化が進まないよう,公共施設等総合管理計画に基づき,適正管理に努める。平成29年度以降,積立金が類似団体平均から大きく下回る状況が続いており,基金積立残高比率は市条例に定める35%をわずかに上回る35.8%を維持しているものの,ふるさと納税を原資としたみらい育成基金の積立金を除いて,まとまった積立ができない状況が続いている。公債費は,一進一退を繰り返しており,平成28年度以降の地方債借入における据置期間の見直しに伴う元金償還開始時期の重複がピークを過ぎたことで減少に転じてはいるものの,新規投資事業の総量・年度間調整を行い,新規借入額が起債償還額を超過しないよう,適正な管理に努めていく。

実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)

分析欄

財政調整基金残高は,財政健全化を着実に実行して確保した収支黒字分の積み増しを平成22年度から平成27年度に行ってきており,急速に残高が回復した。平成28年度は,特定目的基金への積み増しを優先したため,前年度と同水準で推移した。平成29年度から令和元年度は,高齢化の進展等による社会保障関係費の増等により,厳しい財政状況に転じたものの,当初予算で計上していた取崩しを回避し,平成27年度以降同水準で推移している。実質収支額は,令和元年度は増加しているものの,特定目的基金への積戻し財源である1億1,700万円が含まれるため,実質的には4.31%と平成30年度とほぼ同水準に留まる。今後,高齢化社会の進展や公共施設等のストック対策の財政需要等により,厳しい財政運営が続くと予測されるが,龍ケ崎市財政運営の基本指針等に関する条例に基づき,財政健全化の取組を推進し,実質収支額及び財政調整基金残高の適正規模の確保に努める。

連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)

分析欄

平成27年度から令和元年度までのすべての会計において黒字決算となったため,連結実質赤字比率は算出されていない。一般会計は,隔年ごとに比率の上昇と低下を繰り返しているものの,令和元年度は特定目的基金への積戻し財源である1億1,700万円が含まれるため,実質的には4.31%と平成30年度とほぼ同水準である。前年度と比較し,歳入・歳出ともに,JR常磐線佐貫駅駅名改称事業に伴う基金繰入金や,冷房設備対応臨時特例交付金を伴う公立小中学校空調機設置事業に係る地方債などで大幅に伸長したが,基幹的歳入である市税や臨時財政対策債を含めた実質的な普通交付税の増収により,歳入の増額幅の方が大きかったことが主な増額の要因である。介護保険事業特別会計においては,平成27・28年度と低下基調にあったものが,平成29・30年度においては介護保険料の増収により上昇したものの,令和元年度は特養施設の新設などによる給付費の増加により,改めて低下に転じた。国民健康保険事業特別会計においては,平成30年度以降は,国民健康保険の財政運営が県へ移行したことにより,歳入と歳出がほぼ一致するようになったことが要因で比率が大幅に低下した。また令和元年度は国民健康保険事業費納付金の減少により,前年度と比較して実質収支が上昇した。今後も,新学校給食センター及び新保健福祉施設の建設といった大型事業を控えていることを鑑み,中期事業計画や財政収支見通し等に基づいた計画的な財政運営に取り組んでいくとともに,市税等の徴収の強化や基金の適正管理,適正な市債発行といった歳入確保にも,より一層力を入れていく。

実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

実質公債費比率の分子は,平成27年度以降増加基調にある。令和元年度は,元利償還金が減少に転じたものの,H9のごみ処理施設整備に係る財源対策債を筆頭とした算入公債費等の減額幅の方が大きかったことから,差引では微増となった。元利償還金が減少となったことには,H10ふれあい交流施設の償還終了や平成28年度以降の償還据置期間の見直しに伴う元金償還開始時期の重複がピークを過ぎたことに起因している。今後も,新学校給食センター及び新保健福祉施設の建設において市債の発行が見込まれるが,借り入れの際には,償還期間や据置期間の有無などといった借り入れ方法を検討することで,償還負担の平準化に努め,適正に管理をしていく。

将来負担比率(分子)の構造(2019年度)

分析欄

将来負担比率の分子は,平成27年度以降,減少傾向が続いていたが,平成30年度から増加に転じている。これは,充当可能財源等の減が将来負担額の減を上回ったことが要因である。将来負担額においては,一般会計等に係る地方債の現在高の減による影響が大きく,新規投資事業の総量・年度間調整による新規借入の抑制の他,基金を活用したことによる成果といえる。一方で,充当可能基金が減となっているのは,普通交付税の減収等による財源不足に対応するため,2カ年連続で減債基金の取崩しを行った他,特定目的基金も令和元年度は6億5,400万円取崩して各事業に充当した一方,主な積立は,みらい育成基金1億6,700万円のみであったことが要因である。基準財政需要額算入見込み額が減となっているのは,ごみ処理施設整備に係る理論償還が終了したことが大きく影響している。今後は,新学校給食センター,新保健福祉施設建設において市債の発行を予定していることから,市債に頼りすぎることなく,なおかつ基金の枯渇を招かぬよう,各種計画に基づいた適正な基金・市債管理を行うことで,将来負担額の大幅増を回避していく。

基金残高に係る経年分析(2019年度)

基金全体

(増減理由)平成29年度は,ふるさと納税等を原資としたみらい育成基金等の積立のみにとどまり,収支改善等による剰余金を活用した積立を行うことができなかったが,積立金残高比率は,43.2%であった。平成30年度においても,みらい育成基金等の積立のみにとどまり,収支改善等による剰余金を活用した積立を行うことができなかったことに加え,減債基金を2億2,200万円取崩し,特定目的基金も3億2,200万円取崩して各事業に充当したことで,積立金残高比率は,40.7%まで低下した。令和元年度においても,平成30年度と同様の積立・取崩し状況となり,減債基金を2憶4,000万円取り崩し,特定的目的基金も6億5,400万円取崩して各事業に充当した。JR常磐線佐貫駅駅名改称事業などの大きな要因があったものの,積立金残高比率は,35.8%まで低下し,基金全体では,7億1,700万円の減となった。(今後の方針)将来の公共施設等のストック対策,臨時的な財政需要等への備えとして基金残高の確保は重要である。一方,人口減少社会や景気変動による不安定な歳入環境,高齢化社会の本格化による社会保障関係費の増等,財政状況が非常に厳しいなか,積立原資を確保するのが難しい局面に来ている。当面,基金残高は減少傾向になると見込まれるが,龍ケ崎市財政運営の基本指針等に関する条例の積立金残高比率の目標値を維持するとともに,財政健全化の取組を推進し,基金への依存を軽減していく。

財政調整基金

(増減理由)平成29年度以降,厳しい収支状況から積み増しを行わなかったため,過去3年間は同水準となっている。(今後の方針)最低限維持すべき水準を標準財政規模の10%である10億円としたうえで,景気の急激な変動等による歳入の下振れや災害時の備えとして,単年度の収支ギャップを10億円,平時への回復期間を3年間と想定し,標準財政規模の約20%にあたる30億円程度の残高維持を目指す。

減債基金

(増減理由)総合運動公園の建設に伴い積み立てた分について,総合運動公園にかかる地方債償還に充て,平成30年度は2億2,000万円,令和元年度は2億4,000万円を取崩した。(今後の方針)総合運動公園の建設に伴い積み立てた分について,総合運動公園にかかる地方債償還に充てる予定である。

その他特定目的基金

(基金の使途)地域振興基金:地域における福祉活動の促進,快適な生活環境の形成に資するため,にぎわいの創出等の活性化を図るとともに国際交流をはじめとする市民の交流事業を円滑に推進。みらい育成基金:各種事業を実施し,寄附者の龍ケ崎市に対する思いを具現化することにより,様々な人々の参加による個性豊かな魅力あるまちづくりに資することを目的。(増減理由)JR常磐線佐貫駅駅名改称事業(「龍ケ崎市駅」へ改称)の財源として地域振興基金・みらい育成基金よりそれぞれ1億1,700万円,2億8,000万円を取り崩したことにより大幅に減少。地域振興基金:前述の他,地域における福祉活動の促進,快適な生活環境の形成,にぎわいの創出等の活性化を図るとともに,国際交流をはじめとする市民の交流事業を推進するための事業など各事業に5,800万円を充当し,差引で1億7,500万円の減。みらい育成基金:前述の他,基金の充当対象となる,活気,にぎわい及び新たな活力を創造し,まちの魅力を高めるための事業,未来を担う子どもたちのための事業など各種事業に9,515万円を充当。他方,基金の原資となるふるさと龍ケ崎応援寄付金の寄付額1億6,800万円を積立,差引で2億600万円の減。(今後の方針)平成29年以降主だった新規積立を行えない厳しい財政状況の中,積立金残高比率の低迷が危惧されている。庁舎を含む,公共施設等のストック対策などの財政需要が高まるとともに地域振興やにぎわいの創出など活性化に向けた施策にかかる財源として基金は重要な役割を担っている。当面,厳しい財政状況が続くと見込まれるが,各事業の効率化,選択と集中を徹底し,基金残高の確保に努める。

公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)

有形固定資産減価償却率の分析欄

平成28年度に策定した公共施設等総合管理計画や各施設の個別管理計画に基づき維持管理を進めている。施設の老朽化の進行により,有形固定資産減価償却率は上昇傾向にあるものの,類似団体をやや下回っている状況である。厳しい財政状況を念頭に,施設の点検状況を踏まえ改修時期の年度間調整を行っているが,過度に先送りすることなく,計画的な管理・保全により耐用年数の延伸を図っていく。

債務償還比率の分析欄

中期財政計画に基づき元金償還額を超えない範囲に新規借入を抑制していることから,将来負担額が着実に減少しており,債務償還比率は類似団体を下回っている。一方で,基金残高の減少が顕著であり,新学校給食センター建設や老朽化対策に伴う将来負担額などの上昇リスクも抱えている。基幹的収入である市税を中心とした自主財源の確保に努めるとともに,経常経費の効率化・重点化を一層進め,債務償還比率の悪化を抑えていく。

分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

地方債の新規借入を抑制しており,充当可能財源等が将来負担額を上回っていることから,将来負担比率は算出されておらず,有形固定資産減価償却率は類似団体をやや下回っている状況である。一方で,老朽化の進んでいる学校給食センター第1・第2を1ヶ所に集約する建設工事や保健センター機能を有する保健福祉施設の整備を控えているため将来負担比率が上昇する可能性がある。また,有形固定資産減価償却率が上昇傾向にあり,その対策が課題となってくるため,個別施設計画等に基づく適切な維持管理を推進し,将来負担の急激な上昇に留意しながら,有形固定資産減価償却率の低減を図っていく。

分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率は,数値が算出されておらず,実質公債費比率は,類似団体を下回る水準で推移している。これは,第2次中期財政計画により,元金償還金を超えない範囲に地方債の新規借入を抑制してきたことによるものである。今後は,新学校給食センターの建設や老朽施設の大規模改修などの財政需要に加え,基金残高も減少傾向にあり,比率の上昇リスクが顕在化することから,歳入歳出両面から財政の健全化を推進していく。

施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)

道路

橋りょう・トンネル

公営住宅

港湾・漁港

認定こども園・幼稚園・保育所

学校施設

児童館

公民館

施設情報の分析欄

類似団体と比較して有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は,橋梁・トンネルのみであり,特に低いのは認定こども園・幼稚園・保育所である。橋梁・トンネルは,昭和50年代に建設された橋梁が多くを占めており,老朽化対策は喫緊の課題であることから,点検を実施の上,長寿命化計画を策定し,必要に応じて改修工事を行っている。また,一人当たり有形固定資産額が類似団体を大きく上回っているため,廃橋を含めた検討をしている。認定こども園・幼稚園・保育所は,市で唯一直営で運営を行っている八原保育所にかかるものであるが,平成22年度に建て替えを行ったこともあり,有形固定資産減価償却率及び一人当たり面積の数値が低くなっている。学校施設は,類似団体を下回っているものの,その内訳は小学校が67.3%,中学校56.5%となっており,小学校は類似団体平均を上回っている。令和2年度に策定した長寿命化計画で,改修方針や優先順位に沿って改修を進めていくが,学校再編などを検討する局面でもあることから,児童生徒数の推移などを踏まえ適宜計画を見直すこととしている。

施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)

図書館

体育館・プール

福祉施設

市民会館

一般廃棄物処理施設

保健センター・保健所

消防施設

庁舎

施設情報の分析欄

類似団体と比較して,特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は保健センター・保健所・福祉施設・一般廃棄物処理施設・図書館であり,特に低くなっている施設は,体育館・プール,消防施設である。保健センターは,新保健福祉施設を建設する予定となっていることから,大規模な改修を控えている側面もあり有形固定資産減価償却率が高くなっているが,トイレの改修など必要に応じて改修・修繕等を行ってきている。福祉施設は,障がい福祉サービス事業所のひまわり園の有形固定資産減価償却率が,77.8%と高いことが要因であるが,老朽化対策として,今後,外壁・屋根改修を行う予定であり,使用するうえで問題はない。一般廃棄物処理施設は,いずれも一部事務組合により運営している。ごみ処理施設70.4%,し尿処理施設56.6%となっており,特にごみ処理施設の有形固定資産減価償却率が高くなっている。平成11年度に建設されたごみ処理施設について,長寿命化計画に基づき,平成26年度から順次基幹的設備改良工事を行い,老朽化対策に取り組んでいる。また,し尿処理施設も同様に長寿命化計画を策定し,基幹的設備改良工事を行う予定である。図書館は,類似団体を超える水準であるが,令和元年度にエレベーターの更新を行うなど,適正な維持管理に努めており,有形固定資産減価償却率は減少してきている。

財務書類に関する情報①(2019年度)

資産合計

負債合計

1.資産・負債の状況

一般会計等においては、資産総額が前年度から2,472百万円の減少(△2.8%)となった。金額の変動が大きいものは、インフラ資産であり、減価償却による資産の減少が、道路改良工事による資産の取得額(174百万円)を上回ったことから1,655百万円減少した。また、事業用資産も文化会館大ホールの改修や小中学校の空調設備設置工事などの資産取得に対し、減価償却による資産の減少が上回り536百万円減少している。負債総額は前年度から821百万円の減少(△3.0%)となった。金額の変動等が最も大きいのは地方債等であり、平成10年度ふれあい交流施設の償還終了などにより地方債償還額が発行額を上回り、477百万円減少した。公共下水道・工業団地拡張事業等を加えた全体では、資産総額は前年度末から2,298百万円減少(△2.3%)、負債総額は前年度末から990百万円減少(△2.5%)し、一般会計等と同様に、インフラ資産、地方債等の減少が顕著である。流動資産は、工業団地拡張事業にかかる用地を棚卸資産として計上したため580百万円増加した。一部事務組合・広域連合等を加えた連結では、茨城県南水道企業団や龍ケ崎地方塵芥処理組合において、設備改修等を行ったことから、固定資産の減少幅は抑えられている。資産総額は前年度末から2,068百万円減少(△1.7%)し、負債総額は558百万円(△1.2%)減少した。

純経常行政コスト

純行政コスト

2.行政コストの状況

一般会計等においては、経常費用は24,147百万円となり、前年度比350百万円の増加(1.5%)となった。業務費用は職員給与費を主要因として182百万円減少しているものの、佐貫駅名改称事業やいきいき茨城ゆめ国体事業に対する補助金や障がい者自立支援事業などの社会保障給付が膨らみ、移転費用が532百万円増加したためである。全体では、加入者の減少等で国民健康保険事業特別会計の保険給付費が減少する一方で、高齢化の進展により介護保険事業特別会計の介護サービス給付費等が押し上げられ、経常費用は42百万円の増加(0.1%)となった。連結では、後期高齢者医療広域連合の保険給付費の伸びが顕著であり、経常費用が400百万円の増加(0.9%)となった。補助金の増は臨時的な要因が大きいが、介護給付や後期高齢者に対する保険給付を中心とした社会保障給付の伸びは加速する見込みであることから、介護予防の推進等で保険給付費等を抑制することが課題である。

本年度差額

本年度末純資産残高

本年度純資産変動額

3.純資産変動の状況

一般会計等においては、地方交付税(192百万円)や幼児教育・保育無償化にかかる国庫補助(211百万円)等の増収で財源が676百万円増加したものの、純行政コスト(23,204百万円)を依然として下回る水準で推移しており、純資産残高は1,652百万円の減少となった。定住促進等の取組により、人口減少を抑制し、税収等の確保に努め全体では、各会計の保険料等が税収等に含まれることから、一般会計等と比べて税収等が5,036百万円多くなっている。前年度と比べると、介護保険料等(85百万円)や後期高齢者医療保険料(42百万円)を主な要因として289百万円増加したが、純行政コスト(34,846百万円)との差額は△1,320百万円、純資産残高は△1,308百万円となっる。た。連結は、茨城県後期高齢者医療広域連合への国県等補助金等が財源に含まれることから、一般会計等と比べて財源が18,541百万円多くなっており、本年度差額は△1,629百万円、△純資産残高は1,511百万円となった。

業務活動収支

投資活動収支

財務活動収支

4.資金収支の状況

一般会計等においては、業務活動収支は1,308百万円となり、普通交付税の増収等で前年度と比べると143百万円多くなった。投資活動収支は、小中学校空調機設置事業等を行ったことから、△298百万円となっている。佐貫駅名改称事業等の臨時事業のほか、一般財源の不足を補うため、減債基金を取り崩すなど、依然として基金に依存した財政運営となっているため、財政健全化の取組を更に進める必要がある。財務活動収支は、地方債発行額を元金償還額以内に抑えており△739百万円となっている。本年度末資金残高は、前年度から270百万円増加し、1,120百万円となった。全体は、国民健康保険税や介護保険料が税収等に含まれること、下水道使用料等の使用料及び手数料収入があることから、業務活動収支は一般会計等より536百万円多い1,844百万円となっている。投資活動収支では、下水道施設の更新を実施していることから、△500百万円となっている。財務活動収支は、地方債の償還額が地方債発行収入を上回ったことから、△1,072百万円となり、本年度末残高は前年度から271百万円増加し、1,210百万円となった。連結は、業務活動収支は2,491百万円であったが、投資活動収支は龍ヶ崎地方塵芥処理組合において処理施設の基幹的設備改良工事を行ったため△1,443百万円となっている。財務活動収支は、地方債発行額が地方債償還支出を上回り△732百万円となり、本年度末資金残高は2,947百万円となった。

財務書類に関する情報②(2019年度)

①住民一人当たり資産額(万円)

②歳入額対資産比率(年)

③有形固定資産減価償却率(%)

1.資産の状況

住民一人当たり資産額が類似団体平均値を大きく下回っているが、当市においては、道路や河川の敷地のうち、取得価額が不明であるため、備忘価額1円で評価しているものが大半を占めているためである。住民一人当たり資産額は、老朽化の進行に伴う減少が継続しており、前年度末に比べて2万円減少している。歳入額対資産比率は、資産の減少に加え、国庫補助事業の増加や駅名改称事業に対する基金活用などで歳入規模が膨らんだことにより減少した。有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値を下回っているものの、施設の老朽化は着実に進んでおり、上昇基調にある。公共施設等総合管理計画に基づき、公共施設について、総合的かつ計画的な管理に基づいた予防保全により、長寿命化を進めていくなど、適正管理に努める。

④純資産比率(%)

⑤将来世代負担比率(%)

2.資産と負債の比率

純資産比率は、資産及び純資産が減少しているものの、償還の進捗により負債も減少しており、前年度から同水準を維持した。しかしながら、依然として、類似団体平均値を下回っており、純行政コストが税収等の財源を上回る状況が続いていることから、収支両面から財政健全化を推進し、硬直化を克服する。将来世代負担比率は、新規に発行する地方債の抑制を行うとともに、借入条件等を精査し、地方債残高の圧縮に努めており、類似団体平均値を下回っている。一方、昭和50年代後半から平成10年代前半にかけて整備したニュータウンや龍ケ崎市駅周辺などの施設が更新を迎えることや、第1・第2給食センターを統合した新学校給食センターの建設などの上昇要因が顕在化するため、市独自に条例で定める目標値(14.0%以下)に留意し、将来世代負担の適正化を進めていく。

⑥住民一人当たり行政コスト(万円)

3.行政コストの状況

住民一人当たり行政コストは類似団体平均値を下回る水準で推移しているが、昨年度と比べると増加(5千円)している。幼児教育・保育無償化等の制度改正に加え、佐貫駅名改称事業や茨城いきいきゆめ国体の実施など特殊要因が重なったことが主な要因である。少子高齢化を反映し、社会保障給付や特別会計繰出金の増加は不可避であることから、選択と集中によるメリハリの利いた予算編成に留意するとともに、アウトソーシングなど行財政改革に取り組み、効率的な運営に努める。

⑦住民一人当たり負債額(万円)

⑧基礎的財政収支(百万円)

4.負債の状況

住民一人当たり負債額は、地方債の新規借入額を元金償還以下に抑えるなど、これまでの財政健全化の取組により類似団体平均値を下回っている。着実に負債額が減少する一方で、老朽施設の大規模改修や新学校給食センター、新保健福祉施設などの建設により、負債額の増加が見込まれるため、個別施設計画等に基づく適切な管理のもと、更新時期の平準化を図り、急激な負債額の増加を抑制する。基礎的財政収支は、業務活動収支の黒字分が基金の取崩収入及び基金積立支出を除いた投資活動収支の赤字分を上回ったため456百万円の黒字となり、類似団体平均値を上回っている。前年度から黒字幅が減少しているのは、基金の取崩収入が前年度と比べると352百万円増加しているためである。

⑨受益者負担比率(%)

5.受益者負担の状況

受益者負担比率は、補助金等(347百万円)や社会保障給付(71百万円)を主な要因として経常費用が増加したものの、スポーツ振興くじ助成金(50百万円)などの経常収益の増加もあり、前年度からやや改善した。しかしながら、依然として類似団体平均値を下回っている状況にあるため、「龍ケ崎市使用料・手数料等の設定基準」に基づき、使用料・手数料等の見直しを3年ごとに行い、受益と負担の公平性・公正性の確保に努める。

出典: 財政状況資料集, 統一的な基準による財務書類に関する情報,