地域において担っている役割
民間医療機関のない当該不採算地域における唯一の病院として地域医療を提供している。また、救急告示病院として、救急医療の充実を図ると共に、入院治療、手術、検査など標準的な医療を安定的に提供しているが、町営の診療所が無床化となり、町内の入院可能な医療機関が当院のみとなったため、地域住民の健康と生命を守る当院の責務は更に大きくなった。宮崎県からは「へき地医療拠点病院」の指定を受け、医療人材の育成、巡回診療や代診医の派遣、人工透析サービスなどの広域的で重要な役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
外来収益単価の減少に伴う収益の減少により、経常収支比率、医業収支比率ともに減少し、類似病院平均(以下「平均」)と比較し下回っている。一般会計からの繰入金の比率は高いが欠損金が発生しており、累積欠損金が増加した。病床利用率は平均を上回っており、人口減少の中、7~8割程度を維持している。入院収益単価が平均を下回っており、施設基準の精査を行い、地域包括ケア病床の導入や新規加算等の検討を継続する。職員給与費比率は県派遣医師の増加によって大幅に増加したが、今後も適正な人員の維持に努めつつ業務委託等の活用も検討する。
老朽化の状況について
平成13年度に病院施設の改築を行った際に更新した医療機器や設備の内、法定耐用年数を大幅に超えて使用しているものがある。老朽化の状況は類似病院平均と比較し下回っているが、更新時期が集中しないよう、緊急性、必要性等を考慮し、計画的な更新を図る。
全体総括
現時点で収益性、安全性においてはある程度確保されているが、不採算地域にある当院では、その収益において一般会計からの繰入金に大きく依存している状況にある。町財政も厳しい中、今後益々厳しい病院運営が見込まれるが、地域唯一の公立病院として安定した医療体制を維持するため、公立病院改革プランに則り引き続き経営改善に取り組んでいく必要がある。