地域において担っている役割
当院は本村で唯一の医療機関であり、近隣市町村の最も近い医療機関との距離も30km以上離れていることから、通常の診療以外に、24時間365日体制の救急対応、巡回診療や福祉施設への回診、各種検診など幅広い業務を一手に担っている。さらに、本県のへき地医療拠点病院にも指定されていることから、地域住民からの期待も大きく、不採算であっても現在の医療サービスを提供し続けていくことが責務である。
経営の健全性・効率性について
患者数については、過疎化や少子高齢化の影響に伴う人口減少により年々減少傾向にあるが、入院患者数は前年度比で大きく伸びており、病床利用率も向上した。一方、外来患者数についてはやや減少し、外来収益も減となった。しかし、全体的な医業収益は前年よりも増額となり、前年度決算から一転して黒字となったため、累積欠損金も減となった。健全性に関しては、類似病院の平均値と比較した場合、良い状況であるので、今後も平成28年度に策定した病院改革プランのもと、経営の健全化と効率化に努めていきたい。
老朽化の状況について
現在の施設は、平成7年の建築から20年以上が経過しており、耐震上は問題ないものの至る所で経年劣化が影響し、修繕や更新の必要が生じている。また医療機器等においても更新が必要な物品が多く、現在、高額な機器は年次計画で更新に取り組んでいる。なお、老朽化の状況を示す各指標に関しては、類似病院の平均値とほぼ同じ状況で推移している。
全体総括
29年度決算に関しては、入院収益の増などが要因となり収益が伸びたことから黒字化となったが、人口減少が急速に進みつつある昨今、患者数の大幅な増が見込めないこと、さらに施設の老朽化等に伴う維持管理費の増が予想されることから、今後の病院経営はますます厳しい状況である。しかしながら、病床利用率等が前年度より大きく伸びたり、経費支出の見直し等で節減につながったりと改善傾向にある指標もあることから、今後も病院改革プランによる経営の健全化等に努めるとともに、一般会計からの負担金確保と制度事業の積極的活用などにより、公立病院として地域住民が安心して生活できるよう、将来を見据えた経営をめざしたい。