経営の状況について
経常収支比率・経常収支比率は100%以上であり、健全経営を維持している。営業収支比率・営業収支比率は100%以上であり、健全経営を維持している。流動比率・流動比率は100%以上であり、健全な状態である。・H26及びH27は比率が下がっているが、これは、改良工事に伴う多額の未払金が流動負債に計上されているためである。供給原価・供給原価は全国平均と比較して低く抑えられている。・全国平均を上回っているH23は修繕費増による経常費用の増、H25は渇水による発電電力量の減が主要因となっている。EBITDA・本県は全国と比較して事業規模が大きいことからも、EBITDAは全国平均よりも高くなっている。・H26は公営企業会計制度見直しによる特別利益を計上した年度であるため、突出した数値となっている。
経営のリスクについて
設備利用率・設備利用率は全国平均とほぼ同程度かそれ以上を維持している。・H25は渇水により供給電力量の目標達成率が86.2%となった年度であり、降雨量が少なかったことから、発電電力量が減少したため低利用率となっている。・水力発電は降雨による影響を強く受けることから、降雨予測等をうまく活用しながら、これまで同様効率的なダム貯水池水位運用を行っていく必要がある。修繕費比率・修繕費比率は全国平均と比較して低く抑えられている。・H23は綾第一発電所建屋修繕工事(109,092千円)、綾第二発電所建屋修繕工事(86,422千円)を行っており、この2つの工事で当該年度の修繕費798,122千円の24%を占めているため、比率が高くなっている。建屋修繕工事は20年経過を目処に行っているが、建物の状態を確認しながら修繕時期を決定している。しかし、H23のように多額の修繕費支出が発生することもあるため、修繕工事計画に基づき、今後も適切な費用の年度配分を考慮した修繕工事に努めるものとする。企業債残高対料金収入比率・企業債残高対料金収入比率は逓減している上に、全国平均と比較しても低く抑えられている。・更新時期が近づいている設備もあることから、今後も計画的な設備更新と企業債償還を行っていく必要がある。有形固定資産減価償却率・有形固定資産減価償却率は逓増している上に、全国平均と比較しても高くなっている。・経営ビジョンで策定した投資計画に基づいて、老朽化した設備については、計画的な更新を行っていく。FIT収入割合・FIT収入割合はほぼゼロであるため、固定価格買取制度の調達期間終了後、収入が大幅に減少するリスクは少ない。・平成28年度以降は酒谷発電所や渡川発電所で固定価格買取制度による料金収入を見込んでおり、FIT収入割合が増加する予定である。今後も、固定買取制度の調達期間終了後の収入減のリスクを踏まえた上で、健全経営を維持する必要がある。
全体総括
「経営の状況」及び「経営のリスク」共に良好な状態ではあるが、現在、国において進められている電力システム改革も最終段階へと進んでおり、今後、企業局を取り巻く環境の大きな変化が予想されることから、その動向を注視しながら、必要に応じた対応を的確に行う必要がある。また、発電所やその関連設備については、建設後相当の期間を経過し、更新時期が近づいている設備もあることから、更新工事に必要な財源の確保や設備の適切な改修等を計画的に行う必要がある。平成26年度には、これらの課題解決に向けた経営戦略である宮崎県企業局経営ビジョン(平成27年度から36年度)を策定したところであり、今後もこれに基づく企業経営を着実に実行し、引き続き健全経営を維持しながら、本県の産業経済の振興と住民福祉の増進を図っていく。