地域において担っている役割
診療所から始まった当院は、市民の健康増進を図るため関係医療機関との連携を図りながら、地域に密着した医療機関として医療の提供を行っている。平成7年には、救急医療告示病院として認可を受け、満足度の高い地域医療の実現を目指し、周辺地域の「かかりつけ医」として地域医療に携わっている。
経営の健全性・効率性について
近年、入院患者・外来患者とも減少傾向となっており医療収益が落ちてきているうえに、コロナウィルス感染症の影響でさらに悪化している。経営安定のため、検査・医事・給食業務等を外部に委託し、医療体制の維持に努めている。経常収支比率・医業収支比率の悪化の主な要因は病床利用率が悪化したためである。入院・外来患者1人1日当たり収益が類似病院平均値を下回っており全国平均の半分以下の状況となっている。また職員給与費対医業収益比率が年々悪化しており平均値を超える状況となっている。累積欠損金比率も急激に悪化しており収益増に向けた改善に取り組む必要がある。
老朽化の状況について
現在の施設は、長年にわたり増改築を繰り返し行っている。外来病棟が昭和46年、入院病棟が昭和58年、給食棟が平成6年、検査棟が平成12年建設と施設内で築年数が違う。近年は、老朽化により修理の回数も増えている状況である。有形固定資産・機械備品減価償却率とも類似病院平均値を上まわり、施設・機械備品等とも老朽化が進んでいて、診察に支障が無いよう更新計画を立てている。
全体総括
地域の「かかりつけ医」として、関係医療機関の協力のもと、今後も医療の確保に努めていく。しかし、安定した経営のためには、患者が安心して治療できる医療の提供が必要であり、施設や医療機器等の老朽化など課題も多く、その改修や更新については多額の費用を要するため、中長期的な更新計画を作成し、必要な資金を確保すると共に長寿命化を図っていく必要がある。また、入院・外来共に減少傾向であったが、令和2年度はコロナ感染症の影響で患者数は大幅に減少しており、特に病床利用率は38.3%と大きく減少している。経営の安定を図るためには現状を分析し、改善を図る必要がある。