経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率一般会計繰入金により収支差額を調整しているため、100%に満たない赤字状態ではあるが、経営状況が悪いということではない。ここ5年間は、一般会計繰入金、企業債元利償還金の多少の増減があるものの、95~96%の間で推移している。④企業債残高対事業規模比率面整備の完了により新規借り入れがないことと、企業債残高のほぼ全額が、一般会計負担分のため、低い数値で推移しており、H26以降は0で推移している。⑤経費回収率、⑥汚水原価水洗化人口が少ないものの、一定規模の施設は必要になるため、使用料収入が少ない反面、維持管理費は割高になる。そのため、経費回収率は100%を下回っており、汚水処理原価も高い範囲で推移している。⑦施設利用率60%に満たない低さだが、処理場の計画人口が783人であったのに対し、平成26年度末の水洗化人口が500人と3分の2に減少していること、節水意識の向上及び節水機器の普及により処理水量が減少していることが要因と考える。⑧水洗化率85%を境に増減を繰り返している。これは、H12に整備が完了して以降、新規水洗化世帯は増えているものの若年層の流出等による人口減少により、水洗化人口が減少を続けていることが原因である。
老朽化の状況について
喜木津・広早処理区はH4、磯崎処理区はH5の供用開始と、比較的新しい施設であるため、管渠については軽微な修繕はあるものの、改善・更新は行っていない。一方、喜木津浄化センター及び磯崎浄化センターについては、供用開始から20年が経過していることによる機械類の経年劣化が進んでおり、老朽化している状況と言える。また、7箇所あるマンホールポンプについても同様であり、処理場とマンホールポンプの修繕・更新に要する費用は、毎年約500万円程度かかっている。今後、処理場の小修繕を計画的に行い、長寿命化を図っていきたい。
全体総括
少子高齢化と若年層の流出により、処理区内の人口は減少の一途をたどっており、今後も増加の見込みは少ない状況である。反面、施設については、年を追うごとに老朽化が進行するため、維持管理費は増高していく。このような状況で下水道事業を安定して経営していくためには、処理場の長寿命化により、維持管理費を抑えていく必要がある。また収入面では、使用料の改定が考えられるが、当地区は、現状でも公共下水道に比べて高い水準にあることに加え、H28の上水道への編入に伴い、水道料金が上がるため、下水道料金の改定は困難な状況である。よって、水洗化率の向上を目指して、さらに接続依頼を進めていくしかないと考える。