経営の状況について
経常収支比率、営業収支比率ともに単年度の収支が黒字であることを示す100%を超え推移しており、また、1年以内に支払うべき債務の支払い能力を示す流動比率についても100%を大きく上回るなど、現時点では経営の健全性は確保できている。なお、各指標ごとの状況は、下記のとおり。○経常収支比率、営業収支比率営業収益及び営業費用が、経常収益及び経常費用の90%以上を占めている。営業収益の大部分を構成する料金収入は、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の導入等により増加傾向にあり、更新投資等に充てる財源の確保が図られている。○流動比率:流動資産のほとんどを現金及び預金が占め、流動負債は企業債と一時的な未払金等で構成されている。一時的な未収金及び未払金の状況により、変動するものの、企業債は減少傾向にあり、類似団体と比べても短期的な支払能力を十分確保している。○供給原価:増加傾向にあるものの、平均値を下回って推移している。○EBITDA(減価償却前営業利益):平成27年度は平成23年度に比べ約1.5倍になっており、安定的に成長している。
経営のリスクについて
設備については、利用率についても平均値より高く、計画的な維持管理を行っているものの、企業債残高対料金収入比率、FIT収入割合が類似団体の平均値を上回っていることから、固定価格買取制度の調達期間終了後の経営への影響を考慮する必要がある。なお、各指標ごとの状況は、下記のとおり。(設備面)○設備利用率:以下の要因を除けば、ほぼ横ばいで推移しており、類似団体の平均値も上回っている。(減少傾向となっている要因)・平成23年度、平成24年度の年間発電電力量がそれぞれ300,000MWhを超え、平年を大きく上回っていた。・平成26年4月から平成28年11月まで、国が実施している鹿野川ダム改造事業に伴い、肱川発電所の運転を停止していた。・平成27年8月から運転開始した畑寺発電所について、設備利用率の母数を稼動日数366日(実際は244日)で計算している。○修繕費比率:計画的な維持管理や効果的な修繕方法を検討しており、年度によりばらつきがあるものの、概ね横ばいで推移しており、類似団体の平均値も下回っている。○有形固定資産原価償却率:計画的な更新や投資を行っており、上昇傾向にあるものの、類似団体の平均値を下回って推移している。(経営面)○企業債残高対料金収入比率:企業債の新たな借入は行っておらず、企業債現在高は年々減少している。将来の償還財源は確保しているものの、類似団体の平均値を上回っている。○FIT収入割合:収入割合の30%をFIT適用施設による収入が占めており、類似団体の平均値を大きく上回っている。平成28年度には料金改定を行っているが、今後の経営への影響を考慮する必要がある。
全体総括
経営については、これまで比較的堅調に推移しており、健全性を確保している。再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)による料金収入が増えているが、調達期間終了後を見据え、平成22年度に策定した電気事業中期経営計画(H22年度~H31年度)に基づき、計画的な設備の更新や投資を行うなど安定した発電を行うための施設の維持や経営基盤の安定に努める必要がある。