経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、一般会計からの繰入金により収益的収支を均衡させているため、100.07%となった。累積欠損金は、発生していない。流動比率は、類似団体平均値と比較して低い。事業規模が小さく、現金預金等の流動資産はほとんど計上されていない。会計制度改正により25年度までは借入資本金とされていた建設改良費等に充てられた企業債等が流動負債に計上され6.14%となった。短期的な負債に対する支払能力という意味では、翌年度の使用料収入や一般会計からの繰入金等が原資として予定されており、問題ない。企業債残高対事業規模比率は、類似団体平均値と比較して高く、使用料収入に対し約16倍の企業債残高となった。なお、27年度は26年度と比較して比率が約2.8倍となっているが、これは、27年度より企業債残高から控除される一般会計が負担する企業債残高の計算方法を変更し、これまでの減価償却費や支払利息等の算定方法から、元金償還額のみによって算出する方法に改めたことによるもので、企業債残高そのものは減少している。経費回収率は、類似団体平均値と比較すると高いが、100%を下回り、使用料で回収すべき経費の全額は使用料で賄えていない。事業規模が小さく経営効率も悪い事業を政策的に公共下水道事業と同料金の設定としているためである。汚水処理原価は、類似団体平均値と比較すると低い。漁業集落排水事業独自の処理場を建設せず、公共下水道の処理場に接続していることが影響している。施設利用率は、公共下水道の処理場に接続しており、漁業集落排水事業としては算出されない。水洗化率は、類似団体平均値と比較すると低い。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値と比較すると低い。しかしながら、企業会計に23年度に移行した際、減価償却が終わっていない部分のみを固定資産に計上したことが影響しており、必ずしも類似団体に比べて施設の老朽化が進んでいないということではない。管渠老朽化率と管渠改善率は、供用開始から19年目の事業であり、法定耐用年数を経過した管渠は無いため、0%である。
全体総括
漁業集落排水事業は、事業規模が小さく経営効率も悪いため、収益的収支の黒字は見込めない。元々の処理区域内人口が少ない上に、人口減少が進んでおり、一般会計からの繰入金が欠かせない状況にある。現状では、一般会計からの繰入金により収支を均衡させており、下水道使用料の設定など、公共下水道事業の経費回収率等を勘案しながらの経営となる。マンホールポンプが耐用年数に近づいており、今後、更新・修繕が見込まれ、公共下水道事業との一括経営により、一層の経費の節減に努めなければならない。