経営の健全性・効率性について
この施設は、一般会計予算で運営を行っており、公営企業の経営の観点と離島の生活インフラを維持するために適切な費用対効果で運営されているかの両面から、経営状況を分析する必要がある。利用料金は他の汚水処理(公共下水道)と同じとしており、本来であれば費用に応じた適切な料金に改定すべきであるが、離島振興の観点から利用料金を上げることは難しいため増収が望めない。また、離島という特殊性から処理区域内人口の増加が見込めず、施設利用率や水洗化率の向上が困難である。歳出については、施設運営に必要な経費のみとなっており、これ以上の経費削減は困難であり、経費の回収率の向上は望めない状況であることから、今以上の経費が発生しないように事業を行う必要がある。
老朽化の状況について
施設の稼動開始から約30年が経過しているが、管渠の老朽化調査等は行っておらず、毎年、施設の検査で修繕の必要性を指摘された箇所について対応している状況である。また、人口増加を見込むことが困難な状況であることから、管渠の更新や老朽化対策の投資が難しい状況である。
全体総括
離島における生活環境を確保するためにこの施設は必要不可欠であるが、島の人口が年々減少していることから使用料収入の増加は見込めず、施設利用率も低下している状況にあるが、この施設が島内で下水処理を完結させるため、事業の広域化や民間委託は困難であると考えられる。従って、現行の施設を維持管理し、計画的に施設更新を行っていくために、長寿命化計画を策定する必要がある。