経営の状況について
①経常収支比率、②営業収支比率は、100%を下回っており、収益で費用を賄えない傾向にあります。また、全国平均よりも下回り続けています。平成27年度は、風力発電事業において、3基の風車撤去に係る費用を計上したこと等により比率が低下しました。発電型式別の収支(電気事業会計では、水力発電事業及び風力発電事業を運営しており、各事業で運営方針等を決定していることから、水力発電事業及び風力発電事業の2つを報告セグメントとしています。)では、水力発電事業が黒字傾向で推移しているものの、風力発電事業で毎年度赤字を計上していることから、電気事業会計全体では未処理欠損金が発生している状況です。③流動比率は、全国平均を下回っていますが、100%を大きく上回っており、短期的な債務の支払能力に問題はありません。④供給原価は、全国平均を上回る傾向が続いています。特に大きく上回っている平成24年度は、水力発電事業において、水車発電機のオーバーホールに伴う発電停止等により発電電力量が大きく減少したためです。また、平成27年度は、風力発電事業において、3基の風車撤去に係る費用を計上したこと等により費用が増加したためです。⑤EBITDAは、全国平均を大きく下回っており、その差も拡大傾向にあります。本府の電気事業の経営規模が小さいためです(最大出力合計:13.3千kW⇔全国平均:88.2千kW)。特に下回っている平成27年度は、3基の風車撤去等により費用が増加したためです。
経営のリスクについて
○水力発電①設備利用率は、概ね全国平均並みで推移しています。平成24年度は、水車発電機のオーバーホールに伴う発電停止により、大きく低下しています。②修繕費比率は、概ね全国平均を下回っています。平成26年度は、屋外GIS開閉装置修繕工事により修繕費が増加したため、大きく上昇し、全国平均を上回っています。③企業債残高対料金収入比率は、全国平均を大きく下回っており、企業債償還が経営を圧迫していません。一方、資産の健全性を保つため、計画的に施設更新を行っており、④有形固定資産減価償却率は全国平均と同水準となっています。水力発電事業では、関西電力株式会社との長期基本契約に基づき、総括原価により売電単価を設定し、売電しているため、⑤FIT収入割合はゼロとなっています。○風力発電①設備利用率は、全国平均を下回って推移しています。平成25年度は、風車落下事故により長期間発電停止していたため、大幅に低下しています。②修繕費比率は、概ね全国平均を下回って推移しています。平成26年度以降は、公営企業の会計制度見直しによる営業費用の増加(減価償却費の増加)と、風車3基の撤去により低下しています。③企業債残高対料金収入比率は、概ね全国平均と同水準で推移しています。平成25年度は、風車落下事故により長期間発電停止し、料金収入が減少したため、大幅に上昇しています。④有形固定資産減価償却率は、全国平均を上回って推移しています。太鼓山風力発電所の風車の法定耐用年数が近づいているため(平成31年度)、高い水準となっています。平成26年度以降に上昇しているのは、公営企業の会計制度見直しによるものです。風力発電事業では、発電電力の全量を固定価格買取制度に基づき関西電力株式会社へ売電しており⑤FIT収入割合は100%となっています。FIT適用終了(H33)後の事業のあり方については、事業の存続も含め、現在検討中です。
全体総括
電気事業としては、水力発電事業が黒字傾向で推移しているものの、風力発電事業で毎年度赤字を計上しており、事業会計全体では未処理欠損金が発生している状況です。水力発電事業は、平成31年度まで関西電力と総括原価方式により基本契約を締結しているため、安定的な経営を見込めるものの、平成32年度以降の運営形態について、京都府のエネルギー施策も踏まえた検討が必要です。風力発電事業は、平成33年度に風車の設計耐用年限を迎え、固定価格買取制度に基づく売電契約も終了することから、新たな展開に向け、現在、検討を進めています。まずは、今後の電気事業のあり方を検討し、平成32年度を目途に策定を予定している経営戦略へ検討結果を盛り込む予定です。