地域において担っている役割
当院が地域において担っている役割として、救急医療では、2次医療圏で唯一の救命救急センターとして地域の重篤な救急患者の受入れを行っています。がん医療では、2次医療圏で唯一の国指定「地域がん診療連携拠点病院」として質の高いがん医療の提供を行っています。周産期医療では、「地域周産期母子医療センター」としてNICUを整え、充実した小児・周産期医療を提供しています。
経営の健全性・効率性について
救命救急センターでの高度な救急医療を提供したことや、治療効果の高い抗がん剤による化学療法を実施したことで、入院・外来患者1人1日当たり収益がそれぞれ前年度を上回った。医業収支比率は前年度に比べ0.4ポイント下回り、経常収支比率も前年度に比べ0.8ポイント下回ったものの、類似病院より高い状態を維持しています。病床利用率は、前年度に引き続き、類似病院より高くなっており、効率的な病床運営が行われています。累積欠損金比率は前年度に比べ5.2ポイント改善したものの、依然として類似病院より高いため、引き続き収支の改善に努めます。職員給与費対医業収益比率は前年度を下回りましたが、依然として類似病院より高い状態です。安定した診療体制維持に伴う応援医師の増加による影響があります。材料費対医業収益比率は類似病院よりも低い状態が続いています。引き続き安価な調達に努めます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、器械備品減価償却率とも、類似病院より高くなっており、平成7年の開院から24年を経過し、老朽化に伴う施設・設備の更新の必要性が高まっていることを示しています。今後は、施設・設備の修繕計画を策定し、医療の質を確保するとともに、計画的な投資により、施設・設備の長寿命化を図っていきます。
全体総括
平成30年度は、救命救急センターでの高度な救急医療を提供したことや、地域がん診療拠点病院として治療効果の高い抗がん剤による化学療法を実施したことにより、一人一日あたりの診療単価が伸び、前年度を上回る収益を計上しました。その結果、経常収支差引では収益が費用を上回り、2年連続で経常収支の黒字となりました。しかし、老朽化した施設・設備の維持管理や修繕費用の増加、診療体制の充実に伴う給与費の増加、高額な抗がん剤をはじめとする薬品費の増加など、今後も非常に厳しい経営状況が予想されます。「質が高く、安心・安全な医療を継続して提供する急性期病院」を目指して、充実した診療体制を維持しつつ、経費削減など、より一層の収益確保に努め、各指標の改善を図ります。