地域において担っている役割
当院は、富士保健医療圏で最大の総合病院であり、またICU・NICUを有するなど高度急性期医療を担うほか、結核、感染症、救急、精神医療等の不採算部門を背負うなど地域の中核病院として、住民の生命を持続的に守ることで、安心・安全な社会づくりの一翼を担っている。また、地域がん診療病院として、専門的ながん医療の提供、相談支援や情報提供などの役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
平成26年度以後、経常収支から他会計繰入金を除いた実質収支は悪化傾向が続いている。これは主に、平成27年度では病床利用率の減に伴う入院収益の減、平成28年度以降は入院単価の増に伴う入院収益の増を職員数の増に伴う給与費等の支出増が上回ったことによるものである。類似病院比較において、在院日数の長期化等により入院患者の1人1日平均単価は低い傾向にある。また、近年の急激な職員数の増に伴い、職員給与費対医業収益比率の平均値との乖離ポイントが大きくなっている。このため、施設基準の取得や医療の標準化・効率化等により増収を図ると共に、職員数の適正化を図っていく必要がある。
老朽化の状況について
現病院の開設から33年が経過しているため、有形固定資産減価償却率が70%前後と平均値より相当に高く、類似病院に比べて老朽化が進んでいることを現している。しかしながら、当院は類似病院に比べて他会計繰入金を豊富に繰り入れた上で経常収益比率100%前後を維持している病院であるため、限られた予算の中でより効率的・計画的に施設、設備の更新を図っていく。器械備品減価償却率は、電子カルテの償却状況に応じて大きく変動しているが、こちらも類似病院より老朽化の傾向があるため、備品購入時において価格競争が促されるような機種選定をするなど効率的な予算執行を図っていく。
全体総括
現病院は開設から33年が経過し老朽化が著しいため、本格的な建て替えの検討を進めている。しかしながら、他会計繰入金に依存せざるを得ない現状では建て替えに要する資金が乏しく、経営改善が急務である。こうした中、総合入院体制加算などの施設基準取得や地域連携の推進に伴う紹介率の向上を目指すほか、他病院とのベンチマーク等に基づき機能評価係数の向上、チーム医療の推進など増収対策を講じると共に、業務の効率化による給与費の削減や薬品及び診療材料の使用適正化などを以ってコスト削減を図っていく。