地域において担っている役割
市立島田市民病院は、志太榛原医療圏の基幹病院の一つとして、二次救急対応や政策的な医療(結核病床8床、感染症病床6床を有する)を提供し、他の公立病院と連携して急性期医療を中心に担っている。また、島田市唯一の病院であり、地域医療支援病院として、地域医療を担うかかりつけ医等を支援し、診療所等と密接な連携を図っている。さらに、静岡空港が立地する医療圏にあって、唯一の第二種感染症病院としての役割を果たしている。また、災害拠点病院としての指定を受けており、DMAT1チームを有している。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率及び医業収支比率ともに類似病院平均値を下回り、累積欠損金比率が増加している。これは医師不足により患者数が減少し医業収益が伸びないことが原因と考えられ、医業収支比率が100%を上回ることが困難な状況が依然として続いている。前年度と比べ病床利用率が大きく下がったのは、眼科及び産婦人科並びに呼吸器内科の常勤医師が不在になったことの影響が大きい。入院患者1人1日当たり収益が類似病院平均値を下回っているが、これは療養病床が数値を下げているのが原因である。一般病床利用率は78.5%で類似病院平均値とほぼ同値であるが、一般病床の1人1日当たり収益は53,000円であり、類似病院平均値を下回っている。これは前述した常勤医師不在の科があるため診療報酬の加算が取れないことなどが影響していると考えられる。材料費対医業収益比率は平成27年度から高額な薬品を採用したことにより増加し、平成29年度は減少に転じたが、平成30年度は類似病院とほぼ同値の数値となった。これは購買監査や共同購入など費用を抑える努力はしているものの、医業収益が減少した影響であると考えられる。職員給与費対医業収益比率が類似病院比率を大きく上回っているが、これは医業収益が減ったことが大きな要因であるとともに、前年度に比べ医師の給与費が減少しているにも関わらず、医師以外の給与費が増え職員給与費が伸びていることが要因と考えられる。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率及び機械備品減価償却率は、類似病院平均値を上回っている。病院建築からおよそ40年が経過しており、建物の老朽化が進んでいることを如実に表している。また、機械備品についても、古いものを継続して使用しているといえる。1床当たりの有形固定資産の額は類似病院平均値を下回っているが、有形固定資産に占める建物と構築物の割合はおよそ6割であることを考えれば、やはり老朽化が進んでいることを表していると考える。
全体総括
「2.老朽化の状況」が示すとおり、建物等の老朽化が類似病院に比べて進んでいる。耐震性や施設の狭隘化、動線の複雑化の問題を解決するために新病院建設事業が進められている。令和3年春の開院を目指し、既存施設の改修、解体、外構工事を終えた令和4年夏にグランド・オープンの予定である。経営の健全性については、経常収支比率及び医業収支比率が類似病院平均値を下回っていることから、常勤医師のいない科の医師を招聘し、医業収益の増額し、経常収支比率の改善をしていかなければならない。そうすることで、対医業収益比率を用いる経営指標はかなり改善されると考えられる。