地域において担っている役割
市立島田市民病院は、志太榛原医療圏の基幹病院の一つとして、二次救急対応や政策的な医療(結核病床8床、感染症病床6床を有する)を提供し、他の公立病院と連携して急性期医療を中心に担っている。また、島田市唯一の病院であり、地域医療支援病院として、地域医療を担うかかりつけ医等を支援し、診療所等と密接な連携を図っている。さらに、静岡空港が立地する医療圏にあって、唯一の第二種感染症病院としての役割を果たしている。また、災害拠点病院としての指定を受けており、DMAT1チームを有している。
経営の健全性・効率性について
平成23年4月から地方公営企業法の全部適用となった。事業管理者を置かれ、経営責任が明確化になり、意思決定が迅速化なされ、委託費など経費が減少する影響効果があった。経常収支比率は類似病院平均値を下回っているものの、医業収支比率は類似病院平均値を上回っている。しかし、累積欠損金比率が増加していることからもわかるように、医師不足による患者数の減少のため医業収益が伸びず、医業収支比率が100%を上回ることはなかなか困難な状況が続いている。病床利用率や入院患者1人1日当たり収益が類似病院平均値を下回っているが、これは療養病床が数値を下げている原因である。療養病床を除いた病床利用率は80.8%であり、類似病院平均値を上回っている。一般病床の1人1日当たり収益は52,704円であり、類似病院平均値を下回っているが、医師不在の科があるため診療報酬の加算が取れないことが影響している。材料費対医業収益比率は平成27年度から高額な薬品を採用したことにより増加しており、類似病院と同様の傾向を示している。職員給与費対医業収益比率が類似病院比率を大きく上回っていることは課題であるが、近隣病院の100床当たりの職員を比較すると看護部門の職員数が多いことなどが要因と考える。なお、累積欠損金比率は制度改正により退職給付引当金等を計上したことで、大幅に増加した。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率及び機械備品減価償却率は、類似病院平均値を上回っている。病院建築からおよそ40年が経過しており、建物の老朽化が進んでいることを如実に表している。また、機械備品についても、古いものを継続して使用しているといえる。1床当たりの有形固定資産の額は類似病院平均値を下回っているが、有形固定資産に占める建物と構築物の割合はおよそ6割であることを考えれば、やはり老朽化が進んでいることを表していると考える。
全体総括
「2.老朽化の状況」が示すとおり、建物等の老朽化が類似病院に比べて進んでいる。耐震性や施設の狭隘化、動線の複雑化の問題を解決するために新病院建設事業が進められている。平成32年度中の開院を目指しており、既存施設の改修、解体、外構工事を終えた平成34年夏にグランド・オープンの予定である。経営の健全性については、医業収支比率は類似病院平均値を上回っていることは明るい要素ではあるものの、経常収支比率が100%を上回ることを目標に、改善していかなければならない。費用面において、特に、職員給与費対医業収益比率が類似病院の数値と比べて悪く、改善の余地が大いにあると考える。