経営の健全性・効率性について
山県市公共下水道は平成15年度より3期5年間(15年間)を目標に施設整備を行っている。処理施設の供用開始は平成20年4月より開始しており、管渠整備(拡張工事)が完了した地域単位で毎年供用開始区域を拡張し、平成29年度で整備が完了する予定となっている。①収益的収支比率:処理場の施設稼働により維持管理費等の経費の増加に対し、供用開始区域が毎年拡張するものの下水道への接続家庭(接続率37.4%)の伸び悩みにより下水道料金収入が見込めない現状にあり、使用料以外の収入に依存している状況にある。④企業債残高対事業規模比率:繰出基準による一般会計からの収入により起債残高が皆減となっているが、今後は繰出額の減少により比率の増加が見込まれる。⑤経費回収率:①に示した接続率による料金収入は少額であり、他団体に比較し料金体系が高い状況から平均値を上回っているが、汚水処理費の削減に努めなければならない。⑥汚水処理原価:接続率の低迷している中、維持管理費用の削減に努めているが、今後、処理施設の追加稼働が見込まれてくるため、最適な施設稼働に努める。⑦施設利用率:接続率の低迷により、整備済の処理池が遊休状態にあるため、接続率の向上に努めなければならない。⑧水洗化率:他団体に比べ非常に低い状況にあり、水洗便所等への切替えに当たっては高齢化世帯での費用負担が発生する。よって、地域の水質保全等について市民への啓発が必要となる。
老朽化の状況について
供用開始が平成20年であるが、平成15年より整備した布設延長は94kmとなっており、現状では管路は比較的新しい管ではあるものの、5年から10年を経過した管延長は40km(42.5%)と約1/2を有している。よって将来を見据えた安定的な更新計画の策定が必要となり、今後の財源確保が課題となる。管渠内調査などを行うことで、管渠の劣化状況、浸水状況などを把握し、効率的な修繕に取り組む。
全体総括
現在の⑦施設利用率、①収益的収支比率は、類似団体に比べ非常に低い状況にある。今後は、人口の減少や高齢化社会により下水道利用の低迷が予想される。よって、施設規模・施設能力を検証し、効率的な維持管理・施設稼働に努めていく必要がある。