経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率が平成26年度より高くなったのは、原子力発電関連施設からの新規接続があり、料金収入が増加したことで総収益が増加したたためである。④企業債残高対事業規模比率及び⑦施設利用率は類似団体と同程度である。⑤経費回収率及び⑥汚水処理原価を見てみると、適正な料金収入が確保できておらず、汚水処理にかかるコストも高くなっている。水洗化率100%を達成しているにも関わらず、本来使用料収入でまかなうべき起債償還金や維持管理費の多くを、他会計繰入金によってまかなっている。現在3地区で汚水処理場が稼働しているが、処理対象が75戸と少数であり、スケールメリットが働かず、経費回収率や施設利用率が低水準となっている。更に、当市の漁業集落排水処理場の立地の特性上、処理区域内に発電所関連施設や作業員が宿泊する民宿が多くあるが、東日本大震災以降これらの施設からの流入が著しく低下しており、指標に反映されている。維持管理費については、計画的な修繕や汚水処理施設の運転管理にかかる民間委託の導入により経費削減に努めているところである。⑧水洗化率は平成24年度から100%に達しており、今後新規に接続する予定の家屋や施設はない見込みである。このため、空き家の増加、人口減少や節水家電の普及等の要因により、有収水量及び料金収入は今後ゆるやかに減少していく見込みである。
老朽化の状況について
当市では最も古い処理場で平成6年から供用を開始し、22年が経過している。耐用年数から判断して、現在管渠については更新しておらず、軽微な修繕も行っていない。汚水処理施設については、機械電気設備を中心に毎年軽微な修繕を行っている。今後も費用の平準化や計画的な修繕を行うことで対応していく。大規模更新の際には、各施設の利用率や将来的な人口減少等も踏まえ、慎重に検討する。
全体総括
⑤経費回収率は、平成27年4月に原子力発電関連施設からの新規接続があったためやや改善したものの、直近5年間の平均で約26%となっており、事業運営にかかる費用の大半を他会計繰入金に依存している。このため、平成27年度に集落排水処理施設使用料改定検討委員会を開催し、適正な経費負担のあり方について審議いただいた。審議の結果、漁業集落排水使用料は当市の公共下水道や農業集落排水に比べて高価であるため今回値上げを行わなかった。今後も料金の見直しや更なる費用削減について検討するとともに、公営企業会計に移行し、経営状況の透明化を図る。また、料金収入については、原子力発電関連施設や民宿からの収入が大きなウエイトを占めているため、今後も国の原子力政策の動向を注視し事業を運営する。