経営の状況について
経常収支比率及び営業収支比率については、金沢市が有する5箇所の発電所のうちの1つにおいて、平成24年度に発電施設の大規模修繕を実施したことから、一時的に100%を下回る決算となったものの、他の事業年度においては黒字を示す100%以上を維持しています。流動比率については、大規模修繕の影響等で年度によりバラつきが生じていますが、400%以上を維持しており、公営電気事業者平均を大きく下回ることがない範囲で推移していることから、健全な状況であると認識しています。供給原価については、大規模修繕を実施した平成24年度を除き、公営電気事業者平均を下回っており、効果的な投資、効率的な維持管理を実施している状況であると言えます。EBITDAの値に関しては、他の公営電気事業者に比して発電規模が小規模であることから、減価償却前営業利益の絶対値は公営電気事業平均を下回る結果となっていますが、他の指標からも判断できるとおり、概ね経営の健全性は保たれていると言えます。
経営のリスクについて
設備利用率については、常に40~50%を維持し、公営電気事業者平均の数値を常に上回っており、所有する発電設備を効率的に活用できていると考えています。修繕費比率については、発電施設という設備の特性上、10年程度のサイクルで大規模修繕が必要となることから、年度によっては突出した修繕費の支出となりますが、修繕引当金等の活用により自己資金の範囲内で対応できています。企業債残高対料金収入比率については、施設の更新にあたって自己資金を活用することにより企業債の発行を抑制してきたことから、料金収入に対する企業債残高の比率は、公営電気事業者平均を大きく下回っており、平成30年度で企業債の償還が終了する予定です。今後についても効果的、効率的な改良投資の実施により、企業債の発行の抑制に努めていきます。有形固定資産減価償却率については、公営電気事業者平均と同様の数値の変動をしているものの、その率は上昇傾向にあり、保有資産の多くが法廷耐用年数に近づいてきている状況である。今後も適切かつ効率的な施設の改良・更新を実施していきます。FITについては、現時点では未実施でありますが、FITの利点等を慎重に検討してまいります。
全体総括
経営状況は概ね健全なレベルにあると言えますが、保有施設の更新への対応に多額の資金が必要となると見込んでいます。また、平成28年度から電力自由化が全面的に実施されていることの影響等を踏まえ、今後の電力事業環境を慎重に見極めつつ、平成27年度策定の経営戦略(平成28年度~37年度)に基づき経営の一層の効率化への努力が必要であると考えています。