地域において担っている役割
見附市立病院は、市内唯一の入院できる病院であり、救急車の受入れを行い、地域医療を担っています。県内の同規模の市では200~300床の病院が複数ありますが、見附市は94床の当院のみです。また、見附市の医師・看護師数は県平均を大幅に下回っていて、地域において当院が果たしている役割は大きいと考えられます。また、併設する老健「ケアプラザ見附」とともに、「医療・福祉の里」として市の健康政策も一体的に推進しています。長岡市の総合病院や市内医院と連携し、重症患者は長岡市の総合病院、中等症患者や回復期は当院と、それぞれの役割を分担し、円滑に地域医療が機能するよう努めています。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、H28年度から一般会計補助金1億円を繰入していますが、R1年度は医業収益の悪化により前年度比2.8ポイント低下、類似病院比で2.3ポイント低くなっています。②医業収支比率は、R1年度は救急車受入れ制限、外科医の減などにより、入院患者数・収益が減少し、前年度比2.6ポイント低下しました。しかし、類似病院比は8.7ポイント高い値となっています。③累積欠損金比率は増加傾向ですが、類似病院比で半分程度となっています。④病床利用率は、H29年度から医師の増員により上昇傾向でしたが、R1年度は前年度比6.6ポイント低下しました。しかし、類似病院より11.8ポイント高くなっています。⑤入院患者1日1人当たり収益は減少傾向ですが、類似病院比で約1.1倍高く、比較的高度な医療を提供していると考えられます。⑥外来患者1人1人当たり収益は、類似病院比で約1.7倍です。院内処方としていることが要因と考えられます。⑦職員給与費対医業収益比率は、R1年度は入院収益減にともない前年度比4.0ポイント上昇しました。しかし、類似病院比で1.8ポイント低く、人件費は比較的低く抑えられています。⑧材料費対医業収益比率は減少傾向ですが、R1年度は類似病院比6.9ポイント上回っています。これは、外来処方を院内処方としていることが要因と考えられます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は年々増加しています。R1年度は前年度比1.2ポイント増加し、類似病院比で12.3ポイント高く、固定資産の老朽化が進んでいます。②器械備品費減価償却率については、R1年度は高額な医療機器を更新したことから、前年度比1.4ポイント低下しました。しかしながら、類似病院比では11.6ポイント高く、医療機器の老朽化が顕著です。③1床当たり有形固定資産は、年々増加しています。R1年度は前年度比279千円増加し、類似病院比では17,113千円高額となりました。これは病院建設が平成2~4年度であり、建築単価が高額で、同指標の値が比較的高かったところに、電子カルテシステムなど新たに必要な固定資産が増えていることによるものです。
全体総括
経営の健全性・効率性については、材料費対医業収益比率が高く、経営を圧迫しています。収益性のある薬品の採用や、価格交渉による値引き率の向上など、改善にむけた取組を行うことで、年々低下傾向にあります。今後は外来処方を院外処方へ移行する方針です。材料費対医業収益比率以外の指標は、類似病院と比べ優れています。しかしながら、R1年度は職員不足から夜間救急患者受け入れの制限や、外科医の減などにより、入院患者数・収益が大きく減少したため、原因である職員不足などを解消し、より効率的な経営に努めていきます。施設の老朽化の状況は、特に医療機器で進んでおり、医療機器更新のサイクルを短くするため、経営改善と企業債の起債による財源確保が必要です。また、建物も建築後26年が経過し、老朽化・陳腐化しているため、新病棟の建築に着手したところです。