地域において担っている役割
当院は、急性期医療を中心に、国が体制整備を進める、がん、脳卒中、急性心筋梗塞等において高度な医療を提供しているほか、救急医療、周産期医療、小児医療等、地域住民から求められる医療サービスの提供を行っています。また、危機管理への対応として災害時医療、感染症医療、結核医療等で、地域医療において重要な役割を果たしています。
経営の健全性・効率性について
累積欠損は発生しておらず、経常収支比率や医業収支比率は類似病院平均値を上回ることから概ね健全な経営状況を維持しています。経営効率の観点からは、病床回転率や収益改善の取組みを実施した結果収入は伸びましたが、収入の伸びを上回る費用増があったため、医業収支比率・経常収支比率は減少傾向にあります。費用では新病院開院に向けて職員給与費が増加しているものの、職員給与費・材料費の医業収益比率は類似病院平均値を下回っております。収益では、入院・外来ともに1人1日収益は着実に伸びているものの、類似平均病院値と比較して更なる改善の余地があることから、診療単価上昇のための取組みを今後も継続して実施してまいります。
老朽化の状況について
平成31年度の新病院開院を控え既存病棟への設備投資を抑制している結果、病院建物・器械備品の老朽化が進んでいます。有形固定資産・器械備品はともに、償却率の類似病院平均値を上回り、固定資産の老朽化は各年の償却負担を減少させる一方、収入を増加させるための施設面での阻害要因となっている可能性があります。病院建替と器械備品の更新により老朽化の状況は一新されるものの、多額の設備投資を一時期に実施することから償却負担の急激な増加が見込まれます。新建物と医療機器の採算性を厳しく検証しながら、着実に設備投資を実施し経営の効率化に繋げてまいります。
全体総括
市内では高齢化に伴い医療需要が急増することが見込まれ、市立病院の医療機能の必要性はますます高まるものと考えられます。感染症や結核医療等の維持や周産期医療の強化、急性期病院としての医療機能の充実を行い地域の基幹病院としての地域医療における中核的な役割を果たすとともに、急性期医療、がん医療医療のための医療機能の強化やICU、HCU等の拡充等を通して病床利用率や入院診療単価をはじめとする各種指標の底上げを行い、材料費や医療機器の調達費用の抑制等を通して費用縮減に努め、また新病院開院に向けて職員の確保と人材育成、適正配置を実施することで、健全な経営基盤の確立を行ってまいります。