経営の健全性・効率性について
「①経常収支比率」は100%を超え、平成4年度から27年連続で純利益を計上していることから、本県の経営状況は比較的安定していると言える。平成6年度以降、累積欠損金は発生しておらず「②累積欠損金比率」は0%と健全経営を維持している。「③流動比率」は、短期債務に対して十分な支払能力を有しているとされる、概ね200%の水準を確保しており財務状況は良好である。「④企業債残高対給水収益比率」は類似団体と同水準であるが、比率は毎年減少している。償還に伴う企業債残高の減少により、企業債残高は施設整備のピークと比例して平成2年度の2,761億円から減少し、平成30年度末では半分以下の1,285億円となった。本県は、類似団体の中で給水能力、総送水量が第1位であり、そのスケールメリット等から「⑥給水原価」は低い水準にある。また、「⑤料金回収率」は100%をやや超える水準となっている。このことから、「⑥給水原価」と比較して「供給単価」は適正水準であると言える。水需要の減少により「⑦施設利用率」は減少傾向であるが、近年は横ばいとなっている。耐震化工事完了後、水需要にあわせた施設規模となるよう、施設の更新時期に合わせたダウンサイジングを計画している。本県の「⑧有収率」は水道施設を適正に維持管理していることにより概ね100%で安定している。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」は類似団体と同水準である。水道施設や送水管路など、古いもので稼働後50年が経過しており償却率は上昇傾向にある。「②管路経年化率」は、事業創設時に布設した管路が既に法定耐用年数を経過しており、また、本県の事業開始が比較的早かったことから、類似団体と比べて高い数字となっている。「③管路更新率」は、0.01%と前年度までと比較して大幅に減少した。管路更新は計画的に実施しているが、完成延長が年度により異なることや、関係機関等との調整の状況により進捗が制限されることなどから、年度により差が生じており、いかに効率よく進めていくかが課題となっている。今後、経年化の進む水道施設や送水管路等のアセットマネジメントにより、施設の健全度を適切に評価し、健全経営を維持しながら、効率的かつ計画的に更新等を進めていく。
全体総括
これまでのところ、経営の健全性・効率性はいずれも概ね良好な状況である。企業債残高等の外部負債の削減にも努め、財務内容の健全化が進んでいる。しかし、節水型社会や人口減少の進展に伴い、水需要は平成13年度の一日平均送水量186.4万㎥をピークに、平成30年度には173.4万㎥と減少傾向にあり、施設の効率性は低下傾向にある。また、老朽化した施設や管路の更新に伴う建設費用の負担が経営を圧迫することが見込まれる。そのため、今後の水需要を見据え、施設規模の最適化(ダウンサイジング)を図ることで、適切な施設利用率を維持し、サービス水準を維持しつつ、効率的な事業運営を行っていく。また、引き続き維持管理コストや建設コストの縮減を徹底し、水道施設や管路を適切に維持管理し、健全経営を維持するよう努めていく。