経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率について、23年度は大震災に伴う災害復旧関係収入の増により高くなりましたが、24年度はその収入がなくったことにより低くなりました。25年度以降、震災復旧等に伴う料金収入の増などにより、90%台に戻ってきています。整備は既に完了していますが、区域内で新たな土地活用も見られるため、新規着工時ににおける接続要請や、未接続世帯に対する接続要請を継続して行うなどして、接続率の向上を図ることにより使用料収入の増加を目指します。④企業債の返済については、既にピークを過ぎています。津波により被災した施設の復旧を行った際に起債を行っていますので、平成34年度までは毎年の返済額が横ばいとなります。⑤料金回収率は、漁業集落排水事業が比較的新しい事業のため建設工事経費がかさみ、料金設定を高めに設定しています。このため、平均より高くなっているものと思われます。⑥汚水処理原価が増加しているため、若手職員配置による人件費の削減やより計画的な修繕に取り組んでいます。⑦施設利用率は、震災により110軒以上の家屋が解体されたこと、水産加工業や民宿の経営が震災以降衰退傾向にあることにより、汚水流入量が減少し平均より低くなっていると考えています。⑧未接続世帯に対して集落排水への接続と水洗化の要請を行っているところですが、対象世帯の多くが高齢者世帯であり、また費用の面で接続に消極的になっていることから水洗化率が低くなっています。
老朽化の状況について
平潟漁業集落排水施設は、平成10年10月に供用開始をしている、比較的新しい施設です。施設が平潟漁港敷地内にあるため、平成23年3月11日に発生した東日本大震災では津波の直撃を受けました。震災後の復旧時に機器類の更新をしていますので、長寿命化計画等は当面取り組む予定はありません。
全体総括
事業効率を下げている大きな要因は、汚水処理量が少ないことです。供用区域はすり鉢状の地形にあることから、新たな住宅を建設できる区域が限られています。このため、若い世帯の住宅や災害復興住宅を区域外に建設しているのが現状です。原発事故による風評被害が、地場産業である水産業・民宿などの観光業に影を落とし続けていることも汚水処理量減少の一因と思われます。風評被害が改善されることも復興には欠かせません。今後も引き続き人件費、修繕費の圧縮のほか、未接続世帯の訪問についても努めてまいります。現状では漁業関係の区域のみが汚水処理の対象ですが、もし規制緩和等制度改正があり近隣エリアの汚水処理が可能となれば、住宅団地等への管路接続も検討したいと考えております。