経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率昨年度より9ポイント上昇し100%となった。上昇した要因として、使用料収入の不足を補填する一般会計繰入金の増額が挙げられる。本町では、下水道区域の整備が完了しており、下水道区域外は浄化槽設置で対応している。今後は、設置基数の伸びによる収益増加を見込んでいる。④企業債残高対事業規模比率平成28年度以降は0%になっている。決算状況調査で計上する数値を適正化するよう指摘を受けたことに起因する。分流式下水道等に要する経費として、企業債元利償還額の全額を算定したためであり、経営状況が改善したわけではない。⑤経費回収率⑥汚水処理原価平成28年度以降、経費回収率は8割を超えているが、汚水処理原価は類似団体の平均値を下回っている。投資の効率化や維持管理費の削減を要する。⑦施設利用率平成30年度の利用率は、類似団体の平均を僅かに上回った。今後も50~60%を推移していくと分析する。⑧水洗化率本町の浄化槽事業は「市町村設置型浄化槽」である。浄化槽設置申請者を対象としているため、必然的に水洗化率は100%となる。
老朽化の状況について
平成17年度から開始した事業のため、現段階では老朽化について検討する状況ではない。浄化槽本体の耐用年数が28年であるため、今後は、約13年後を目途に更新時期を迎える。現在は、ブロワーや放流ポンプに故障が発生した場合に交換・修繕を実施している。
全体総括
本町では、平成30年度と令和元年度に企業債の元利償還額がピークを迎え、今後は年々減少していく見込である。当初、浄化槽使用料は維持管理費を賄える金額で算定したが、十分に賄えているとはいえない状況である。今後は下水道使用料改定と合わせて同程度の負担額になるよう精査する。東日本大震災後に原材料費・労務単価が高騰したことにより、維持管理費及び建設費が増加し、懸念材料となっている。本町では、平成28年度に加美町下水道事業経営戦略を策定した。策定した経営戦略に基づいた計画的・効率的な事業運営を推進していく。地方公営企業会計適用については、令和6年度の法適化を目指し、導入準備を進めている。法適化により、自団体の経理内容を明確化し、透明性を高めることで、経営の安定化に努める。