地域において担っている役割
外ヶ浜中央病院は青森地域医療圏内で蓬田村以北の2町1村を診療圏域とする地域唯一の救急医療(第二次)及びへき地医療を担う自治体病院として地域医療の維持・確立には欠かせない医療施設となっている。また、併設する介護老人保健施設や管内の特別養護老人ホーム、グループホーム等への定期的な巡回診療を行う等、福祉施設との連携を密にし、医療から介護、健康管理までを考慮した地域包括ケアの推進にも努めている。
経営の健全性・効率性について
人口減少による患者数の減少、職員平均年齢の上昇、少子高齢化に伴う患者層の変化による1人1日あたり平均診療単価の減少等、経営環境が厳しさを増す中、一般会計からの多額な繰入金により、辛うじて経常収支比率100%超を維持しており、その結果、累積欠損金も発生していない状況である。患者数の減少に伴い、医業収益が逓減する一方で職員給与費及び施設の老朽化による修繕費の高止まり等により、医業収支比率の低下、職員給与費対医業収益比率の上昇が顕著に見られており、拡大する収支ギャップの補てんとして、一般会計からの繰入金は年々増加している。患者数の減少に伴い病床利用率は逓減傾向にあるが、27年度及び29年度において一時的に上昇しているが、病床規模の見直しによる減床措置によるものである。(H27:50→48、H29:48→44)
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は類団平均値を下回り、機械備品減価償却率は類団平均値を上回っているが、いずれも増加傾向にあり、法定耐用年数に近づきつつある。建物に係る関係法令遵守及び良質・高質な医療提供に資するための医療機器整備等は当然必要であるが、多額の建設投資が見込まれることから、経営状況及び患者数の動向等を踏まえ、適正な更新投資規模且つ単年度集中投資を回避した平準化型を基本とし計画的に取り組んでいかなければならない。なお、1床あたりの建設投資規模は全国平均及び類団平均値を下回っていることから、これまでの投資規模は適正なものであったと言える。
全体総括
歯止めがかからない患者数の減少により、収益の増加が見込めず、収支ギャップが年々拡大し、経常収支比率100%超を維持するためには一般会計からの繰入金も増加するものと見込まれる。このような状況を踏まえ、地域医療の維持及び安定した経営環境を構築するためには、新公立病院改革プラン及び地域医療構想の趣旨に則り、病床数の縮小・見直しによる適正規模の人員配置、団塊の世代が後期高齢者となる2025年には回復期機能のニーズが高まると見込まれていることから、現在の一般病棟から高収益が見込まれる地域包括ケア病床への転換を本格的に検討する。また、県立中央病院及び青森市民病院と連携した救急医療、へき地医療、在宅医療等の地域の医療需要に応じた取組みに積極的に取り組んでいくこととする。